見捨てられた初期被爆
study2007、岩波書店、2015
2396冊目
岩波『科学』 @IwanamiKagaku 11月16日
study2007氏が13日(金)にお亡くなりになりました。
ツイッターを通じてお知らせするご依頼にもとづき皆様にご報告いたします。
2007年にがんを発症されてからのアカウント名だったのだろうか。原子核物理の研究者。小学生の子どもをもつ親として、と巻末のプロフィールは言う。
「避けることのできるがんリスクが非科学的で理不尽な理由により、多数の子どもたちに押し付けられるのを、私は許すことはできません。」と、あとがきのようなコラムで著者は、自分自身のがん闘病体験でであった小児がんの子どもたちを思って書く。
学部時代の指導教官は肝がんで50歳になるかどうかで死亡。
大学院生時代に指導してくれた助手の先生は白血病。
就職してから面倒みてくたれ教授も血液がんで死亡。
医者にがんが多いというのは本当だったのね?
著者が警鐘をならすのは、専門家会議が「被爆料の過小評価と事故影響の矮小化」に走っていること。「住民の被爆防護と補償は切り捨てられて来た」こと。3
その中で、3.11以降の初期被爆の切り捨てられてきたというのが、この本の趣旨です。
図5.5がもっとも如実にそのことを物語っています。そして、その数字は、研究者として著者が被ばくしてきた量をはるかに越える、比較にもならないような数値なのです。
累積被爆線量を考える時に、大きな割合をしめるはずの初期被爆。しかし、その頃、誰が被ばく量のモニタリングなどしていたでしょうか?
データが存在しないことをいいことに、誰もまともに考えようとしていない。
いま、ナオミ・クラインの新しい指摘「This Changes Everything」の映像を見ていますが、彼女は「科学万能主義」「問題解決のための科学解依存」が今の問題の根っこにあると言います。
http://thischangeseverything.org
このナオミ・クラインの気候変動問題についての取り組みが『世界』12月号に紹介されています。
https://www.iwanami.co.jp/sekai/
科学とは何か、考えさせられることばかりです。