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本当の戦争の話をしよう 世界の対立を仕切る

本当の戦争の話をしよう 世界の対立を仕切る
伊勢崎健治、朝日出版社、2015
2347冊目


加藤陽子さんの書評「若者と国家の双方に対する生き方指南」
『それでも、日本人は戦争を選んだ』の著者だ。
http://ericweblog.exblog.jp/10676683/

伊勢崎さん自身の本もこれまで二冊紹介してきた。

『自衛隊の国際貢献は憲法九条で』
http://ericweblog.exblog.jp/19540459/

『日本人は人を殺しに行くのか』
http://ericweblog.exblog.jp/20462353/


この本は福島高校の生徒、18人に対する5日間、20時間の対話的講義の記録。とてもストレートに、語り合う姿が見えてくる。2012年1月。プレハブの校舎は、伊勢崎さんに戦場の記憶を呼び覚まさせた。

「経験者が語る経験値というのは、すべてその人に都合良く演出されたもの。018
ということを前提に。彼の話を丸ごと受け入れるような話として聞く必要はない。

日本は、戦争に金をだし、自衛隊も送っているのに、「戦争している」という実感がない。なぜか? 022

脅威」は、ときに人間に、それから逃れるための究極の手段として、戦争を選択させる。・・・まえがきより

セキュリタイゼーション 「このままでは大変なことに」
仕掛人が脅威をあおる。1991年の「ナイラの証言」によるイラク開戦。

さらに、
国際社会は「保護する責任」を、ルワンダでの大量虐殺事件の経験から胸に刻んだという。

伊勢崎さん自身、「介入」がなければいちばんいいんじゃないかと思うとも言う。

例題
リビア 020
42年間にわたるカダフィによる圧政。2011年に大規模なデモが発生。内戦へ。
国連が軍事介入を認め、NATO軍が2011年3月からの7ヶ月で9600回空襲。
カダフィ政権は倒れ、カダフィも民衆に殺された。
しかし、圧政はあったが「貧困がない」「治安が良い」国だった。

アメリカがつくる”平和な”戦後の一つの形=沖縄
アメリカの駐留を認めた安保。
憲法とアメリカの傘

例題
ビンラデイン 069
東京の新宿歌舞伎町にオサマ・ビンラディンが潜伏していた。
それをアメリカのCIAがキャッチ。アメリカの特殊部隊のヘリがあらわれ、ビンラデインを狙撃、したいもろとも帰って行った。日本政府にも知らせない奇襲作戦だった。

パキスタンのアボタバードで、実際にはビンラデインは殺された。パキスタンの人々はどう思っただろうか?

例題
東ティモール 083
2002年にインドネシアから独立。
元々、インドネシアがオランダから独立した1949年、東ティモールはまだポルトガル領だった。スパイを送り込んで、インドネシア派を作ろうとする。が独立派に阻止され、1975年軍事侵攻。インドネシア政府は「インドネシアは一つ」という秩序を脅かすテロリストとして独立派を弾圧、国際社会はそれを非難し、インドネシア国家をテロリスト国家と。
1998年、スハルト政権の崩壊とともに、態度が軟化。1999年8月住民投票実施、完全独立が支持された。089
2割のインドネシア併合派民兵たちが最後の破壊と殺戮に向かった。
多国籍軍の投入。正規軍の圧勝で終わる。

東ティモール政府の始まり。コバリマの知事に伊勢崎さんは就任する。併合派民兵の散発的な攻撃があったので、多国籍軍が常駐していた。
そこへ、パトロール中に行方不明になったニュージーランド軍兵士が遺体となって発見される事件が起きる。復讐戦が始まる。
知事である伊勢崎さんは、国連平和維持軍であるニュージーランド軍の武器の使用基準を緩めてしまう。そして、敗走敵兵10名を全員射殺。091

テロリストの「人権」は考慮されない。

戦争が「正義」であるという証拠を有権者に示し続けなければ、民主主義は、戦争という「政策」を維持できない。106

アフガニスタンは軍閥が支配していた。その支配にあきあきした人たちが頼ったのが「タリバン=学生」。タリバン政権が樹立されるが、アルカイダとの関係が問題視され、9.11以降のアメリカの報復攻撃で崩壊。再び軍閥が跋扈。伊勢崎さんは彼らの武装解除を依頼される。107
軍閥の抑止力がなくなったアフガニスタンに、タリバン、アルカイダが戻る。


