電気がなくても人は死なない 元・東電原子炉設計者が教える愉しい「減電ライフ」
木村俊雄、洋泉社、2015
2495冊目
東電学園高等部を卒業して東電入社、福島第一原発の設計にもかかわり、廃棄物が溜まって行く原子力発電のあり方に疑問を抱いて、2000年に退社。会社では「津波のことを考えるのはタブー」という風潮があり、実際に建屋に水が溜まる事故などもあり、電源喪失による冷却水のトラブルも発生していたのに、据え付け場所を変えるなどの対策をとることもなく過ぎていたことに、いまも、自責の念を感じるという。
自然エネルギーなど、代替エネルギーの開発は原発を減らすことにつながらないという。エネルギー多消費型体質を変えることが、いちばんの電力会社に対する圧力になるのだと。
そりゃそうだなあ。市民が「もっともっと」とエネルギー消費圧を高めている限り、電力会社は鬼の首をとったも同然だ。
例えば、「電気ポット」。つけっぱなしを止めるだけで5%の消費電力削減に、日本全国でつながるはずだという。
なんといっても、東電さまのお財布は、庶民の電気料金でうるおっているのだから。
シンプルなエネルギー依存の低い生活スタイルをと。
この本にはそのためのアイデアがいっぱい詰まっている。
ワットウォッチャーで一時間600wをキープする。いちばん大物は冷蔵庫。
冷蔵庫は入れすぎないというのは知っていたけど、真ん中に寄せて置くというのは知らなかったなあ。
さらに、冷凍庫はパンパンにしておくのが、いったん凍ってしまったものの温度をさげないコツ。これも知らなんだ。
オール電化というような消費推進策に「やられる」人は要注意だと。
津波による被害を予想していた木村さんだが、事故報告書に冷却水系統の情報がないことに気づいて、開示請求。出された資料から、PDLという冷却水がとまったために気泡が発生し、冷却効率を著しくさげる現象が起こっていたことを突き止める。地震ですでに冷却装置は危うくなっていたのだ。(フライトレコーダーのように、運転記録が残るものらしい。)
東大、京大がごろごろいる東電。人間的にはすばらしい人達が、いまはどうしているだろうかと、元上司の立場を思いやる。くるしんでいるだろうと。
苦しんでも、「「男のロマン」がここにある」という生活を、エリート男たちが選ぶことはないのだろうなあ。
薪火のある生活、最近よく出会うなあ。薪割りは「男」のロマン?
オフグリッドで、減電で、脱東電・脱原発社会をめざそう!