ERIC NEWS 438号 ともによりよい質の教育をめざして  2015年5月17日

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ERIC NEWS 438号 ともによりよい質の教育をめざして  2015年5月17日
ESDウォッチャー  Toolbox 教育の再方向付けのために
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

5月15日、沖縄が本土復帰してから43年。今年、戦後70年ということは、27年間、沖縄では「アメリカーユー」(アメリカの世)が続いていたということ。一世代の長さですね。
本土復帰の運動のすえ、返還されてから43年。「ヤマトーユー」は沖縄の主体性や民主主義、平和への願いを尊重してきたのでしょうか? 
琉球政府時代、沖縄は日本の薩摩と中国の間で非武装を貫いていました。琉球弧という地政学的に難しい位置にあって、最善の生き延び方は武装ではなく、平和外交であったに違いありません。その心が、そして、第二次世界大戦での痛みが、いまも沖縄の人々を突き動かしているように思います。

いま、米国がグアム移転の可能性を検討しだしているのに対して、日本政府の姿勢は、沖縄の歴史的背景に従ったねがいを踏みにじるものだと思います。もちろん、グアムへの移転が、グアムの人々にとってどういう意味があるかも考える必要がありますが。
http://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/ec53db420d4d0f7467a64920f02b7a12

世界的な軍縮の流れは、どんどん開発される新たな武器の規制や禁止条約だけにとどまっているように思います。絶対的軍縮の流れを作り出さない限り、武器開発と規制強化のいたちごっこは続きます。

沖縄の運動は、大きな平和、大きな軍縮を目指した戦いであるのです。

すべての武器を楽器に

喜納 昌吉さんのメッセージは、沖縄の叫びでもあるのでしょう。

日本も武器輸出国の仲間入りをしてしまったいまだからこそ、日本の平和運動は、大きな視野で、軍縮、人間の安全保障、人権などの問題に取り組む必要があります。

日本人だというだけで、日本国憲法のもとで生きているだけで、世界の平和に貢献できていた時代は、終わったのです。

そんな時代に、

あなたは、どのように積極的に平和に貢献していきますか?

日本の軍需産業が開発・生産した武器が、海外で人を殺すのです。日本の防衛装備移転によって、敵が殺されるのです。日本のODAで整えられた顔認証システムや情報網が、テロリストを追いつめるのに活用され、その情報によって無人戦闘機が人を殺すのです。日本の集団的自衛権による支援によって、他国内での戦闘が激化するのです。

誰が敵なのでしょうか? 誰がテロリストなのでしょうか? わたしたちが正義なのでしょうか?

いま、リバイバル上映されている『ハーツアンドマインズ ベトナム戦争の真実』は、いかに米国内において「ベトナム人はにっくき敵だ、やっつけろ」という熱気が作り出されたか、「やつらを殺せ、殺せ」と兵隊たちが熱狂していく姿。武器を操作し、攻撃していくことそのものに興奮していくこと。しかし、自分がやられる側になったとたん、恐怖とふるえが止まらなくなること。その身体感覚は、除隊後も突然よみがえり、心臓をひっつかまえて、ばくばくさせることなどが描かれています。

いつも勝ち続ける側にいることだけが「平和」であり「安全」であり、「安心」なのです。積極的平和とは、日本国内だけでのことです。その「平和」を守っている兵隊たちは「殺せ・殺せ」と命じられていくのです。

そして、わたしたちがそのような絶対的安全・安心を追求しつづけることが、世界をより不安定に、暴力的に、しているのではないでしょうか?

傷つく側の痛みを知らず、想像もせず、自分は傷つかない道を選び続ける。自分自身は戦争にも巻き込まれないし、兵隊に「殺せ」とせまりもしないなどというのは、絵に描いた餅です。だだっ子のような論理です。そんなことができると考える幼児症的論理がまかり通るはずもない。

テロは日本列島にも牙をむくことでしょう。なぐった力と同じ力でなぐりかえされるからです。

絶対的軍縮。かつての日本から、そんな運動を起こすべきであったのですね。

Yes! Peaceという北欧から始まった運動が1980年代にありました。

バスに乗って、欧州各国を回り、政府の要人にあって、質問するのです。
「もし、他のすべての国が軍縮に賛同するならば、あなたも賛同しますか?」と。

わたしもフィリピンと中国への「Yes! Peace使節団」として参加しました。どの国の政府も、答えは「Yes!」でした。

あそこからどう展開すればよかったのでしょうか?

