教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」
内田良、光文社新書、2015 2399冊目 「教育」というだけで、さまざまなリスクが軽視される。 例えば組み体操における事故、柔道における体罰、など、生徒に対するものだけではない。 教員の過労死も「教育」であれば、見過ごされる。 リスクを美談化、正当化し、学校にリスクを埋め込んでいく。254 2分の一成人式は「感動ポルノ」。 *感動ポルノとは、オーストラリアのジャーナリストでコメディアンであるステラ・ヤングさんが作った言葉。 https://www.ted.com/talks/stella_young_i_m_not_your_inspiration_thank_you_very_much?language=ja “Inspirational stuff” inspire=「感動」 「障害は悪いこと」でもなければ「立派なこと」でもない。 特定の人を道具にして、(objectifying)他の人が得をすること。 障害があるだけで特別な人になる。 「人生における唯一の障害はネガティブな態度である。」というのもふざけている。どんなにポジティブに階段に微笑みかけても、スロープになったりしません。 Disabilityとは障害の社会モデルについて使われるべき言葉。 組み体操にいたってはコテンパンである。 建築基準法では、小学校の階段について、「一段の高さは16cm以下」「踏み面の広さ23cm以上」など決められている。 その他、作業についての安全性についての法律にも違反していると。 「感動系スペクタクル」43 それをエビデンスに基づいて、批判的に検討している。 「いじめの四層構造」というのが、1986年に提起されていたというのは知らなかったけれど、(『いじめ-教室の病い』森田洋司・清永賢二) 被害者、加害者、観衆、傍観者 その構造を体罰においても当てはめてみようと、著者は言う。加害者である先生、被害者である生徒以外に、「観衆」がいるのではないか? そして、「教育だから」と見過ごす社会を「学校化社会」と、内藤朝雄さんや宮台真司さんをひいて論じている。 わたしたちのまなざしが、体罰を助長しているのだ。「教育」と言われるとリスクや事故や死すらも軽視してしまうわたしたちの。 さらに本書は第四章で教員の労働時間過剰を問題視している。 それに関しては、ブログやネットでの問題提起が紹介されている。 http://bukatsu1234.blog.jp http://blog.livedoor.jp/yutakenta/ 運動選手と部活の顧問の悪循環について、このブログではこう言っています。 「今の日本にはプロになりきれなかったアスリートたちが働ける場所が少ないという、決定的な問題があります。 日本には部活動というシステムがあるために、多くの子供たちにとっては気軽にスポーツを体験できるというメリットがありますが、 部活動というシステムがあるがゆえに、地域や民間のクラブチームは発展しにくく、指導者としての仕事も増えていかないというデメリットもあります。」 なるほどね。中途半端やなあ。 http://bukatsu-is-volunteer.blog.jp ★部活動『選択の自由を』運動★ 【現在の参加者:23名】 ①部活動の顧問拒否 ②勤務時間外の部活動の指導拒否 ③運動部の顧問は拒否(文化部の顧問を希望) ④主顧問は拒否(副顧問になる) ⑤やりたい部活動以外の顧問は拒否 (自分がやりたい部活動の顧問になる) ⑥『部活動の顧問は負担である』と管理職に伝える。 または職員会議で発言する。 (①~⑥の詳細は後述します) この運動への参加者が少ないことが、また、さまざまなことを物語っていますね。 内田さん自身のブログはこちら。 http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20150403-00044487/
by eric-blog
| 2015-11-24 16:36
| ■週5プロジェクト15
|
最新の記事
ERICからのお知らせ
2023年度ERIC主催研修
ESDファシリテーターズ・カレッジ 前期 テーマについて学ぶ 【ESDイシューズについて学ぼう!】 3つのイシューズから課題に気づき、問題解決に取り組む 前期 【テーマ: ESDイシューズについて学ぼう!】 3つのテーマから課題に気づき、問題解決に取り組む 環境/PLT 2023年6月24-25日 国際理解 2023年7月29-30日 人権 2023年9月23-24日 後期 【スキル: ESDコンピテンシーを育てる!】 3つのキー・コンピテンシーで問題解決の力を高める わたし 2023年10月28-29日 あなた 2023年11月25-26日 みんな 2024年 1月27-28日 各講座土日開催です。 TEST教育力向上講座は2024年3月に開催予定。 参加はオンライン受講も受け付けます。お問い合わせください。 参加申し込み: webでの申込はこちらから https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfCwrZxu0NEhmJINrbtxX7knhM_eqIX3Qahd--mdkvgyowGlw/viewform ==問い合わせ== eric(a)eric-next.org メルマガ登録はこちらから。 http://www.mag2.com/m/0000004947.html 検索
カテゴリ
●3.11地震・津波・原発 ○子ども支援・教育の課題 ◎TEST 教育力向上プロジェクト ☆よりよい質の教育へBQOE ☆アクティビティ・アイデア ☆PLTプロジェクト ◇ブログ&プロフィール・自主学習ノート □週5プロジェクト23 ■週5プロジェクト22 ■週5プロジェクト21 ■週5プロジェクト20 ■週5プロジェクト19 ■週5プロジェクト18 ■週5プロジェクト17 ■週5プロジェクト16 ■週5プロジェクト15 ■週5プロジェクト14 ■週5プロジェクト13 ■週5プロジェクト12 ■週5プロジェクト11 ■週5 プロジェクト10 ■週5プロジェクト09 ■週5プロジェクト08 ■週5プロジェクト07 ■週5プロジェクト06 ■週5プロジェクト05 ■週5プロジェクト04 ■週5プロジェクト03 △研修その他案内 □研修プログラム □レッスンバンク ▲ファシリテーターの課題 ?リンク 草の根の種々 ERICニュース 国際理解教育and You詩歌 □ 最新のコメント
フォロー中のブログ
PLT2006年版翻訳プ... ERIC用語集 PLT 幼児期からの環境体験 リスク・コミュニケーショ... アクティブな教育を実現す... プロジェクト・ラーニング... エコハウスでのエコな生活... 外部リンク
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 2004年 07月 2003年 05月 最新のトラックバック
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||