土の笑い オキナワへ、オキナワから
金城実、筑摩書房、1983
2512冊目
1939年生まれ。44歳の時の自伝。
浜比嘉島という離島に生まれ、沖縄の島々が「日本化」=近代化していく中で、近代に対するあこがれと、土着に対する恥ずかしさを育てていく。
何度も島からの離脱を求め、出て行った先では「沖縄語」を封印し、沖縄から逃れようとするが果たせず、再び島に逃げ帰り。
予備校に四年、大学に8年。33歳になった時、「土」による彫刻の世界へ、独学で入っていく。突き動かされて。美術学校を出たわけではない者のルール違反のやり方で。
人間を観察すること。風呂屋に通う。それを4-5年続けた。デッサンはしない。
沖縄戦に対するこだわり。
父親は志願して参戦。遺書に「この第二次世界大戦に勝ったあかつきに、初めて沖縄の人間は日本人と同等に扱われるようになるだろう・・・」
立派な日本人に育ててくれと。
差別と排外的忠誠心
人類館事件による、台湾、朝鮮、アイヌと並列されることへの沖縄の抗議。日本人にならなければ、なりきらなければという努力が、他の被差別者を踏みつけていく。24
80年、41歳にして、3年かけて作成した「戦争と人間」という縦4m、横12mのレリーフを全国80カ所で展示。
久米島・渡嘉敷虐殺事件は、終戦の8月15日の三日後、8月18日から20日の三日間で起こった。
曾野綾子さんの『切りとられた時間』の犯罪性。
沖縄が日本になろうとした努力の見返りとしての自決、集団殺戮をどう切りとるのか。どのように切りとれると言うのか。と。
土は、金城さんのテーマだ。
人の死が土を介して笑いになる。
島から出て行って、コザの街で生き、ある日、こっそりと担架で運ばれてきた女の子。
1880年代の第一次言語戦争
1940年の第二次言語戦争。軍規によるスパイ呼ばわり。
1980年、集団就職した青年たちによる同胞リンチ殺害事件。「お前がのろいから、わしらが辛い思いをする。」
同化と異化
この頃の作品と、いまわたしが目にしている作品は、ずいぶんと違うのだろうなあ。
【その他の本より】
『彫塑 金城実 作品集』1993、東方出版
針生一郎さん「よせて」より
金城実のめざすものが、個体ではなく群像の表現であり、単身像の場合も眼にはみえない状況や運命の表現だからです。」
ポストモダンという近代のどんづまりにとっては、金城実さんこそ先駆的