神々の笑い 肝(ちむ)苦(ぐ)りさやー沖縄(うちなあ)
金城実、径書房、1986
2510冊目
苦しい彫刻である。
見つめることができない、でも、目をそらすこともできない。
そのディーテールを知りたい、のに、知ることがかなわない。
そのディーテールを生きた人にしかわからないひだひだが、刻まれた像。
苦しい。苦しい。
本の副題そのものだ。
それは17世紀、薩摩藩の侵攻から始まった。
ながいながい苦しみだ。
太平洋戦争では日本本土で唯一血塗られた島だ。「本土」と認識していたのかどうかすら怪しいが。
いや、その前にもソテツ地獄があった。琉球処分があった。
方言を笑われ、方言札をかけられ、日本語を強制され、スパイを疑われ。
いや、しかし、金城さんが語るのは、自身の経験にも重ねた戦後の沖縄だ。
米兵のハーニーになって生き延びる女と生まれてきた子どもたちの物語。
彫刻に刻まれたひだの一つを、ゆがんだ表情の裏側を、少し、教えてくれる。
でも、笑い、なんだなあ。すごいなあ。
facebooks
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高橋美香さんの写真はこちらから。
https://www.facebook.com/mika.takahashi.9693?fref=ufi
個展では、写真もタッチもオッケーだったので。
哲学の庭のように、鬼とキリストと仏陀とが一本の木に彫り込まれている。
お母様の顔。
いちばん好きだった邪鬼。