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ERIC NEWS 465号 ともによりよい質の教育をめざして  2015年11月30日

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ERIC NEWS 465号 ともによりよい質の教育をめざして  2015年11月30日
遊びが学び、没頭するフロー体験が人を育てる!
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

前回もアクティブ・ラーニングについて書いたが、国立教育政策研究所の研究プロジェクト報告書『資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究』を読むと、愕然とする。アクティブ・ラーニングって実質「参加型学習」とわたしたちが言ってきたものと同じなのに、「参加型学習」として「気づき」の経験学習的アプローチや参加のスキルなどを整理してきた蓄積があるのに、また、多様な方法論だけに引き戻された感がある。

 報告書でアクティブ・ラーニングの先行事例として類型化されて紹介されているのが
問題解決型学習/ 問題基盤型学習
探究学習
発見学習
プロジェクト型学習

まるで1970年代のデジャブである。元木先生、水越先生などが、昭和30年代から提唱してきていた学習ではないか。議論のふりこがまた戻ったということなのか。

 そこに、「コンピテンシー目標」が達成できるとか、「三層構造のリテラシー」に合致するとか。いま風の専門用語がちりばめられているが、本質的には変わらない。

 わたしたちの「助成金」もそうだが、「研究」というのもどこか新規性やオリジナリティが求められる。オリジナリティの表し方は、「古いものの新しい組み合わせ」にすぎない。

研究者はそれでいいのだろうが、現場はふりまわされるだけにならないか。

 現場の「研究」主体を育てることこそが、課題であって、研究プロジェクトの結論が大事なのではない。

 齋藤学さんは、「学びの共同体」において、「研究課題」を新しいものにとびつかないこと、「ていねいに改善していくこと」を指摘している。その通りだと思う。

 学校共同体の主体性を取り戻すこと。それが一番の課題だと思う。


◆◇◆目次◆◇◆

◆◇◆1.  What’s New? 「遊びが学び」
◆◇◆2.  2015年度、ERIC主催研修 ESDファシリテーターズ・カレッジ
◆◇◆3.  ERICのテキスト在庫処分中! 12月末まで受付中
◆◇◆4. by ERIC これまでの活動


◆◇◆1. What’s New?  「遊びが学び」 ◆◇◆

 子育て中の世代の方々を対象に、練馬でプレイパークなどの実践をされている団体が主催した三回連続講座に参加しました。限られた人数の研修なのに、申し訳なかったなあと思いましたが、とても面白かったでした。

第一回で学んだのは「Playwork」という概念。イギリスでは大学にコースがあるそうです。
http://ericweblog.exblog.jp/21822254

ここで紹介されたもので、とても役立っているのが『遊び合いを妨げる17の症候群』リストです。参加型での研修の「学び合い」を阻害するものとの共通性の高さに驚きます。今回の『未来を学ぼう』研修でも活用しましたが、「Wimping」怖がるという概念を「Wimpiちゃん」というキャラクターにしてしまいました。

ベテルの家の統合失調症の方が自分の症状に名付けることで対応することを学ぶように、わたしたちも「ついつい学び合い、遊び合いを妨げてしまう自分自身の傾向」に名前を付けることで、その「起こり」に気づき、対応することができるようになるのではないでしょうか?

講師の嶋村仁志さんにご紹介いただいた本も読みました。
『男の子の乗りこえる力を育てるワンパク体験』
http://ericweblog.exblog.jp/21828552

イラストレーターの親御さんが、ネタなのか、過剰に心配性なのが気になりましたが、そういう人でも安心して参加できるようにしなくちゃいけないんだなあと、どこか納得。

Play遊びはwork効きます!

で、今日、三回目。プレイパークの実践と「感覚統合」の理論の関係について学びました。

感覚統合という概念も参加型学習にとっては新しい概念ではありません。

そう、あのわかりにくい「全体言語主義」こそが感覚統合そのものなのです。

PLTファシリテーター研修を受けた方ならPLT研修の五つの特徴というのを覚えておられているでしょうか。

・構成主義
・協同学習
・概念をツールに
・全体言語主義
・コミュニティの課題解決、問題解決学習

感覚統合という概念は、学習困難、自閉症児のための学習指導で使われ、発展した来た方法論のようです。検索してみると、図書館にある本のほとんどが支援学級の実践や指導者用のようです。

