ERIC NEWS 423号 ともによりよい質の教育をめざして  2015年2月1日


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ERIC NEWS 423号 ともによりよい質の教育をめざして  2015年2月1日
民主主義の学校 13 「学校全体で取り組む」
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

2015年2月1日。
第二次世界大戦の敗戦から70年の今年、
昨日、このニュースのライターの一人、佐藤宏幸さんのご一家に新しいメンバーが加わったと、嬉しいニュースがありました。お誕生、おめでとう!
あなたの誕生が、わたしたちにゆうきを与えてくれることを、ご家族とともに寿ぎたいと思います。

今朝、テレビで日本人人質の方のいのちが奪われたと知りました。

「テロには屈しない。テロと戦う。人道支援を続ける。テロリストたちにはこの罪をつぐなわせる」と安倍首相は記者に対して述べました。

中東情勢に詳しい中田考さんは、「人道支援を行う対象国や地域を拡大し、一方的な加担をしている人道支援ではないことを明確にすべきだ」と提案されました。

ブッシュ大統領が9.11の自爆攻撃を受けた後の米国を、アフガニスタンへ、そしてイラクへと、テロと戦い、ありもしない大量破壊兵器の影を追って戦線を拡大したようなことが、この安倍首相の発言で日本国内に引き起こされないことを望みます。

米国およびそれに加担した英独などの連合軍によって運河などの社会インフラが大々的に破壊されたアフガニスタンで支援活動を続けている中村哲さんは、これまでの日本の平和主義が、どれほど中東で活動する日本人にとっての大きな安全保障となってきたかについて積極的な発言を繰り返して来られています。

また、国連維持軍の活動で武装解除等のオペレーションを統括した伊勢崎賢治さんも、平和憲法、憲法9条の効用を、同様に述べていました。

もう、こうもりだった日本であり続けることはできなくなりましたね。

アジアにありながら、西洋物質文明の先進国。
先進国でありながら、武器貿易には加担しない。
多宗教でありながら、排他的で非寛容。
天皇制でありながら、国民主権の民主国家。

多元的で重層的で複雑であることは、単純でわかりやすくて力強く発せられる言葉よりも、難しいものです。

幼い脳がのっとられやすいものが、生き延びやすい。

『ヒトはいかにして人になったか』で、言語と脳の共進化を指摘したディーコンは言いました。

教育とは、人を人間にする努力です。多様な、異質な、対立する存在とも共生していく人間としての知恵を、わたしたちはもっと見つけ出していく必要があるのです。言語と脳と教育の共進化によって、よりよい共生の未来をつくり出して行きたいと願います。

子ども支援、学習支援、地域づくりなど、さまざまな活動に従事されているであろうみなさまに感謝です。わたしたちの生きるということの質を、よりよいものにしていく努力を、それぞれの現場で続けましょう。毎日、毎日、一時、一時と、続けていただいていることに感謝です。

すべてはつながっている。

失われたいのちに瞑目し、新たないのちに目を向けたいと思います。合掌。黙祷。

よりよい質の教育を、すべての人に。

Active Hope! なりたい未来へ向けての努力を、みなさまと共に。

■今号の目次
◆◇◆1. 民主主義の学校 第13行 学校全体で取り組む
◆◇◆2. 犯罪・暴力弱者化社会をひらくために 第3回報告
◆◇◆3. at ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ2015年度のお知らせ
☆★☆★☆4. イベントのお誘いと御案内☆★☆★☆

◆◇◆1. 民主主義の学校 第13行 学校全体で取り組む  ◆◇◆

Education for Democracy,
Education about Democracy,
Education through Democracy.

