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襤褸の旗 松下政経塾の研究

襤褸の旗 松下政経塾の研究
出井康博、飛鳥新社、2012
2364冊目

まだ野田佳彦さんが首相だったころに、松下政経塾から初めて首相が出たとして、取り上げられた、というところか。

野田さんは松下政経塾の1980年、一期生である。
1999年から取材を続けているという筆者。「日本の政治を変える」という松下幸之助の遺志をどれほど塾が実現しているかと問う。

政治巧者は生まれたが人物は生まれていないのではないかと。

「徴兵拒否」は許されないと言いつつ、現在、塾生による選挙活動支援は許されていないという。中途半端なことせずに、企業の金もつぎ込んで、本当にかけられる人材にかければ良かったのにねえ。どんな政界再編がありえたか、おもしろいじゃないの? まあ、それがいなかったということか。

首相を出しても、解散されちゃうんじゃねぇ。国政に送り出すだけではだめだというので「ちにか運動」とかも生まれるし。地方から日本を変える?

とはいえ、取り上げられている人々はとても多彩だ。

そもそも、なんでこの本を手に取ったかというと、田中正造ツアーである。『襤褸の旗』という映画があるというので、ネットでチェックしたらひっかかってきた。なぜ、この本のタイトルにしたんだろう? ズダボロの布を合わせた旗という意味なのになあ。

大学院の頃、1984年頃か、そういえば、募集要項を見たなあ。朝の掃除と朝礼があると聞いて、驚いた。企業研修の延長かと。

1994年頃に、塾卒業生だという女性に出会って、「へえーーー、女性も採るのか」と驚いたこともあった。どうしているかなあ。

http://www.mskj.or.jp

「理想社会のビジョンをつくり、その実践者になることです。」

だとしたら、わたしが参加型学習で共有していることも、そういうことなんだけどなあ。

「政治家・企業経営者・社会起業家・教育者・研究者」

リーダーだけを見ていると、世の中の動きを間違うのではないかと、改めて、この本を読んで思った。

給料を保証された経済的徴兵、募集人員、万単位。
研修資金を支給される塾生、10人単位。

いろいろ、驚かされることも多い松下政経塾。「政治家予備軍」の増員に貢献したことは確実である。どうせなら、「落選」した人に四年間の活動資金提供をしてあげた方がいいのではないだろうか?

さて、この本、最後に野田佳彦さんの「最後の役割」として「自民党民主党をまとめてたたき壊すこと」を提起している。

民主党はつぶれたね。そして、自民党は日本の「地域から日本をつくる」政治の最悪の形として、17%の得票率で多数派に居座り続けている。

民主主義ってなんだ?

いや、民主主義体制によって何を求めているのだろうか?

日本列島しか、日本の政治状況しか、極端に言えば政局しか見ていない人材をぼろぼろ生み出してどうする?
by eric-blog | 2015-10-02 09:23 | ■週5プロジェクト15
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