読めなくても、書けなくても、勉強したい ディスレクシアのオレなりの読み書き
井上智・賞子、ぶどう社、2012 2377冊目 著者のブログはこちらから http://sky.geocities.jp/dyslexia_tora/ そして、43歳にして、著者が自分自身が「ディスクレシア」であることを知った本の著者、品川祐香さんの活動はこちらから。 http://www.kodomowakamono.com Dyslexia 読字困難症 表意文字を使っている日本語には読字困難症の人は少ないのではないかと思っていた。意味で連想して、文字を把握することができるだろうと思ったからだ。 しかし、数字も難しいというのであれば、それはどんな障害なのだろう? 知能は低くないのに、文字が読めないことで被る不利益の大きさに、愕然とする。 昔を思い出すと、にえくりかえるような思いがするという著者。 いまでは、チェックリストもあるから、自己診断も可能だ。 http://ondyslexia.blogspot.jp/2013/01/blog-post_15.html ディスレクシアとは: - 知能は普通だが、読み書きが苦手(誤字が多い、読み書きが遅い、読み間違いが多い) - 独創的で、対人能力が高い。空間把握力、全体像や物事の関係性を把握する能力に長ける。 - 音と文字の脳内での結びつきが弱いことから起こるらしい - 読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい - 細かい聞き間違いがみられるが、音声情報の処理能力は高い - エピソード記憶が得意。固有名詞などの細かい丸暗記は苦手 - 適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される - 10人に1人程度いるというのが通説 「当ブログは、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能である、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要--という立場」 そして、きっと、その程度には大きな幅があることだろう。 自閉症児に、特別な力がありえるから大切だというような論法には賛成できないけれど、「個別化対応」が必要というのは同意できる。 そして、そのような支援が得られなかったのが、この本の著者の場合だ。 本人の能力の高さは、陸上における能力の発揮、会社経営、読字困難にもかかわらず試験に合格して資格取得などの、これまでの経歴にも見て取れる。 でも、読字困難なのか、知能なのか、学習意欲なのかは、とても判断しにくいだろうなあ。現場では。 いずれにしても、どのような障害があろうとも、一人ひとりの「自尊感情」をいやしめることのない対応が必要だというのは、共通しているのだろう。 小学校5年生の時に差し伸べられた手。しかし、その手をも、プライドの高さから、特別な支援を受け入れることができないプライドが、それまでの小学校生活で出来上がっていたのだ。かなしいことに。 そして、陸上競技での活躍。 ブログのカテゴリーのタイトルが、これまでを語っている。 挫折の始まり~小学校低学年 偽ることと疑うことを覚えた日々~小学校高学年 恐怖で支配することを知った~中学時代 夢をあきらめた日~高校時代 「知られてはいけない」と確信した日々~社会の洗礼 この本は、ほとんどブログの記事の再構成。 「学ぶ」ということがリアルな学び。 言葉だけでは学べない。それは決してつまづきではないのに、言葉だけが先行している社会のゆがみ。 例えば、と出されている例が「脊髄」と「延髄」だ。本人の読みは両方とも「セキズイ」。しかし、意味の違いはわかっている。そして、脊髄が背骨に通る神経索のことであり、延髄は小脳下の部位のことだということは、わかっている。 それがわからないと、この二つの単語の違いを知ったことにならない。 それが井上さんの学びだ。言葉だけでわかった気になる人以上の学びがなければ定着しない。しかし、知ることはとても楽しいのだと、言う。 そんな学びの嬉しさを知っていることだけでも、すばらしいなあ。 まだまだこれからの井上さん。これからの人生、豊かなれと願う。
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| 2015-10-21 10:20
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