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緑の政治ガイドブック 公正で持続可能な社会をつくる

緑の政治ガイドブック 公正で持続可能な社会をつくる
デレク・ウォール、ちくま新書、2012
2500冊目

緑の運動は、グローバル型資本主義に対抗する運動であるので、左翼運動とよく似た本質を持っている。しかし、保守とも共通点を持っている。それは土地や地域と結びついて、そこに立脚して、そこで育った文化から出発する運動だからです。ということは緑の運動は保守と左翼を両方抱え込む運動。」224 中沢新一

先住民の暮らしを守る抵抗運動を左翼の人達が応援に行く。
資本主義と結びついた国家とか企業とかの力が破壊しにきたら、これに抵抗する。
どういう社会を希求しているのかもきっと違う。

左翼的な考え方は中央集権的
土俗は暗黙知。

うーーん、この当り、わかるんだけれど、まだ自分の中では整理がつかないなあ。

お祭りも、誰かが指示して、ではなく、みんながなんとなく動いて、できあがっていく。有機的な集合的身体性とでも言おうか。

それに対して、左翼運動というのは頭からの指令で動いて行くみたいな。
とはいえ、今回の選挙などでも、ずっと繰り返してきている人達は、なんの相談もせずに、分担して動いているよなあ。かえって、わたしのような新参者をどうすればいいのかは、わからない、みたいな。

だから、左翼が土俗的でないなんてことはないな。

共産党などは本当にいいことを言う。でも、指令的になる。党というのは意識の高い人達で、それが大衆に刷り込み、浸透していく。とレーニンは言っている。

しかし、緑の運動というのは「党」ではだめだということを、この本を読んで、よく理解できたと中沢さんは言います。

著者は、1979年に、パトリック・リバースという人と出会い、「エコロジー党」に参加(1985年に「イギリス緑の党」に)したイギリス人。14歳で。

エリノア・オストロム、2009年ノーベル経済学賞受賞。「コミュニティによって資源の効率的な管理を行うエコロジカルな経済」。このことによって、世界にとって本当に必要なことは実現できる、と著者は信じる。エリノアはさらに「七世代先を考えて行動する」ことも主張している。

運動の目標は、圧倒的な力を持つ利益集団や各国政府で養殖にある特権階級エリートに対抗すること。」ロベルト・ベルツ・リベロ 014

1972年、オーストラリアのタスマニアで結成されたグループが、緑の党の起源。

「我々は
・生き残りをかけた、世界的な運動を形成するため団結する。
・人間の尊厳と文化遺産の価値が危機にあることを憂慮し、人類がすべての自然を利用できると考える思想を否定する。
・生命を育んできた地球システムの崩壊を止めるため、人間と自然の関係を統合した新しい倫理観を広げる。」

