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最新右翼辞典

最新右翼辞典
堀幸雄、柏書房、2006
2353冊目

目次をみてわかることは、右翼運動は「個人」であるということだ。環境教育事典や教育辞典に、こんなに目次に人の名前は並ばない。おかしなことだ。

そして、名前から判断するに、すべて男性である。

つまり、右翼運動は、個人の力のある男性が動かしてきたということだ。

左翼運動の歴史を見ても、きっとそうなのだろう。ただ、左翼はこんなに「人」が前に出るだろうか。出すだろうか。

閑話休題。

憲法法案とか、気になる項目はあるのだが、一つだけ、紹介する。

元号法制化

日本会議の動きを紹介する文章の中で、「天皇在位50年」の祝典の成功とそれに続く元号法制化の動きが右翼に自信をあたえたというようなことがあった。

で、ひもといてみた。

戦後、なんとなく棚上げにされてきたものが、1972年に自民党内閣部会に「元号に関する小委員会」設置。1975年、三木武夫首相「元号を前提に」の発言から法制化の動きへ。
生長の家、神道政治連盟、仏所護念会、軍恩連、日本遺族会などの右翼五団体で1977年元号法制化推進連絡会議結成。
地方議会から決議をあげさせ、1978年暮れまでに、沖縄を除くすべての都道府県会議から決議があがる。
1979年可決成立。

著者はいう。この法案の成立過程が、民主化されなかった日本社会のありようをしめしているのではないかと。

今日の研修でも、「300年間、「封建的な身分固定社会が続く」のも悪くないのではないか。一子相伝の技が続く可能性もあるのだからと。」という意見があった。

人間は、遺伝子という生物的情報と、社会文化的な遺産という社会的情報と、それらの上に、表現型という個体としての発言の複雑さで構成されている。

人権は個体に依拠しているようでいて、人権侵害にいたる差別事象は社会文化的な条件から来ている。そのために社会運動で解決しなければならない側面が必ず出てくる。

個人の力を伸ばすのと、集団の力を伸ばすのと。

右翼の運動は、「伝統」「祖国」という既存集団に立脚した個人の力
左翼の運動は、「普遍性」「連帯」というアソシエーションに立脚した大衆運動。個人の主張が、弱いのかなあ。運動を支えているのは、いずれも個人であることは変わりないのだが。

伝統や祖国がわかりやすいというのは否めないし、天皇という一子相伝的に続いたものという実例も、パワフルだよね。天皇のない右翼運動と天皇のある右翼運動って誰か比較分析してくれているのかなあ。
by eric-blog | 2015-08-12 07:58 | ■週5プロジェクト15
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