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日本軍兵士・近藤一 忘れえぬ戦争を生きる

日本軍兵士・近藤一 忘れえぬ戦争を生きる
青木茂、風媒社、2006
2325冊目

本職はサラリーマンという著者による近藤さんにたいする2003年9月から12月にかけて行われたインタビューをもとに書かれたもの。186ページ。

しかし、最後に近藤さんは言う。「私の体験してきたこと、私の思いは、文章に書き尽くせるものではありません」と。186

「あの戦争で私たちが行った加害と被った被害の両面を、力の続く限り話し続けます。」と。

中国戦線での加害の経験を、沖縄戦に転戦していた近藤さんは、落ち続ける砲弾をかいくぐりながら、思い出す。

「日本の普通の国民がこんな眼にあっていると思った瞬間、私は中国で兵隊でも何でもない農民を同じようにしてきたことを思い出しました。・・・中国でやったことが今度は日本にふりかかっていると思いました。」183

東洋鬼、トンヤンキーと呼ばれた日本軍。

どれほどの残虐行為が、刻まれたことか。麻痺した感覚のもとで。
強姦するのは小隊長と古年兵だ。

1943年、三年兵だった近藤も、強姦に加わった。女性の心情を思いやる心ひとつなく。26


「捨て石にされた沖縄戦」講演で使う掲示用資料、p.146
日本軍62師団(石)11700名、24師団(山)14300名、44旅団(球)4800名。
米軍 歩兵師団、海兵師団、合計54万8000名、軍艦1500隻余。
米軍発狂者: ガダルカナル戦600名、サイパン戦1100名、硫黄島戦6500名、沖縄戦26000名

NHK 『沖縄戦 全記録』2015年6月14日(日)
午後9時00分~9時58分
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2015/0614/

沖縄戦は、加害の側にも、大きな傷を残しているのだ。


中国の加害と沖縄の被害の両方を語る人は少ない。

中国での加害は、戦友会で楽しげに語られるにすぎない。オープンに語ることはいまだにタブーだという。

そして、この本は戦友会での語りから始まる。

「おもしろいものを見せてやるから」と見せられたのは中国人女性に対する「いたずら」だ。12

又裂き、蓑踊り

そして、彼らは「あれはおもしろかった」と話すのだ。13

自慢話のように。

しかし、それらの話は「普通の良識ある社会では受け入れられない」ことも理解している。だから外に向かって話す人はほとんどいない。15

戦友会は敗戦後数年してから行われるようになる。



アジアの人々から信頼されて初めて日本人は生きていける。侵略の事実を日本人が知り認めることが不可欠だ。147

■沖縄、戦後70年 「遠ざかる記憶 近づく足音」
http://www.qab.co.jp/news/2015060266680.html
by eric-blog | 2015-06-18 10:59 | ■週5プロジェクト15
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