英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる
施光恒、集英社新書、2015 2389冊目 IWJのインタビュー動画! やったあ。 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/284349 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/290109 英語を公用語にという議論は、第二次世界大戦後だけではなく、明治期にも盛んに行われた。その時の実際は、「翻訳」と「土着化」だった。 著者は、その時の決断が日本の近代化を押し進めたと言う。 それがいまや、企業や大学の授業なども「英語」がはびこっている。嘆かわしい。23 著者は、ヨーロッパにおける「ラテン語」至上主義が庶民を知的世界から排除していたと指摘する。聖書の「土着語」への翻訳が知の革命を起こしたという。 普遍語であるラテン語で書かれた聖書を、土着語に翻訳することで言語が国語へと発展。 普遍が各地域の文化の中に位置を得て受容される。63 土着化 普遍語のみを偏重することは中間層を愚民化する。64 「翻訳」と「土着化」のプロセスを通じて、それぞれの国の一般の人々がなじみやすく参加しやすい、また自信を持って活力や創造力を発揮しやすい各国独自の社会空間を作り出す。近代化のカギはそこにあった。65 どんな社会がわたしたちがいきいきと政治や社会に参加できる社会なものだろうか。 明治時代、森有礼は、「日本語廃止論」を展開。アメリカのホイットニーが反対した。 「大衆を啓蒙しようというのであれば、主として母国語を通じて行われなくてはなりません。」72 外国語学習に割く時間がふんだんにある少数の特権階級だけがすへべての文化を独占することになる。格差と断絶。72 福沢諭吉は日本語による「文明開化」派。 馬場辰猪は四点で英語公用語化に反対。79 学習に時間がかかる。 英語を話せる特権階級だけしか参加できない。 社会を分断し、格差を固定化する。 一体感を損なう。 国語辞書は近代国家存立の礎 大槻文彦の『言海』 では、いまの英語化論の何が危険か。 124 新自由主義のもとで、多様な意見に耳を傾ける民主的プロセスが軽視されている。合理的効率優先。 現場の声など聞くな。 1. 「開放経済」 2. 「規制緩和」 3. 「小さな政府」 130 エリート階級のための新自由主義。 アメリカでは、上位1%の富裕層の所得が23%にも上っている。1930年代の大恐慌前にも似ている。8.9%まで、1976年には下がっていたのに。132 英語化が新自由主義の陣営によって主張されているだけではない。 英語化そのものが日本らしさを壊すという。162 1. 思いやりの道徳 自分や相手のことをさす言葉が多様、役割で語る、「わたしは、人との「間」において決定される。」166 2. 「ものづくり」を支える知的・文化的基盤 暗黙知からの学び(野中郁次郎) 英語で学ぶことで、日本語が「現地語」する。翻訳による日本語のバージョンアップが起こらない。 3. 良質な中間層と小さい知的格差 表記システムに漢字があることが格差を小さくして来た。(鈴木孝夫) pithecanthrope hydrocephalus pyroclastic anthropophagy 猿人、水頭症、火砕流、食人であれば、専門家でなくても、意味がわかる。186 身近な日常語に結びつけるのが漢字。 4. 日本語や日本文化に対する自信 5. 多様な人生の選択肢 日本は貿易依存度が低い。外国の経済の影響を受けにくい。 つまり、英語化は閉塞感の加速につながる。 英語支配の序列構造 「特権表現階級」津田幸男 英語を中心としたグローバル化では日本はリーダーシップをとれない。 日本が主張すべきは「棲み分け型の多文化共生世界」である。224 1. より適切な近代化理解 2. 日本社会の良さやらしさを損なわず、いきいきと暮らせるか 3. 公正さという価値 積極的に学び合う、多元的秩序 同時に内需中心型経済への回帰227 そして、経済移民を生み出さない世界の構築 「翻訳」と「土着化」の継承 そして、海外においても、各国の翻訳と土着化を支援する。 母語で豊かな人生を送れる世界。公正な世界秩序づくり。 エリートの反逆 = エリートの存立基盤そのものがグローバル市場になったための変質 = ラッシュ もろくなる民主主義 【参考情報】 文化が失われるということ ー 英語に掻き消されていくフィリピンの面影 http://asread.info/archives/861
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| 2015-11-11 14:36
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