ERIC NEWS 413号  民主主義の学校 第11行 サービス学習で、学校を持続可能な地域の拠点に!

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ERIC NEWS 413号 ともによりよい質の教育をめざして  2014年11月23日

 民主主義の学校 第11行 サービス学習で、学校を持続可能な地域の拠点に!
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

ESDの国連10年が終了します。しかし、本当にここが始まりだと思います。

多様な主体によって担われるESDをキャッチフレーズに、岡山で、そして愛知・名古屋で大規模なイベントが開かれました。

PLT事務局ニュースにも紹介しましたが、わたし自身、国土緑化機構と経団連が主催したフォーラムに参加しました。企業、行政との連携で、今後「緑の学校」を進めていくきっかけに、今回の大イベントがなったようです。
http://ericweblog.exblog.jp/20390124

■今号の目次
◆◇◆1. 民主主義の学校 第11行 緑の学校を持続可能な地域の拠点に
◆◇◆2.  犯罪・暴力弱者化社会をひらくために
◆◇◆3.  at ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ2014年度



◆◇◆1. 民主主義の学校 第11行 緑の学校を持続可能な地域の拠点に◆◇◆

今回、訪問したのは二校とも小学校でしたが、PLTのGreenSchools!の認証校は小学校とは限りません。中高一貫校や中学校の事例がたくさんあります。それは「生徒主導のチーム」を作ることが必要条件になっているためではないかと思います。

日本でも、公立中学校は校区が小学校と重なっているため、地域との連携で校庭および校区の緑化や省エネ、省資源などに取り組めるようになるとすばらしいですね。

今回、PLT米国事務局でGreenSchools!の担当をしているRachel Bayerさんに、これまでの経緯を聞いてみました。

■PLTのGreenSchools!の背景

PLTのGreenSchools!プログラムは、「学校全体アプローチ」(Whole School Project)という全米で州ごとに展開していた取り組みがきっかけとなりました。そのプロジェクトは、全米およびコミュニティに対するサービスに対する協力(Corporation for National and Community Service)からの助成金で始まったのですが、その後米国森林局(National Forest Service)からの助成金とAFFからのPLT運営資金の予算も使って続けられました。

PLTのGreenSchools!は、2008年の緑の学校調査から始まりました。そこから、わたしたちは学校認証プログラム(Certified School)をスタートさせたのです。

この調査を通じて得られた学校からのフィードバックに応えて、この年、わたしたちはGreenSchools!認証プログラムを改定し、三つの柱を決めました。カリキュラムへの環境教育の統合、生徒のリーダーシップ、環境行動です。

認証というのは、省エネ、廃棄物削減、リサイクル、水の利用削減、学校校庭の改善、その他のプロジェクトへの生徒、教員その他の学校関係者の取り組みをたたえるためのものです。学校という場、生徒、教職員、地域との関わりがあるから達成できることを、「学校認証」という形で、表彰しているのです。

PLTのGS認証プログラムの改定はどちらかというと、教員に対するPLTを通した専門性の向上、PLTと環境教育を学校カリキュラムに取り入れていくこと、Green Teamの構成や会合や宣誓、報告の作成などに積極的に参加していくことなどに焦点がありました。

さらに、認証するだけでなく、「継続校」(Sustained)制度も取り入れました。二年以上、継続して取り組みが続いている学校を表彰する制度です。

また、認証申請をオンラインで申請することで、学校の環境フットプリントや地域社会への影響などを量的に捉えられるようにしました。

日本での取り組みがすすめられるように、できることはなんでも支援したいと思っています。

ガンバッテ。

■PLTのGreenSchools!についての情報

もちろん、PLTのウェブサイトには、以下の情報はすべてオープンになっています。ぜひ、オリジナルでも確認してください。わたしが紹介している以上の情報、特に、実践校の紹介などはとても参考になると思います。

これまでPLTのGreenSchools!について紹介してきたブログは以下の通りです。

◆PLT GreenSchools! 認証取得手続きおよび認証校および認証継続校の条件
http://ericweblog.exblog.jp/20403205/

◆サービス学習というのはOECDの『学習の本質』でも重視されている優れた学びにつながるものです。現実社会と子どもたちの学びをつなぐものです。子どもの社会化をすすめるために、民主主義の実践として「サービス学習」を取り入れることが大切だと思いますが、PLTは以下のように説明しています。

PLTのサービス学習
http://ericweblog.exblog.jp/20403533/

◆子どもたちを戸外に連れ出すときの「配慮事項」が校種別に紹介されています。米国の環境教育法は「No Child Left Inside」と呼ばれています。このページのタイトルはその法律の名称も意識してつけられているのでしょうね。

PLT GreenSchools! すべての生徒が戸外で学ぶ®
http://ericweblog.exblog.jp/20403757/

◆学校調査、五本の柱より「学校立地調査」
英語ではSchool Siteとなっています。そのために、校庭だけに限られていない言葉として「学校が立地している場所」という表現を採用しました。

