人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ニッポン景観論

ニッポン景観論
アレックス・カー、集会社新書ヴィジュアル版、2014
2406冊目

地方の時代映像祭で、シンポジウムが行われた。
http://www.chihounojidai.jp

カーさんは、基調講演者であり、パネリストである。

G経済とL経済の問題とからめて考えると面白い。

地方の景観を、グローバルに通じる景観として売り出すことが、地方を再生すると、著者は言う。

L経済とGとのつながりなしで、この発想は生まれない。いったいどんな人材育成を、L型大学はするというのか。わけわからん。

いまや、日本の地方は観光という指標において「グローバル」なチャンピオンを目指さなければならないのである。

たくさんの写真によって構成されているこの本。「日本型景観テクノロジー」があるのかも知れないという逆説で意表をつきながら、何が日本の魅力なのかを雄弁に物語っている。

古民家再生と言っても、観光客に対するアメニティの高さ、耐震構造などをクリアして再建している。

カーさんの「古民家」との出会いは1973年だ。祖谷谷の茅葺き家屋。築300年で38万円。

さまざまな取り組みを阻んでいる「神話」

神話1 電線埋設は工事費が高く、財政的に無理。
神話2 日本は地震国なので電線埋設はできない。
神話3 看板が多ければ多いほど、経済効果は上がる。
神話4 看板で指導しないと、お客さんは戸惑う。


アレックス景観賞 いかに奇抜なデザインで歴史や自然を圧倒しているか。
建設省の「ユートピア」という歌も、シンポジウムでは紹介されている。とても反語的。

国の予算のうち、土木建設が占める割合が米国は8%、ヨーロッパ6-7%。日本は40-50%であった。
一年間に敷き詰めるコンクリートの量はアメリカの33倍。87

黒川紀章さんのデザインも「レトロより賞」とこきおろされている。95

京都タワーも然り。

それでいいのだと思わされて来たわたしたちがいる。
それを別の目で見てみたら、別の未来が見えてくるだろうと。

アレックスさん、かなりの皮肉やさんですね。
by eric-blog | 2015-01-25 18:06 | ■週5プロジェクト14
<< 中等社会科の理論と実践 「森の駅発」 メルマガ 第48... >>