ERIC NEWS 428◯民主主義の学校143月9日

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ERIC NEWS 428号 ともによりよい質の教育をめざして  2015年3月9日
民主主義の学校 14 「機関包括型支援アプローチ」
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

日曜日に出す予定が、遅くなってしまいました。
週末ごとに、ESD2014の報告会に参加しています。

先週は、JICA横浜で行われた全体報告。文科省、環境省などの省庁関係者からの報告が聞けたのが収穫でした。
http://ericweblog.exblog.jp/20959095/

今後の推進の原則が、関係者によってまとめられたのも、よかったと思います。

(1)その場限りじゃないESD
(2)市民のエンパワメント
(3)寛容・共存・IS
(4)学校とESD
(5)変革のための教育としてのESD
(6)企業との連携
(7)権利ベースアプローチ

これに加えて、「場に根ざしたESD」というのも大切にしたいと思いました。
(8) Place Based ESD

昨日は、ESD2014の一連の報告会の一つ、公民館活動の可能性について。参加者73名とのことでしたが、その中の1/3、約20名の方は、岡山で開かれたCLC公民館国際会議本番の方にも参加されたとか。いかに公民館会議の熱気が高かったかを思わせる会場でした。
こちらの方は主催は日本社会教育学会と日本公民館学会の共催。最後の両学会の会長挨拶が、如実に、それぞれの学会の違いが現れていると思いました。

http://ericweblog.exblog.jp/20978392/

今週末は仙台で「国連防災世界会議」が開かれます。
http://www.bosai-sendai.jp

防災も、「予防的」教育が求められる分野ですね。

もう一つ、この間、心にかかるのは「上村さん」事件ではないでしょうか。
シングルマザーの家庭、国際結婚の家庭など、少年たちの背景がマスコミから漏れ聞こえてきます。

戦後の高度経済成長を支えて来た核家族モデル、あるいは家父長制的大家族の崩壊や欠如を嘆いても、問題解決にはならないことは、あまりにも明らかです。

一方で、わたしたちの社会に、成長のモデルのオルタナティブが浸透していないのではないでしょうか。

いまの議論のほとんどが「大人がどうすべきだった」かに集中している気がします。大人が子どもに対してできる最善のことは、「自立する力」をつけること。
子ども同士のコミュニケーションは、「同年齢集団」のパワーバランスでコントロールされているだけの姿ではないでしょうか。

『子どもが自立できる教育』で岡田さんは、言語情報にかたよりがちな教育の問題点を指摘しています。
http://ericweblog.exblog.jp/20923915/

カミンズというカナダの継承言語の問題、移民の子どもの言語習得についての研究者は、異質な言語や文化的な背景を持つ子どもの「BICs」(Basic Interpersonal Communicative Skills)基本的人間関係コミュニケーション技能から、学校での学習に必要な「CALP」(Cognitive Academic Language Proficiency)認知的学問的言語流暢性へのギャップを指摘しています。

異なる文化的背景をもっている子どもの育ちには、関係性のつくり方についての微妙な学びが課題となったり、あるいはあまりにも日本的なものを押し付けることが生み出す、自文化に対する否定的な態度や評価を内生してしまうという課題が生まれます。

異文化で育つということは、適応的になりすぎても、適応できなくても、課題が生まれるのです。

それは、「島文化」から「都会文化」に移住してきた上村さんにとっても、同じだったのではないでしょうか。

もっと学校教育が、社会性、EQ, SQと呼ばれる知性、コミュニケーション・スキルを伸ばすための手だてを「予防的」に、取り入れるべきなのではないでしょうか。

自尊感情を伸ばす、
アサーティブに自己主張できる
相互的に認め合う
協力して問題解決に取り組んだり、互いを伸ばし合う

そのような力を伸ばすことが、学校が、今回の事件に対する応答として、心に刻むべきことなのではないでしょうか。

異質な文化的な背景を持つ子どもの成長についての研究も、対策も、あまりにも遅れているのは、「単一民族」の幻想、高度成長を支えた日本の家族モデルへの妄信や執着、回帰主義的な議論のくり返し、多数派による少数派に対する抑圧的文化の容認がネックになっているとしか思えません。