校庭だけでなく、建物の内部、そして、近隣、校区の公園など、戸外学習、環境学習、そして「サービス学習」に使えるところをすべてチェックするというのがその考え方です。

http://ericweblog.exblog.jp/20391681/

今後、その他の四本の調査計画も、順次、翻訳していきたいと思います。エネルギー、水、廃棄物、環境の質、それらすべてを配慮する学校、それが「緑の学校」なのです。それこそが正しくESDのめざす学校活動です。

企業や行政との連携で以下の三つのことが進むことを期待しています。
1. 教員の専門性を高めるための支援が得られる。
2. 行動計画の実施のための資金的人材的専門性などの協力が得られる。
3. 地域に展開するパートナーとなれる。
4. 生徒が「主導」するサービス学習の機会を得られる。

PLTのGreenSchools!の枠組みは、民主主義の学校として、持続可能な開発のあり方を学ぶものだと言うことでできるでしょう。

何よりも大切なことは、このプログラムが「学校全体で環境教育に取り組む」というプロジェクトから発展したことです。

認証校では「すべての教職員」が環境教育の専門性を高めるための訓練を受けることができるようにする。学校のカリキュラムに環境教育やESDが統合されている。それこそが学校の、そして地域のグリーン度、持続可能性を高めるものなのです。

学校全体で取り組むことの価値や意味を生徒が知れば、その生徒は「地域全体」で取り組むことの意味や方法も考えるようになるのではないでしょうか。

緑の学校を、地域の持続可能な開発のための学びあいの拠点に!

PLTの三つの視点、カリキュラム、生徒主導、具体的な環境行動は、日本の実践にとっても点検の視点となりますね。

◆◇◆これまでの「民主主義の学校」で学んできたこと。◆◇◆
■民主主義の学校、第一行「法律の制定と民主主義」
http://ericweblog.exblog.jp/19244804
■民主主義の学校 第二行 パブコメを書こう
http://ericweblog.exblog.jp/19249118
■ 民主主義の学校 第三行 政治運動をしよう
http://ericweblog.exblog.jp/19331921/
■民主主義の学校 第四行 一次資料を読む
http://ericweblog.exblog.jp/19548564
■民主主義の学校 第五行 司法への参加
http://ericweblog.exblog.jp/19711126
■民主主義の学校 第六行 改めて人権第一を再確認する
http://ericweblog.exblog.jp/19858947
■民主主義の学校 第七行 アクション・リサーチに取り組もう!
http://ericweblog.exblog.jp/19974206
■民主主義の学校 第8行  民主主義の教育
http://ericweblog.exblog.jp/20087091
■民主主義の学校 第9行 参加型民主主義の手法
http://ericweblog.exblog.jp/20189530
■民主主義の学校 第10行 参加型民主主義の手法
http://ericweblog.exblog.jp/20302641



◆◇◆2.  「犯罪・暴力弱者化社会をひらくために」連続ワークショップ
◆◇◆

10月に行った「対立から学ぼう」のESDファシリテーターズ・カレッジから生まれた講座企画です。

チラシのダウンロードはこちらから。
http://www.eric-net.org/news/CRext.pdf

ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ 実践講座
『対立から学ぼう』エクステンション・ワークショップ

 暴力とは、関係性における非暴力的な課題解決の方法を知らない人が、追い込まれてしまう関係のあり方です。非暴力的な「対立の解決」や、非暴力的な自己表現を知っていれば、避けることができるのに、それができないのは、スキルの欠如、トレーニングの欠如、知識・情報の欠如、課題解決を支援してくれる人とのつながりの欠如によります。この連続講座では、暴力について学び、非暴力的なスキルや課題解決の力をつけていくための手だては何かを考えます。

第一回は「暴力」とは何かを考えます。2014年11月28日

「暴力」とは力の濫用のことです。

力のある人が力を発揮して社会を作っていく、会社を動かしていく、組織をつくる。それはいいことです。そして、たぶん、あたりまえのことです。

しかし、社会を作っているのは多様な人々です。同じ力の人達で作っているわけではありません。

社会を作る力というのも、実は一つのものさしだけで測ることはできません。

サービス業だけではもちろん社会はなりたたないですが、メーカーだけで社会が豊かになるわけでもない。


さまざまな力によって社会は作られて、支えられている。

まず、「力」の指標は多様だということです。

それでも、社会から受け取る方が多い人はいます。

例えば、子ども、です。

いまや、一人の子どもが社会に出て働くようになるまで、20年近くの時間がかかるようになっています。

(サービス学習というのは、その隔離された状態を少し変えていこう、子どもも地域をつくる主体として関わる時期をもう少し早くしようという試みでもあります。その方が、子どもの学びにとっても、多様な人々が暮らしている地域のあり方そのものとしても健全だと考えられるからです。)