同年、ニュージーランドで「Values」という新党が。政策の柱は「ゼロ経済成長、同性愛者の権利向上、マリファナ使用の自由化。025

核兵器も原子力発電も認めない「非核」政策に影響を与えた。

『成長の限界』

緑の党の成長の背景には明らかになってきた環境の危機的状況がある。

地球温暖化がさまざまな危機的状況の根本にある。052

それを解決するという排出権取引という詐欺。064

では、緑の運動の哲学は何か。

ディープ・エコロジー、自然中心主義やホリズム、予防原則。
病気も予防を重視する。心の病いも貧困や社会的要因から考える。

「富みの再配分」「企業活動の規制」など、左翼運動と共通している。
だから「右でも左でもない」というスローガンは単純にすぎる。

また、政治運動だけで「緑の政治」が実現できるわけではない。社会の文化をどこまで変えられるか。 105

ラディカルな共同行動と協同組合運動を通して、社会の変革ができる。」マレイ・ブクチン、108


ディープ・エコロジーの原則について、以下のページ参照。

http://www.jnep.jp/test/3/8-1.html
生活の質を考える出発点において、その手がかりになるものとして、この基本原則から学んでみよう。同時に、この原則を公表したネスたちは、この原則を外から他人に押し付けるものとは考えずに、自らの内面から湧き出る形で、こうした生き方を選択することを呼びかけているのである。
(1)地球上の人間とそれ以外の生命が幸福にまた健全に生きることは、それ自体の価値(本質的な価値、あるいは内在的な固有の価値といってよい)を持つ。これらの価値は、人間以外のものが人間にとってどれだけ有用かという価値(使用価値)とは関係がないものである。
(2)生命が豊かに多様なかたちで存在することは、第一原則の価値の実現に貢献する。また、それ自体価値を持つことである。
(3)人間は、不可欠の必要を満たすため以外に、この生命の豊かさや多様性を損なう権利を持たない。
(4)人間が豊かにまた健全に生き、文化を発展させることは、人口の大幅な減少と矛盾することではない。一方、人間以外の生物が豊かに健全に生きるためには、人間の数が大幅に減ることが必要になる。
(5)自然界への人間の介入は今日過剰なものになっており、さらに状況は急速に悪化しつつある。
(6)それゆえ、経済的、技術的、思想的な基本構造に影響を及ぼすような政策変更が不可欠である。変革の結果生まれる状況は、今日とは深いレベルで異なるものになるはずである。
(7)思想上の変革は、物質的な生活水準の不断の向上へのこだわりを捨て、生活の質の真の意味を理解する(内在的な固有の価値のなかで生きる)ことが、主な内容になる。「大きい」ことと「偉大な」こととの違いが深いところで認識される必要がある
(8)以上の七項目同意するものは、必要な変革を実現するため、直接、間接に努力する義務を負う。
(アレン・ドレクソン、井上有一共編『ディープ・エコロジー――生き方から考える環境の思想』
(昭和堂、所収アルネ・ネス、ジョージ・セッションズ著「ディープ・エコロジー運動のプラットフォーム原則」76ページ)

斎 藤 直 輔・開 龍 美 訳
『ディープ・エコロジーとは何か エコロジー・ 共同体・ライフスタイル』)


この本の書評もたくさんあるね。

モラレスの10命題は、以下のホームページから。
http://46460707.at.webry.info/201204/article_7.html
地球を救う10の命題 ボリビア大統領エボ・モラレス ・・・ 簡潔に要約すると、以下のようになるのかもしれない。

① 資本主義システムを終わらせる
② 戦争の放棄
③ 帝国主義と植民地の無い世界
④ 水の問題を解決。水道を民営化して少数の企業に支配させてはならない
⑤ エネルギー資源を枯渇させてはならない
⑥ 地球を資源としない
⑦ 水・電気・保険・・など基本的な公共サービスを人権といちづける
⑧ 地産地消を拡大して、浪費を制限
⑨ 文化と経済の多様性を促進
⑩ 健康的に暮らすこと、共同体的な社会主義

そして第四章では「欲望」を満たすのではなく「必要」を満たす経済。111
経済成長が格差を拡大させており、経済指標そのものを変える必要がある。

繁栄と成長はイコールではない。

生活の質を高めることが繁栄である。
個人的所有から、公共的所有に、公的な資源を効率よく使う。

コモンズの思想でもある。

サブシステンス経済。

また、外部コストを内部コストに入れること。シャドウワーク。

地域分権的であることも共通だ。

スモール・イズ ・ビューティフル

また、多くの緑の党が「ベーシック・インカム」を支持している。131
すべての人びとが消費者として、そして生産者として生きることができる社会。必要なものを自らつくり出すことができる社会。

「労働者が所有し民主的に運営する協同組合と相互扶助組織を緑の経済の基礎にする」134

地球環境を保全することは平和への道。生命のための政治。

具体的な手だてが書かれているのが第6章。

グリーン・ニューディール

http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/issue/0641.pdf

2009年のアンカレッジ宣言=先住民の見方。
http://imadr.net/wordpress/wp-content/uploads/2012/09/I3-3.pdf


一人ひとりの内からなるValuesの実現としての行動、社会。それが緑の政治だと、わたしは考える。
by eric-blog | 2015-05-06 18:55 | ■週5プロジェクト15
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