人気ブログランキング | 話題のタグを見る

暴力の人類史 下

暴力の人類史 下
スティーブン・ピンカー、青土社、2015
2483冊目

人類は、文明化によって非暴力的になってきたというのが、基本的な主張。

第七章 権利革命

は、上巻の第四章 人道主義革命に呼応している。

人道主義とは、個人の心そのもののほうが大切であるとする考え方。

権利が大切なのであれば、権利主体がどんどん拡大するのも、同じ流れである。

リンチや反黒人ポグロムも減った。25

レイプの歴史も衝撃だ。

レイプは、所有者である男性に対する罪であった。39

それが、

感覚を持つ生き物が苦しんでいるかいないかに置く、人道主義的な考え方によって義務づけられたもの。

現在の道徳的理解は、レイプされたくない女性の利益と、女性をレイプしたい男性の利益と、女性の性を独占所有したい夫や父親の利益のバランスをとることをめざしていない。伝統的な価値判断とは真っ向から対立して、女性の自分の体に対する所有権はすべてに値し、その他すべての権利要求者の利益はいっさい問題にされない。・・・自主性の原則は啓蒙時代における奴隷制や独裁制や債務奴隷や残虐な刑罰の撤廃の要でもあった。45

■はじめに より
人類史における暴力の減少6つのトレンド

暴力の誘発要因 5つの動機「内なる悪魔」
暴力の抑制要因 4つの機能「善なる天使」


人類史における暴力の減少6つのトレンド
第一 都市や統治機構をもつ農耕社会への移行
第二 文明化のプロセス 中央集権的な統治と商業の社会基盤
第三 人道主義革命 理性の時代、啓蒙主義の時代
第四 第二次世界大戦後、先進国の大部分が互いに戦争することをやめた「長い平和」
第五 冷戦終結後の組織的紛争や戦闘の減少「新しい平和」
第六 世界人権宣言後、小規模な暴力に対する嫌悪感の増大、権利擁護運動「権利革命」

暴力の誘発要因 5つの動機「内なる悪魔」
第一 捕食的道具的暴力
第二 ドミナンス、権威・名声・栄誉・権力を求める衝動、マッチョな姿勢、覇権争い
第三 リベンジ、道徳的衝動の増幅
第四 サディズム、他人の苦しみから快楽を得る
第五 イデオロギー、無制限の善を追求するために無制限の暴力を行使することが正当化される

暴力の抑制要因 4つの機能「善なる天使」
第一 共感
第二 セルフコントロール
第三 道徳感覚
第四 理性


五つの歴史的な力
第一 リヴァイアサン、合法的な力の行使を独占する国家と司法
第二 通商
第三 女性化、暴力は概ね男性の気晴らしであり、女性に力を与える社会は暴力を美化することを避ける傾向にある。
第四 コスモポリタニズムによる共感の領域の拡大
第五 理性のエスカレーター、暴力の連鎖の不毛さの認識
by eric-blog | 2015-04-16 15:09 | ■週5プロジェクト15
<< Heart of Hope R... ふたば未来学園 スーパーグロー... >>