民主主義の学校とは、「民主主義のために」「民主主義について」「民主主義を通して」行われる教育実践のことなのです。

昨年末に書きました。

民主主義について教えること、そして民主主義的風土の中で教えること、民主主義の実践を通して教えること、民主主義をすすめるために教えること。aboutは、単なる知識ではなく、実践力を伴ったコンピテンシーとして教えられる必要があります。つまり、教育目標、教育内容、教育方法に齟齬がないことが、もっとも効果的な教育につながるということです。

そこで、今回は「学校全体で取り組もう!」Whole School Approachについて、ご紹介したいと思います。

民主主義の学校では、学校を通してthrough、学校でin、民主主義を学ぶことが求められます。学校のあり方や運営の仕方から、民主主義を体得するのです。

PLTの「緑の学校」で紹介しましたが、認証の条件に「生徒主導のチームを作る」というのがあります。生徒が主導することで、生徒にリーダーシップ、自信、参加のスキルなどを身につけることをねらっているのです。

デンマーク発のLEAFという環境教育人材育成プログラムを行っているFEE国際環境教育財団がすすめている「エコスクール」でも、7つのステップのいちばん最初に「1. エコスクール委員会を立ち上げる」となっています。

「エコスクール委員会は、児童・生徒が中心となり、全校児童・生徒の意思が反映されるように構成し、教員や保護者、あるいは地域との地用製薬にもなることが望ましいです。」http://www.feejapan.org/eco-schools/es_step/

PLTの緑の学校は「生徒主導のグリーン・チーム」は、大人も参加しています。

「1. Green Teamを結成する。メンバーには以下の人々が入っていること。
  ・生徒
  ・PLT指導者育成ワークショップを受講した教員が一人か二人以上
  ・学校職員(営繕、保健、カフェテリア関係者など)
  ・学校管理職
  ・保護者と地域のボランティア」
http://ericweblog.exblog.jp/20403205/

となっていました。そして、年に少なくとも6回ほど委員会を開催することと、されていました。

また、PLTの「緑の学校」では、学校全体のカリキュラムに環境教育が組み込まれていることも認証の条件でした。

環境教育は、学校全体で取り組むことで、生涯学習の基盤としての知識・技能・態度の総体としてのコンピテンシーを伸ばすことに有効なのです。

そして、民主主義も同じです。

1990年代にGREENという国際的な河川環境モニタリング・ネッワークがありました。そのデータやシステムを受け継いで活動しているEarth Forceという取組もまた生徒主体で取り組むことを推奨しています。

http://ericweblog.exblog.jp/20823280/

そのEarth Forceの「実践目標を実際のパフォーマンにつなげる」ためのアクティビティがとてもおもしろいので、ご紹介しておきます。

「パフォーマンス指標をマイムで表す」というアクティビティです。

Earth Forceには8つの実践目標があるそうなのですが、このアクティビティではその中の五つが選ばれて使われています。

若者の声、コミュニティとの相互作用、民主的意思決定、協力、持続可能性

の五つです。学級を五つのグループに分けて、一つのグループに一つずつ、この実践目標をマイムで表現してもらいます。どのグループがどの用語を担当したかはわからないようにします。

そして、他のグループのマイム(台詞を言わない寸劇)を見て、どの実践目標をからだで表現しているかを当てるのです。

抽象的な目標を具体的な身体表現としてパフォームする。
それを見て、ふたたび抽象的な概念のことばとして確認する。

すばらしい「W型」だと思いました。

そして、Earth Forceの実践目標の一つに「民主的意思決定」や「若者の声」が入っているのです。

民主主義をからだでできるようになる。

今年は、このアクティビティを、いろいろな抽象的な「原則」や「目標」、ESDが掲げる「概念」などに応用してみたいと思います。

Check it out!

2015年も、よろしくお願い申し上げます。

◆◇◆これまでの「民主主義の学校」◆◇◆

■民主主義の学校 第一行「法律の制定と民主主義」"ERIC NEWS 372号 2014年2月2日
http://ericweblog.exblog.jp/19244804

■民主主義の学校 第二行 パブコメを書こう
http://ericweblog.exblog.jp/19249118

■ 民主主義の学校 第三行 政治運動をしよう
http://ericweblog.exblog.jp/19331921/"
■民主主義の学校 第四行 一次資料を読む ERIC NEWS 377号
■民主主義の学校 第五行 司法への参加 384号 2014年4月27日 
■民主主義の学校 第六行 改めて人権第一を再確認する 389号
■民主主義の学校 第七行 アクション・リサーチに取り組もう! 394 2014年7月7日
■民主主義の学校 第8行   4A's 気づきから行動へ398号 8月10日
■403 ◯民主主義の学校9 9月14日参加型民主主義のデザイン
■408 ◯民主主義の学校10 10月19日避難計画をたてよう
■413 ◯民主主義の学校11 11月23日緑の学校を持続可能な地域の拠点に
■418◯民主主義の学校12 12月31日    これまでのふりかえりと展望