人の感覚は、千差万別。センサー万別なんて、変換してしまいました。

子どもの感覚は、発展途上。大人と同じようには働かない。

諸感覚の「でこぼこな」発達があたりまえ。どこかが突出しつつ、どこかが欠けつつ、それらが相互に刺激しあって発達していく。それが子どもの発達の姿だということ。

遊びという没頭体験が、もっともからだ諸感覚の統合的成長につながるのだということ。

諸感覚という時、六感以外のものを今日の研修では「実感」する演習がありました。
・三人一組になる。
・軍手をはめた手で、かばんから財布を取り出し、「穴の開いていない硬貨」を一枚取り出す。
・グループの一人が、軍手をはめたままで、5種類の資料をグループの人数分取りにいく。
・帰ってきて、軍手をはめたままのグループの他の人が、それを順番に並べ、みんなに配る。

・ペアになる。
・握手する。一歩近づく。身体接触の感覚。パーソナルスペースの感覚。
・相手の背中の真ん中を指の先で上から下へなぞる。
・片脚で立って10秒数える。
・右手で複雑な形を作って、耳のそばに置く。合図で、左手でも同じ形を耳のそばで作る。

三人一組では、別のワークもしたのですが、ポイントとしては「子どもの感覚を実体験する」ことが大切だったと思います。高齢者の感覚を学び合うために、ど近眼の眼鏡をかけ、手袋をし、からだにおもりをつけて動き回る、鍵をあけるなどの経験をしたことがありますが、子どももそうだったとは!

考えてみれば、当然のことなのに、まさか、そこまでとは、思っていませんでした。

子どもの手先感覚、あなたも実感してみませんか?


◆◇◆1. at ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ2015年度のお知らせ◆◇◆

2015年度の6本の研修中、5本が終わりました。
いずれの回も、ゼミ程度の人数で、じっくりと「学び合う」ことができました。
記録は以下からご覧ください。

■2015年(平成27年)6月27日28日テーマ「国際理解」 終了
http://ericweblog.exblog.jp/21486407/

■2015年(平成27年)7月25日26日テーマ「PLT木と学ぼう・環境」 終了 http://ericweblog.exblog.jp/21488427/

■2015年(平成27年)9月26日27日テーマ「人権」 終了
http://ericweblog.exblog.jp/21688691

■2015年(平成27年)10月24日25日スキル「対立から学ぼう」 終了
http://ericweblog.exblog.jp/21780337

■2015年(平成27年)11月28日29日スキル「未来を学ぼう」終了
http://ericweblog.exblog.jp/21882789

■2016年(平成28年)3月下旬予定TEST教育力向上講座

御案内はこちらからダウンロードできます。
http://www.eric-net.org/news/ESDfc2015pamph.pdf

しばらくお休みして、3月に、今年度最後の主催研修となります。
日程については、参加者のご希望によって決定していきます。
ぜひ、日程候補を御知らせください。First come, first served!


◆◇◆2.  ERICのテキスト在庫処分中! 受付は12月末まで ◆◇◆

 熊本の倉庫から在庫を、処分することにいたしました。これまで、ご高齢になられた加藤さんのご実家に甘えていましたが、いろいろ終活をすすめていくお気持ちになられたのだと思いますし、当然だなあ。

 とご案内していたところ、静岡のPLTファシリテーターの方から、倉庫のご提供の申し出がありました。ありがとうございます。とはいえ、在庫を整理すると宣言したので、12月末まではご協力者を受け付けます。
 研修のテキストとしてご活用ください。

=====在庫廃棄処分引き取り希望調査表=====
一箱入冊数
ワールドスタディーズ20
PLT木と学ぼう20
フードファースト20
テーマワーク20
わたし、あなた、そして20
地球のみかた20
対立から学ぼう17
未来を学ぼう15
環境教育指導者マニュアル10
人権教育ファシリテーター20
   〃  発展編20
   〃  実践編20
レッツ・コミュニケート40

処分予定日は、2015年度末までです。

以下のような内容を書き込んでいただき、メールでお申し込みください。
==========================
申込者:
氏名                
住所                                  
    
送り先住所: 同上 その他の場合は記入してください。

連絡先: 電話番号            、e-mail            

ERICステイタス: いずれかにチェック
□スタッフ □理事 □遠距離運営委員 □アルムニ(卒業生) □その他

一箱あたりの処分費用は3000円です。

入金予定日:             

*わたしは、ERICの活動の趣旨に賛同し、在庫処分のために協力いたします。


入金確認後、熊本から発送いたします。倉庫作業の都合上、通常のテキスト発送より時間がかかります。ご了承ください。
by eric-blog | 2015-11-30 19:21 | ERICニュース
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