人気ブログランキング | 話題のタグを見る

抗う島のシュプレヒコール OKINAWAのフェンスから

抗う島のシュプレヒコール OKINAWAのフェンスから
山城博明、岩波書店、2015
2505冊目

戦後70年—問われる「本土復帰」--
三木健さんのたった5ページのまとめが、戦後とそしていまの沖縄の状況を端的に物語る。
翁長知事は、選挙戦を戦ったときに言った。「イデオロギーよりアイデンティティ」「誇りある豊かさを」。

いまの戦いは沖縄のアイデンティティをかけている。このまま基地の島であり続けるのか、それともかつてのように非武装で中立的に大国の間で、交易を中心に、存在し続けるか。

2014年、三回の選挙で、沖縄の決意が示された。名護市長選、知事選、そして衆院選である。衆院選では現職の自民党議員4人が、小選挙区での議席を失った。

辺野古新基地の建設とはどのような意味を持つものなのか。

1995年少女暴行事件をうけて、太田知事は普天間基地の軍用地契約更新の行政手続きを拒否。橋本龍太郎首相らは返還を米国から取り付けた。代替基地の提供という条件付きで。

米軍にとっては願ってもいない条件だ。老朽化した普天間基地をはるかに上回る機能を持つ基地を、日本政府の財政でまかなうことができるのだから。

2009年、民主党鳩山政権は「最低でも県外」と発言したが、政権内の不一致、官僚の裏切りによって、政権崩壊にまで追い込まれた。それほどに、辺野古新基地の建設は「おいしい」のだ。

いまや基地収入は総所得の5%でしかない。1950年代の基地建設のころ、地の利のよいところを接収した米軍。それが今、沖縄発展の阻害要因となっていることが、あきらかになってきている。「観光に基地はいらない」

Not without us!
沖縄のことを決めるのに沖縄の声を聞くことなくことがすすめられてはならない。

人権の基本である。

沖縄のことをあまり知らない人でも、この写真集を見れば、基地が沖縄においてどんな存在であったか、あるか、そしてどれほどの暴力的なできごとが起こり続けているかが一目瞭然である。

明治時代、琉球が日本に強制的に併合された「琉球処分」。
1972年の本土復帰も、沖縄が望んだ姿ではなかった。ふたたびの「沖縄処分」。

第二次世界大戦の時、米軍の上陸戦が行われた唯一の日本の領土。本土決戦は結局なかった。集団自決の事実も歴史の教科書から消し去られ、敗戦国日本を支配する米軍の占領が続いている事実も、本土の人々の目には触れない。その現実は、本土も含めた日本の現実でもあるにもかかわらず。

安倍政権は、米国に集団的自衛権と共同武器開発ですりよることで、日本の国際的地位を高めようとしているかのようだ。

いまだに国連における「敵国条項」すらはずされていない日本。
国民300万人、アジアの人々2000万人のいのちをかけて学んだことを、70年で葬り去ろうとする戦前の支配階層の末裔の政権への復帰と超法規的国策転換は、日本にどんな未来を導いていくのだろうか?そして、沖縄は、その道連れに、どころかその先兵にされることを、徹底的に拒否している。

■オスプレイについて
http://mediawatchjapan.com/オスプレイの沖縄配備-論点整理/

■開発は続く
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/b6/ec2923731ef68195d049ae4fff877a04.jpg
by eric-blog | 2015-05-17 08:42 | ■週5プロジェクト15
<< ERIC NEWS 438号 ... ハーツアンドマインズ ベトナム... >>