子どもの育ちが多様になりつつあるいま、それに応えられるような体制を学校環境に実現していくことが、急務です。


■今号の目次
◆◇◆1. 民主主義の学校 第14行 「機関包括型」アプローチで取り組む
◆◇◆2. ESDファシリテーターズ・カレッジ「TEST2015」3月21日22日

◆◇◆3. at ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ2015年度のお知らせ

気温は低いですが、寒さが感じられない季節になりました。春は、そこ、ではなく、ここですね。

◆◇◆1. 民主主義の学校 第14行 「機関包括型」アプローチで取り組む

すでに、2月22日のニュースでも紹介しましたが、ESDのグローバル・アクション・プログラムの5つの優先行動分野は以下の通りです。

ESDのGAP(グローバル・アクション・プラン)では5つの優先行動分野が上げられています。
http://www.unesco.org/new/jp/unesco-world-conference-on-esd-2014/esd-after-2014/global-action-programme/

◎政策的支援
◎教育・トレーニングの場に持続可能性の概念を取り入れる(機関包括型アプローチ) 
◎教員やトレーナーの能力向上
◎ユースの役割支援と動員
◎地域コミュニティや地方政府にコミュニティ・レベルのESDプログラム策定を推奨

民主主義の学校という視点から、「機関包括型アプローチ」を考えてみましょう。

PLTのグリーン・スクールの事例では、カフェテリア職員が「廃棄物」の調査と削減のための行動計画に大きな役割を果たしているものがあります。また、「廃棄物調査」にはカフェテリアについての調査項目も含まれています。

日本で考えてみると、学校給食はセンター方式になる傾向があります。しかし、まだ校内で調理・配膳は行われています。「生徒主導」のチームで、給食職員とのコミュニケーションが始まれば、廃棄物の削減だけではなく、協力の風土を作る上でも、大きな一歩になることでしょう。

ただ、その時間を、いまの非正規雇用の中では、支払うのかそれともボランティアでお願いするのかが課題になります。

さまざまな世論調査は8割の人々が、環境問題に取り組むことやボランティア活動に興味があると言います。しかし、ボランティアに頼り続けるのでは、限界もあるでしょう。

PLTのグリーン・スクールの実践では、教員だけでなく、職員にも環境教育の講習を受けられるとしています。

人権研修で校内研修を行うと、必ず全教職員が参加されています。

機関包括型アプローチ。

とても重要ですね。


◆◇◆これまでの「民主主義の学校」◆◇◆

■民主主義の学校 第一行「法律の制定と民主主義」"ERIC NEWS 372号 2014年2月2日
http://ericweblog.exblog.jp/19244804

■民主主義の学校 第二行 パブコメを書こう
http://ericweblog.exblog.jp/19249118

■ 民主主義の学校 第三行 政治運動をしよう
http://ericweblog.exblog.jp/19331921/"
■民主主義の学校 第四行 一次資料を読む ERIC NEWS 377号
■民主主義の学校 第五行 司法への参加 384号 2014年4月27日 
■民主主義の学校 第六行 改めて人権第一を再確認する 389号
■民主主義の学校 第七行 アクション・リサーチに取り組もう! 394 2014年7月7日
■民主主義の学校 第8行   4A's 気づきから行動へ398号 8月10日
■403 ◯民主主義の学校9 9月14日参加型民主主義のデザイン
■408 ◯民主主義の学校10 10月19日避難計画をたてよう
■413 ◯民主主義の学校11 11月23日緑の学校を持続可能な地域の拠点に
■418◯民主主義の学校12 12月31日    これまでのふりかえりと展望
■423 民主主義の学校 13 2015年2月1日 「学校全体で取り組む」
http://ericweblog.exblog.jp/20831395/

リストがだんだん長くなって来ていますね。一本しておきましょう。
http://ericweblog.exblog.jp/20978542/



◆◇◆2. ESDファシリテーターズ・カレッジ「TEST2015」3月21日22日◆◇◆

TEST Teacher’s Effective Skills and Training

教育力向上講座。

今回の日程は、さまざまなものと重なっています。

ERICのネットワーク団体NIEDが、PLTに取り組みます!