例題
太地町とシーシェパード
シーシェパードは漁民を徴発し、暴力を引き出し、それを公開することで抗議の声を高めるという手法を取っている。

『ザ・コーヴ』は2009年に作られたドキュメンタリー。


例題
家に鍵をかけない方法 135
・相互監視
・泥棒が出るという問題そのもの
・番犬を飼う

「芦田修正」憲法第9条2「前項の目的を達するため・・・」
紛争解決のための武力という解釈になっていく。

例題
国連平和維持軍で南スーダンに派遣されている自衛隊に「保護する責任」は果たせるか? 230

例題
Boots on the groundとかお金だけは卑怯だとか本当かな? 235

多国籍軍なんてやっかいなだけ。お金の方がいいよ。という考え方もある。

例題
国連軍に人を出すと、加盟国からのお金が派遣国にお金を払う「国連償還金」システム。238
貧しい国々にとっては、派兵が貴重な外貨稼ぎになる。日本が派兵するのは彼らのチャンスを奪うことにならないか?

例題
民間会社は経済性が高い。ブッシュ政権以来、急増してきている。241
が、彼らは軍法にも縛られない。現地法でも裁かれない。イラクに派遣された自衛隊も、実は同じ問題を抱えていた。

その後、民間会社についてはイラクに裁判権があるとなった。244
しかし、武装勢力は、排他的な民族意識を操り、群集心理に駆られた一般市民の群れとともに攻撃をしかけてくる。民間人を殺す恐れが出てくる。
246

「保護する責任」=予防、対応、再建248

予防の段階から。
開発援助もその一つ。
軍事監視団。数名の派遣。停戦監視などを行う。自衛隊も参加したことがある。254

例題
戦争が集結し、平和が訪れている。
戦中になされた人権侵害は、まだ明るみになっていない。真実は暴くべきだろうか? 過去の忘却を、平和のために選択するべきか? 301

教育の力で、人権を、暴力の魅力を上回るものとするのは不可能。313
子ども兵士の中には、自分の意志で参加したケースも多かった。「かっこいい」から。

例題
大人兵士に命令を下した子供司令官は、同じ子供ということで、他の子供と同じように扱うべきなのか? それとも大人の幹部と同じに、特別な罰し方を考えるべきか? 315

シエラレオネでは子供兵士が地元の学校に戻って過ごしている。

セキュリタイゼーションに誇張はつきものです。脱原発への政策転換は、・・・国民の大きな合意があるのだから、・・・声高に恐怖をあおるものや排他性を生んでしまうようなものではなく、「節度」を見極めながら進んでほしい。330

イラク並みの日米地位協定に変えるのに反対している米国関係者はいない。日本における現場と中央政府の距離感が、他の国と違うだけ。沖縄の問題は、本土の我々の気持ち次第。339

アメリカは人をあれだけ殺しているのに、人権や民主主義のあり方について世界をリードする。340

日本はどうか。

アフガニスタンの状況は悪化した。しかし、日本に対する「美しい誤解」のおかげで、テロの対象になっていないのか?

アメリカの戦争の現実を見てきた。379
アメリカに戦争させないってできないかな?
日本の立ち位置をもっと活かす方法はないのか?


ドイツ、イタリアの例はあるけれど、世界は福島から何も学んでいない。401

白熱教室のような、例題満載の問題提起でした。

■衆議院選挙2017での応援演説内容

<超重要*拡散> 伊勢崎賢治さん、山尾しおり応援演説 全文

「今、日本の国防の最大の脅威は、安倍政権です。これは、リベラルな立場で言っているんではなくて、極めて専門的な立場で申し上げています。その理由をおはなしします。」

=========

今、僕の紹介にありましたが、NGO職員とか、国連の職員。
僕もたぶん、護憲派で、リベラルで、平和主義者、みなさんと同じ・・(拍手)
・・だという印象をもたれているかもしれませんが・・、(笑い)
実は違った側面もありまして、 実は、僕は防衛省の自衛隊の先生です。もう10年やってます。ただの自衛隊ではありません。東京の目黒に統合幕僚幹部学校というのがあるんですね。陸海空の精鋭を育てる、高級過程というところで、幹部と候補生を10年教えてます。
なにを教えているか。戦争の勝ち方です。それを教える人がいないんです、日本には。なぜかというと、戦争にどう勝つかは、アメリカが考えるんです。自衛隊ってのは、非常にいいにくいんですけど、アメリカの二軍なんです。アメリカが考える戦略にどう従うか、ということだけをずーっと戦後70年考えてきた。