◆◇◆2. 犯罪・暴力弱者化社会をひらくために 第3回報告

第三回 「犯罪弱者を救え!」大瀧 英樹 [とよだ中小企業ものづくり活性化診断士]
2015年1月31日(土曜日) 14:00-17:00

予定プログラムはこちらから
http://ericweblog.exblog.jp/20720541/

報告
『いっしょに考えて! 人権』の中から「差別のある社会の全体的不利益」というプログラムに従って、「犯罪弱者の人権とわたしたちにできること」を考えました。

プログラムの流れは以下のようになりました。

1. 導入 「食べ物をいっぱい持っているマイク・タイソン、二日間何も食べていないわたし」「今、自分が食べるだけの食べ物を持っている障害者」の三人がいます。あなたはどうする?
2. 「生きるために有利な条件って何?」個人作業→ペア作業→全体共有
3. 個人の努力で得られる条件、得られない条件はどれ?[対比表に分類する]
4. ワークシート「日本社会で有利に生きるための条件を得るために苦労する?苦労しない?」
5. 傾聴
6. 犯罪についてのイメージの共有、全体で「知っていること」の共有
7. わたしたちにできること。[個人作業→全体共有]

犯罪弱者に限らず、社会的な弱者というのは、不利な条件にある人のことです。不利な条件のまま平等に扱っても、結果は不平等になる。

彼らに必要な「社会的資源」とそこへのアクセスをどうサポートできるかを考えるよい機会になりました。

高齢者、支援の必要な女性や子どもなどの課題にも共通するものがあると感じました。

□第一回 「暴力って何?」 報告はこちらから
http://ericweblog.exblog.jp/20444749/


☆★☆★☆4. イベントのお誘いと御案内☆★☆★☆

□◆□ 人間の歴史を追体験的に学ぶ場所 □◆□

ご存知でしたか? 

教具・教材博物館。

http://zyugyo-to-kodomo.net/museum1.html

山梨県上野原にあると聞いて、俄然、「山仕事ボランティアをしている相模湖から近いじゃないか?」と興味が湧きました。

山小屋のような風情に、宿泊も可能だというロッジをイメージしてしまいますが、内にも外にも「教材」のアイデアが詰まっているようです。

毎月第4土曜日が定例活動の日。4月末と5月の連休は特別イベントの日だそうです。

そう言えば、朝鮮学校訪問をしよう、したいというのもありましたねぇ。

博物館見学、一泊二日の旅に、ご興味のある方、ERICかくたまでご連絡ください。


☆★☆★2014 年度 「経営者「環境力」大賞」 顕彰式および発表会のご案内
~環境力あふれるユニークな経営者のお話を聞いてみませんか?~

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日時  : 2月20日 (金) 13:30~17:00 (開場:13:00)
主催 : 認定NPO法人 環境文明21、日刊工業新聞社

■□■5. ご寄付のお願い ■□■
レッスンバンクも一度、ご紹介したいですね。ファシリテーターとして、とても役立っています。

■アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
インタビュー10 本、ブログ http://ead2011.exblog.jp/
■リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす
日立環境財団からの助成金プロジェクトおよびテキストの翻訳
 http://focusrisk.exblog.jp/
■PLT Focus on Forest 一部翻訳 「森の健康診断」
ForestHealthCheck.pdf ERICホームページにアップ予定
■PLT大学生ショートプログラム
http://www.eric-net.org/news/PLTForestNova2014.pdf
■Learning to Care
http://ericweblog.exblog.jp/18988618/
■平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp
■インフォグラフィックス研究会(ERIC主催)
■ゆるキャラ「リカリン」
■PLT 『世界の森林』 Forest of the World

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  blog アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
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  blog 平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
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by eric-blog | 2015-02-01 09:16 | ERICニュース | Comments(0)
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