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“記憶”と生きる 元「慰安婦」姜徳景の生涯

“記憶”と生きる 元「慰安婦」姜徳景の生涯
土井敏邦、大月書店、2015
2328冊目

ドキュメンタリー映画『”記憶”と生きる』の監督が書いたもの。
http://www.doi-toshikuni.net/j/kioku/

2013年5月13日、橋下徹大阪市長が慰安婦制度を肯定する発言をした。

1991年8月に、韓国で金学順(キムハクスン)さんが名乗り出てから20年以上たっても、問題解決には至らない。

しかも、最近、になってひどくなっている。

1998年にはすでに出来上がっていたが、発表の機会がないままになっていたものが、ふたたび、日の眼を見ることになった経緯を、著者はこう説明する。もう解決に向かうものだと思っていたのに、と。

日韓国交回復50周年。

「記憶」のポリティックスは、まだまだ歴史との折り合いがついていない。特に、加害の側において、だ。

まだ語られていないのは「加害」の側だと、いつも思う。加害の側の「自虐」と「抗弁」と、「誇り」と「無念」と、「悔悟」と「怯え」と、「開き直り」と「反省」と、それらのすべてが、語られたものを、わたしはまだ知らない。

戦友会だけの語りでもなく、告発だけの語りでもない。戦後をどのように地域社会の視線の中で生きたのか、それを知りたいのだ。

「被害」の側は、いまの人権の「正義」の側にある。そのひだに分け入っていも、聞く耳持たぬ人には届かない。そう思う、このごろ。
by eric-blog | 2015-06-23 11:58 | ■週5プロジェクト15
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