木と学ぼう!PLTファシリテーター育成講座in愛知

ここから、PLTグリーン・スクールへの取り組みが始まるといいですね。

さて、TESTです。

今回は、「上村さん」事件を一つのコアにしたいと思います。
いま、あまり聞こえてこない教育現場からの声。

責任ばかりが問われるのですが、やっていることもたくさんあるのではないでしょうか。

教育ができること、やっていることの発信力を高めることも、教育に対する社会的なサポートや協力を引き出すためには、大切なのではないでしょうか。

実施要綱はERICのホームページからダウンロードできます。

:
■特定非営利活動法人 国際理解教育センター(ERIC) ESDファシリテーター養成講座 スキル「市民性/未来を学ぼう」
平成27年2015年2月21日(土)22日(日) 受付: 2月21日(土)10時30分〜10時50分
:
国際理解教育センター(東京都北区滝野川 1-93-5 コスモ西巣鴨 105) 共に生きる地球のための価値観とビジョンは、市民性教育の必須の要 素です。価値観やビジョンをどう考え、どう教えるか、教え方・学び 方を共有します。また、その教え方学び方そのものが市民性のスキル を身につけることにつながっています。
学ぶ意欲のある方(一般公募,特に資格などは問いません。)
参加費 20,000 円+テキスト『未来を学ぼう』4000 円 前日までに以下の口座に振り込んでください。

◆◇◆3. at ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ2015年度のお知らせ◆◇◆


今年度(平成27年度)の主催研修「ESDファシリテーターズ・カレッジ」の日程が決まりました。ぜひ、ご予定に入れて下さい。

御案内はこちらからダウンロードできます。
http://www.eric-net.org/news/ESDfc2015pamph.pdf

■2015年(平成27年)6月27日28日テーマ「国際理解」 
■2015年(平成27年)7月25日26日テーマ「PLT木と学ぼう・環境」 
■2015年(平成27年)9月26日27日テーマ「人権」 
■2015年(平成27年)10月24日25日スキル「対立から学ぼう」 
■2015年(平成27年)11月28日29日スキル「未来を学ぼう」
■2016年(平成28年)3月下旬予定TEST教育力向上講座


◆◇◆4. ご寄付のお願い ◆◇◆
レッスンバンクも一度、ご紹介したいですね。ファシリテーターとして、とても役立っています。

■アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
インタビュー10 本、ブログ http://ead2011.exblog.jp/
■リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす
日立環境財団からの助成金プロジェクトおよびテキストの翻訳
 http://focusrisk.exblog.jp/
■PLT Focus on Forest 一部翻訳 「森の健康診断」
ForestHealthCheck.pdf ERICホームページにアップ予定
■PLT大学生ショートプログラム
http://www.eric-net.org/news/PLTForestNova2014.pdf
■Learning to Care
http://ericweblog.exblog.jp/18988618/
■平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp
■インフォグラフィックス研究会(ERIC主催)
■ゆるキャラ「リカリン」
■PLT 『世界の森林』 Forest of the World

**************************************************
  (特定非営利活動法人)国際理解教育センター
ERIC:International Education Resource & Innovation Center

〒 114-0023 東京都北区滝野川1-93-5 コスモ西巣鴨105
  tel: 03-5907-6054(研修系) 03-5907-6064(PLT・テキスト系)
  fax: 03-5907-6095
  ホームページ http://www.eric-net.org/
  Eメール   eric@eric-net.org
  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
http://pltec.exblog.jp/
  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
http://focusrisk.exblog.jp/
  blog アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
http://ead2011.exblog.jp/
  blog 平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp/
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by eric-blog | 2015-03-09 11:49 | ERICニュース | Comments(0)
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