日本という大国を、平和運動の前線から失ったことの意味は、これから何年か後に、わたしたちに、国際社会の現実として、返ってくることでしょう。

目次

◆◇◆1. ESDウォッチャーになろう!
◆◇◆2. 2015年度、ERIC主催研修 ESDファシリテーターズ・カレッジの予定
◆◇◆3. by ERIC これまでの活動


◆◇◆1. ESDウォッチャーになろう!  ◆◇◆

TEST in 大阪は、いつもERIC事務所で行われるTESTよりも参加者が多く、一年のこの時にしか顔を会わさない人もいるにもかかわらず、なんとなくリピーターが1/3はいるという会です。2003年から始めてもう13回。つまり、平均年齢もそれだけあがったということです。

わたし自身、今年60歳、還暦を迎える年齢になり、後、どれほど活動できるだろうかと、考えてしまいます。ま、まだまだ上の世代の理事たちがお元気なので、70代半ばまでは、活動できるとは思いますが。

ERICは1989年生まれですから、2019年、後4年で30歳。

2025年までの、これからの10年で達成したいことは何かを考えたとき、ESDウォッチャーという言葉が心にうかびました。わたしは、ESDがこれからどのように発展していくかをみたいと思いました。もちろん、ESD実践者として、指導者育成は継続していきますが、ESDファシリテーターズ・カレッジを2000年から開催しているものとして、この間の動きも、そしてこれからの動きも、ウォッチする責任があるなと思いました。

TEST参加者にも、定年を迎える人たちがいます。その人たちとともに、毎年レポートをまとめたり、記録を残したりすることが、果たすべき責任として継続・蓄積することができるのではないかと、思いついたのです!

実践家はどうしても自分の実践だけに目がいきがちです。ウォッチャーというのは、もっと俯瞰的に、全体を見渡している存在です。

チェッカーでもありません。チェッカーは、ある一つの実践について点検するだけのものです。しかも、視点が固定的定量的です。

レビューもそうです。ある特定のものについての評価やレビューを書くのです。

それに対して、わたしが「ウォッチャー」に込めたイメージは、全体を見渡して、推進の課題を見いだし、自らの実践にも生かしつつ、ゆるやかなネットワーク全体の「再方向付け」につなげていく。そんな感じ。

そう、キーワードは「再方向付け」なのです。そして、それは一人ひとりの中から出てこなければならないし、また、ゆるやかに共有されてもいかなければならない。

例えば、男女混合名簿は、とても気持ちのいいものです。しかし、日常の活動の中では、男女のグループ分けが使われていることが多いし、また、その時に、紅白の帽子を使うと「白女」「白男」「紅男」「紅女」という四つのグループを作ることができる。

分ければ、ジェンダー意識は再強化・再教化されるだけです。「女の子、早くできたね」「静かに並べたね」「男の子、うるさい」などの再強化につながるストロークが教員から出されてしまうのです。

この事態を「再方向付ける」ためには、帽子を一色5人ぐらいずつになるように、4色や6色に分けるというのも考えられます。しかし、そうすると、裏表で使い分けられる利点をもった紅白帽子にはかないません。どうすれば再方向付けることができるでしょうか?

シドニーオリンピックの時の日本代表団のカラフルな服装を思い出します。

カラフルな帽子で、その日の色をはっきりさせる方法はないでしょうか?

