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創価学会と平和主義

創価学会と平和主義
佐藤優、朝日新書、2014
2479冊目

去年の7月1日には、閣議決定で「集団的自衛権」が認められるという衝撃が走った。日本は国の形を変えてしまうのではないかと。

与党の公明党はどのような働きをしたのか。

佐藤さんは、「公明党の平和主義は本物だ」という。

7月2日の公明新聞一面では「個別的か集団的かを問わず自衛のための武力行使は禁じられていないという考え方や、国連の集団安全保障措置など国際法上合法的な措置に憲法上の制約は及ばないという考え方を採用しなかった。」と報じた。36

安倍首相が持つ「日米は対等な関係に」というトラウマと、湾岸戦争の「Boots on the Ground」の外務官僚のトラウマ。それと公明党がどのように噛み合ったかを、創価学会との関係でひも解いたのがこの本である。

憲法学者の木村草太さんも、次のように言う。
「集団的自衛権という言葉は使っているものの、実際には
個別的自衛権で説明できる武力行使に限定された内容になっているのです。・・・個別的自衛権の行使としても正当化可能なケースについてのみ、集団的自衛権の行使を限定的に認める・・・7.1閣議決定は、そういうふうに読むことが自然な内容になっています。」「潮」2014年9月号

同じものを反対側から見て、別の名前で呼んだ。32

佐藤さんは吉野文六さんに対するインタビューを『私が最も尊敬する外交官』にまとめている。その中で吉野さんは、沖縄密約の存在について、裁判でも証言する覚悟が、佐藤さんとの対話を通じて生まれたのだと言う。

公文書に残すこと、そして、それをいつかは公開することを、日本も決めるべきである。そして、その前に、第二次世界大戦敗戦時、敗退する時に焼却した軍関係書類の存在と焼却の責任をはっきりさせてほしい。

今日の新聞にも「慰安婦の強制的連行」については証拠がないと、文科省が教科書の検定で意見をつけていることが報道されている。

焼却処分の全容がわかるまで、「証拠がない」という言い分はし通らない。

あーーー、いらいらする。とてももどかしい。歴史学者たちの仕事だと思うんだけれどなあ。
by eric-blog | 2015-04-07 08:25 | ■週5プロジェクト15
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