仮設のトリセツ もし、仮設住宅に暮らすことになったら
岩佐明彦、主婦の友社、2012
2316冊目
まだ、ブログで紹介していなかったか。『サラエボ旅行案内―史上初の戦場都市ガイド』
このガイドを読んだ時と同じような感慨があった。どっこい人は生きている。
仮設でない仮設を提供しようと努力した地元工務店の取り組みも知った。
紙管のような新素材で作る試みも聞いた。
暑さ、寒さ、隣の音などなどに、気が気でなく住んでいる話もあった。
一方で、互いを支えあう話も。
この本を読んで、知りたいと思ったこと。「仮設住宅コンテスト」ってあるのだろうか? もちろん、世界仮設住宅展示会なんていうものはとっくにあるのだろうけれど。
東日本大震災でつくられた仮設住宅の数=52191戸。
確かに不自由だ。確かに不安だ。確かに苦労がある。確かに不満はたくさんある。それでも、人はそこにとどまっているんじゃないんだなあ。
昨日、日本エコツーリズム協会で、「三陸ひとつなぎ協会」の伊藤さんの話にも感動した。緊急支援は半年ほどで、その後3年が復興支援、そしていまは地域の持続可能性に取り組む、地域らしさ、地域に生きることを応援するプロジェクトへと変化しつつ、走り続けておられる姿だ。
哀れみでもない。
そこに生きる人との出会いで、学んだことは多かったと、現地をたずねた参加者のフロアからの発言もあった。
問題がいっぱい報告されているということは、きっと進化が速いということなんだ。なぜっと、人は、自分が解決できそうな問題しか、認識できないんじゃないだろうかって、この本を読んで思ったから。
そういえば、どこかの駅構内で、コンペ作品が並んでいたことがあったなあ。
http://www.j-kana.or.jp/k-compe/
ともあれ、この取り説、みょうに具体的。
生活必需品として支給されるもののリスト。100だよ? どうよ?
それでいて、困っていることは1. 収納だというのだら、どんだけ物が多いんだ、わたしたちの生活。
そして、建設費410万円。面積29.7m2。建設まで200日。工期じゃないよ。
建設費が結構お高いのは、「撤去」も含めているから。らしい。
基本はプレハブリース型で社団法人プレハブ建築協会の会員企業が建設するもの中心らしいんだけれど、地元公募型というのもある。その場合、木造が多いなあ。岩手県陸前高田市、遠野市、住田町、宮古市、福島県三春町、
郡山市、二本松市のログハウスなんていうのもある。
今回の被災地が寒い地域だっただけに、玄関前の「風除け室」を自作した人も多いらしい。それがまた個性的だと。
仮設住宅住まいは2年以上にはなることを覚悟しろと。
そんなこんなの小さな工夫が、生活を彩る。
こんな「残念」なことも、世界にはあるんだし。
http://temita.jp/wd/picture-t/img/15802
【関連】
仮設住宅アーカイブス、福島の応急仮設住宅、柴崎恭秀、2014