教育というのは、「効果」や「効率」がもっとも測りにくい産業ですが、だからといって不要だとは誰も思わない。

子どもは「支えられている」のです。そして、「生存・保護・発達・参加」の四つの権利主体として、「保護される」ことを保障されているのです。

例えば、周産期にあるカップルです。

妊娠から出産、そして育児の時期は、「保護を受ける」必要が、カップルにはあります。その保護を怠ったら、社会は少子化の道をまっしぐらに突き進むことになるでしょう。

そんな配慮、昔はなかったよ、と思うかもしれません。妊娠出産は自然なことだったのだと。

昔は、地域社会や家族が、保護の主体であったのです。地域社会に生産性が伴わないいま、精神論で「絆」を取り戻すことはできません。家族も同様です。家族が生産共同体であったとき、必要な保護は家族で行ったのです。

いまや、ほとんどの人々が、生産手段を持たず、被雇用者である時に、生産共同体であった時代の地域や家族と同じものを地域や家族に求めることはできません。あたりまえのことです。

例えば、病人、例えば、高齢者。

リストにあげてきた人々は、人権教育が言うところの「人権課題」とされる人々です。

人権課題とは、「社会的に不利になるかもしれない条件」にある人が、配慮され、保護され、社会に参加し、自己実現することを求めるものです。

「社会的に不利になるかもしれない条件」にある人々に配慮することが、なぜ必要なのか。

それは、どのような条件にあろうとも、人は人だからです。

生存し、希望を持ち、それぞれの形で社会参加し、「所属・信頼・貢献」することで心の健全さを保つ存在だからです。

すべての人間が人間らしく生きることができる社会。それが人権尊重社会です。

社会は、常に、多様な人々の存在によって成立しているのですから。健全な社会のために、多様性はキーワードです。

いま、「力のない奴が不利に扱われるのは仕方ないじゃないか」という論調がはびこっています。

これは「力の濫用」に道を開くものです。つまり、暴力的な社会の扉をあける議論なのです。「力のある奴が有利で何が悪い」という感性は「力を付与する人」を生み、「力を付与する」ことは権力の集中を生み、権力の集中は、力の濫用を生むのです。

人に力を付与することなく、生きることができる社会。それが民主的な社会なのです。

人権尊重社会から、ますます遠ざかりつつある昨今の風潮。

ますます暴力的な社会になるのではないと、危惧します。

「暴力とは何か」を考えることから始めませんか?

第二回 「犯罪を予防する」  角田 季美枝 [ESD環境教育ファシリテーター]
2014年12月26日(金曜日) 17:00-20:00

第三回 「犯罪弱者を救え!」大瀧 英樹 [とよだ中小企業ものづくり活性化診断士]
2015年1月31日(土曜日) 14:00-17:00

いずれも参加費は、1500円です。コーヒー・紅茶などの飲み物、お菓子付きです。

お菓子は、トルコのごま菓子、徳島風ういろうを予定しています。乞うご期待。



◆◇◆3.  at ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ2014年度
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■2014年(平成26年)6月28日29日 国際理解http://ericweblog.exblog.jp/19968319
■2014年(平成26年)7月26日27日 PLT木と学ぼう・環境
http://ericweblog.exblog.jp/20045012
■2014年(平成26年)9月27日28日人権
http://ericweblog.exblog.jp/20240973
■2014年(平成26年)10月25日26日スキル対立から学ぼう
http://ericweblog.exblog.jp/20363333
■2015年(平成27年)2月22日23日スキル未来を学ぼう
■2015年3月(平成27年)予定TEST教育力向上講座

毎回、濃い内容です。今年度は2015年に入って、二回を残すのみとなりました。
3月のTEST教育力向上講座は、日程調整中。ご希望のある方は、ERICまで。


◆◇◆4. ご寄付のお願い ◇◆
 1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。
 これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。
どこにもない価値を創造し、提供していくNPOとしての活動をぜひ支えて下さい。

◆◇◆ 以下のような活動に「25周年記念」として取り組みました。◆◇◆

■アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
インタビュー10 本、ブログ http://ead2011.exblog.jp/
■リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす
日立環境財団からの助成金プロジェクトおよびテキストの翻訳
 http://focusrisk.exblog.jp/
■PLT Focus on Forest 一部翻訳 「森の健康診断」
ForestHealthCheck.pdf ERICホームページにアップ予定
■PLT大学生ショートプログラム
http://www.eric-net.org/news/PLTForestNova2014.pdf
■Learning to Care
http://ericweblog.exblog.jp/18988618/
PDFはERICホームページ「新着テキスト」より

■平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp
最終的なネットでの提供は2014.3.18http://www.eric-net.org

■インフォグラフィックス研究会(ERIC主催)

■ゆるキャラ「リカリン」! 

■PLT 『世界の森林』 Forest of the World
これは現在も継続中プロジェクトです。近々、ホームページで提供開始。
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ご寄付先 金融機関
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  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
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  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
http://focusrisk.exblog.jp/
  blog アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
http://ead2011.exblog.jp/
  blog 平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp/
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by eric-blog | 2014-11-23 11:30 | ERICニュース | Comments(0)
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