ルポ居所不明児童 消えた子どもたち
石川結貴、ちくま新書、2015
2404冊目
学校からも行政支援からもこぼれ落ちる子どもたち。
1961年の調査開始から2014年までの54年間の累計で24000人の居所不明児童がいたと、文科省の学校基本調査をあたった著者は言う。年では2-300人から1400人とさまざまだが、2009年から激増している。048
個人のライターでしかない著者ができる調査には限界がある。と著者は言うが、学校や行政ができる追跡調査にも限界がある。
マイナンバー制度は、このような子どもを救うことにつながるのだろうか。
国民総背番号のように実施をあせらず、まずは学校児童から始めれば良かったのに、とすら思う。ま、そんなことのために制度をつくるとは思えないけれど。しかも、そのために使うとも思えないけれど。
学校の忙しさもまた、トレイサビリティの難しさに拍車をかける。
居所不明になるような子どもは、家庭が複雑だ。学校に行っていても「問題児」扱いでしかない。どの担任も、そんな子どもは抱えたくないのだ。
児相もかかえているケースで手一杯となると、誰が責任を持つのかとなる。
子どもの四つの権利、生存、保護、発達、参加というのは、家族という前提でなりたっているのだということを思い知らされるね。