ジェンダー秩序へのとらわれを強化するのではないESDの再方向付けは、こんなところからも試みられるのです。

もちろん、運動会を見に来る地域の人々の抵抗もすごいでしょうね。

なぜ、日本の学校教育が画一的なのか? 教材教具、体操服、道具箱などがマスプロされているからです。

画一的なマスプロダクションが、どんどんどんどん学校教育に入ってきています。すごいなあ。教育の再方向付けとは、マスプロの再方向付けとおなじことなのかもしれません。

さて、ESDウォッチャーのための道具箱に、入れたいものリストをご紹介。

ESDウォッチャー Toolkits

地域のESDマップ
➢拠点施設
ユネスコスクール
ASPUnivNet(ASPユニブネット)
環境省 環境パートナーシップオフィス
➢可能性ポテンシャル施設
学校
環境学習センター
公民館
博物館・美術館・資料館
GAPの読み込み グローバル・アクション・プラン
グループ作業で
分担読みで
➢優先的行動分野の5つ をチャートにまとめる
➢ESDとは?
力関係図
➢指導者育成の力関係図
➢どんな力関係図を描きたいか
➢GAP政策的支援
再方向づけ
➢再方向づけのバリアは何?
➢深まり
➢グループ再編成の意味
➢ワールドカフェのルールとグループ替えの効果との対比(一人が残る)
➢redirectionの
ESDのビジョンの共有
➢フューチャーサーチ会議
ESDのロードマップ
ESDのグッドプラックティス
➢知っている・知りたい
ESDの教授方法
➢人間性と価値観を育てる
➢コンピテンシー(知識・態度・行動)を全体言語的に育てる
➢集団で一人ひとりを育てる
➢経験学習的アプローチで省察的実践家として育てる
➢問題解決・課題解決・コミュニティの課題解決に取り組む

これって、長年言い続けてきている『いつでもESD』そのものだね?

◆◇◆2. at ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ2015年度のお知らせ◆◇◆


今年度(平成27年度)の主催研修「ESDファシリテーターズ・カレッジ」の日程が決まりました。ぜひ、ご予定に入れて下さい。

御案内はこちらからダウンロードできます。
http://www.eric-net.org/news/ESDfc2015pamph.pdf

半身ESDの実践家、半身ESDウォッチャーとしてのスキルアップを目指しましょう。

■2015年(平成27年)6月27日28日テーマ「国際理解」 
■2015年(平成27年)7月25日26日テーマ「PLT木と学ぼう・環境」 
■2015年(平成27年)9月26日27日テーマ「人権」 
■2015年(平成27年)10月24日25日スキル「対立から学ぼう」 
■2015年(平成27年)11月28日29日スキル「未来を学ぼう」
■2016年(平成28年)3月下旬予定TEST教育力向上講座

2014年度からA5判のファシリテーター・ハンドブックを、研修ジャーナルとして活用しています。

研修プロップや資料、ワークシートなどの情報を、ホームページと連動させて使いやすくしていく予定です。お楽しみに。

◆◇◆3. by ERIC これまでの活動◆◇◆

ERICの「よりよい教育」のための活動、まとめてみました。
ERICのこれらの活動は、非営利です。ぜひ、サポートしてくださいね。

■これまでの連載をまとめました。
http://ericweblog.exblog.jp/21067171

■民主主義の学校のまとめはこちら。
http://ericweblog.exblog.jp/20978542/

■アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
インタビュー10 本、ブログ http://ead2011.exblog.jp/
■リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす
日立環境財団からの助成金プロジェクトおよびテキストの翻訳
 http://focusrisk.exblog.jp/
■PLT Focus on Forest 一部翻訳 「森の健康診断」
ForestHealthCheck.pdf ERICホームページにアップ予定
■PLT大学生ショートプログラム
http://www.eric-net.org/news/PLTForestNova2014.pdf
■Learning to Care
http://ericweblog.exblog.jp/18988618/
■平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp
■インフォグラフィックス研究会(ERIC主催)
■ゆるキャラ「リカリン」
■PLT 『世界の森林』 Forest of the World

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  (特定非営利活動法人)国際理解教育センター
ERIC:International Education Resource & Innovation Center

〒 114-0023 東京都北区滝野川1-93-5 コスモ西巣鴨105
  tel: 03-5907-6054(研修系) 03-5907-6064(PLT・テキスト系)
  fax: 03-5907-6095
  ホームページ http://www.eric-net.org/
  Eメール   eric@eric-net.org
  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
http://pltec.exblog.jp/
  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
http://focusrisk.exblog.jp/
  blog アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
http://ead2011.exblog.jp/
  blog 平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp/
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by eric-blog | 2015-05-17 08:48 | ERICニュース | Comments(0)
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