「もしかしたら戦争が回避できるかもしれない」
そういうことを主体的に考えたことが、日本はないんです。70年間。これはほんとなんです。自衛隊のカリキュラム、幹部候補生を教えるカリキュラムがそういうふうにできちゃってるんですね。

ボクはあまりテレビは観ないんですけど、今日の朝、たまたまみたら
朝からですね、自民党の安倍さんが出ているんですねCMに。
「この国を守る!」・・筆頭に出てくるのが、北朝鮮の脅威なんですよ。

僕は自衛隊の先生でありますし、国立大学の教員でもありますし、教えてる自衛隊の最高司令官は、安倍首相です。 その立場で非常に言いにくいんですけども。

今、日本の国防の最大の脅威は、安倍政権です。(笑い、拍手)
これは、リベラルな立場で言っているんではなくて、極めて専門的な立場で申し上げています。その理由をおはなしします。

実は、先月、今から3週間前 ぼくはソウルにいました。トランプ政権がこれから戦争やるやる、って言ってる ソウルって、北朝鮮の国境から、50キロちょっとしか離れてないんですよ。
ここから名古屋駅のちょっと先ぐらいです。そこに敵がいるんです。大砲向けてるんです。そこに呼ばれたんです。 

だれが僕を呼んだんでしょう。
アメリカ軍、陸軍の太平洋地区 最高司令官のロバート・ブラウン大将です。いちばんえらい人です。
ソウルでこの時期に太平洋地区の32カ国の、陸軍の最高司令官だけを呼んだ会議を開くから、そこで講演してほしいと依頼されました。アメリカに呼ばれたんです。
なんで、この時期に、アメリカの陸軍がそういう会議を開くか。
それもソウルですよ、ソウル。

アメリカは、一枚岩じゃないんです。
アメリカには大統領府がある。イケイケどんどんですね。安倍さんみたいに。
アメリカには、国務省があるわけです。外務省にあたる。
国防総省があるんです。軍があるわけです。軍の中でも、陸、海、空とある訳です。その中の陸軍です。戦争回避したいんです。彼らは。

なぜかというと、戦争が始まっていちばんおはちを食うのは、陸軍なんです。
それは、空軍であれば、基地を飛び立って、爆弾落として帰ってくるだけ。それだけですよ。爆弾落として、そのあとどうするんですか?
敵を倒すのは政権を倒すのは簡単なんです。アメリカの技術をもってすれば。
金正恩なんて、すぐ殺せます。
なぜ、それをしないのか。 リスクを考えているからですよ。

戦争というのは、敵国の政権を倒すだけで終わりじゃないんです。
その後に、人民がいるんですよ。
その人たちを統治しないといけないんです。そこではじめて、戦争に勝ったというんです。
日本人わかんないでしょ、この難しさ。だって、我々はうまく統治されたわけですよ。私たちは唯一の成功例なんです。我々が。
ところが戦後、アメリカはアフガニスタンで失敗した。だから私が呼ばれたんです。その前はベトナム。イラク。すべて、敵は倒したけど、そのあとの占領統治で失敗した。つまり、戦争に失敗してるんです。
だから、「開戦した場合のコストとリスクを将軍たちに教えてくれ」、という依頼でした。
これも、アメリカなんです。
大統領は、やれやれ言ってますけど。そこを考えて、じゃぁ日本政府はどうするか、って考えなきゃいけないんですよ。

ところがどうしたわけか、トランプ政権の足元で、きゃんきゃん、きゃんきゃん、小型犬みたいにきゃんきゃん吠えてる国があるわけです。これが残念ながら、我が国の首相なんです。

もし、開戦したらどうなるか。ソウルが火の海になる。50キロしか離れてない。
米軍を胎内に置く我々も狙われるかもしれない。たぶん、そこまでだったら、アメリカは総力をかけてあの政権を倒すでしょう。 倒した後が、問題なんですよ。
だって、200万人いるんですよ。あっちの軍が。
トップの首を落としたら、簡単に投降すると思いますか? しないんです。
そっからが大変なんです。内戦になります。

アメリカはいつでも、手を洗って、自分のとこに帰ってきます。
戦場となるのは、朝鮮半島かもしれない。ソウルかもしれない。もしかしたら日本かもしれない。
これが日本や韓国、こうした立場に置かれた国を「緩衝国家」といいます。
つまり、大国の戦争の狭間にある。戦場となるのは、我々なんです。
アメリカ本土じゃないんです。それも、通常戦力でできるわけです。何万人も死にます。試算が出てます。

だから、気をつけてほしいわけです。だって、アメリカの陸軍の軍人たちが、自分たちの代表に、気をつけさせるために、こういう会議を開いてるんですよ?
なーんで、日本の首相が煽ってるんですか?  ・・でしょ?

今、会場にお子さんたちがいらっしゃいますが、今ある平和がお子さんたちの代に、もし、なかったとしたら、それをそういうふうにさせる、最大の脅威は、
大変申し訳ないけど、安倍政権です。 安倍政権です。

ぜひ、これは、ほんとに ご近所の方に、ここに来られているみなさん、伝えて下さい。このままにしていたら大変なことになります。 ぼくだけじゃないんですよ、実は言ってるのは。自衛隊のOBたち、それも幹部経験者の一部の方はキャンペーンをはじめました、実は。粛々と。反政府運動はできないけども、立場としてね。安倍さんのあのやり方は、まずい。日本の国防を脅かす。
国防をだれよりも知ってる方が、そういってるんですよ。
絶対、安倍政権は倒さなきゃいけない。

山尾さんの話をします。
山尾さんが勝たなきゃならない理由はふたつあります。

一つは、もちろん、ここの自民党に負けるわけにはいかない。あったり前です、こりゃ。 絶対に勝たせてあげて下さい!

もう一つは、たとえ山尾さんがここで勝っても、たぶん、自公の力は弱まらない。つまり、ここで山尾さん勝っても、自公に勝てるわけじゃない。
それに対抗するには、それに反する勢力が、まとまらなきゃいけない。
まとまってますか?いま。 まとめる力が必要なんです。
それを期待しているんです。 (大きな拍手)

今回、幸か不幸か 無所属になったのは、ボクは結構うれしいんですね。逆に。
だからこそ、彼女のしがらみのない発言とか、指導力が、逆に発揮できる。

で、並み居る政党が、逆に彼女の元に集う。
その力を見初めたから、僕は彼女を応援しているんです。(大きな拍手)
野党をまとめるために、山尾しおりが必要です。

それだけじゃないんですね。僕が彼女に期待するのは。
戦後、世界のモラルに影響を及ぼすような、リードするような、日本の指導者、現われましたか?
たとえば、今のカナダの首相、トルドーさん。かっこいいですよ!難民とか、イスラムとの戦いについても、米国にはない新しい価値観。 忘れちゃいけない、ドイツのメルケルさん。また政権を維持しました。ああいう、一国のリーダーだけじゃなく、それ以上のものに。
その力を 彼女に、ボクはみたんです! (大きな拍手、歓声)
絶対、彼女はやるでしょう!  ね。
ボクは、ついて行きますよ(笑)ホントに。 あの、側近として。こき使って結構ですから。(拍手)

そういうわけで、今日の僕のメッセージは二つです。

絶対勝たせなきゃいけない理由は、この地元です。
もう一つは、彼女は、日本を率いるリーダーです。
世界のモラルをリードする人間です。 そこです。

ほんとにほんとに、僕は、なにもしょってません。一研究者ですから。
安全保障専門家を自負しています。
今の自衛隊の幹部すべて、幸か不幸か どんなにえらい自衛隊の幹部でも、戦ったことないんです。それはよかったかもしれない。
ボクは逆に戦う現場にいました。国連の多国籍軍を率いる立場にありました。アメリカ兵とも行動を共にしました。 実際 僕の命令で、人が亡くなっています。
その立場の人間として申し上げます。
今一度、申し上げます。

安倍政権をこのままにしておいたら、我々の子ども、孫、今ある平和は続きません。
最大の 国防の脅威は、安倍政権です。これを、僕の立場で、申し上げます。
ありがとうございました。  (大きな拍手)

 
~~10月17日 愛知7区 山尾しおり 瀬戸つばきホール
      「立ち向かう集会」にて

伊勢崎賢治さん(東京外語大学大学院平和構築学教授)の応援演説でした!

       
               文責・小原美由紀 
  

動画はこちら▽13分▽  再生回数1,178回から

https://www.youtube.com/watch?v=y7VrtDmtzbI


by eric-blog | 2015-07-30 14:21 | ■週5プロジェクト15
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