ERIC NEWS 403号 民主主義の学校 第9行 参加型民主主義の手法

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ERIC NEWS 403号 ともによりよい質の教育をめざして  2014年9月14日

 民主主義の学校 第9行 参加型民主主義の手法
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

9.11は、2001年のニューヨーク世界貿易センタービルなどに対する自爆攻撃をふりかえる日であり、3.11の東日本大震災から何年半であるかをふりかえる日となりました。

国際教育ネットワーク団体の一つであるNIEDが、あえて設立記念日として選んだ日でもあるそうです。11周年、おめでとうございます。

そして、その前日、米国オバマ大統領は「イスラム国」に対する空爆強化を国民に対して演説しました。激しい挑発、そして共和党からの攻撃にもかかわらず、地上戦にまで踏み込めないのは、イラク・アフガン戦争での手痛い体験の記憶が新しい国民からの抵抗があるためです。
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2014/09/1113_1.php

オバマ大統領は、近隣諸国に協力を呼びかけていますが、反応は懐疑的です。シリアへの介入で穏健派反政府勢力を支援した武器すら、ISIS「イスラム国」などの過激派に渡っているのではないかという指摘もあるのです。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052970204707704580141251443843646

NATO諸国からの協力も限定的です。
http://newsbusters.org/blogs/kyle-drennen/2014/09/08/only-9-nations-join-us-fight-against-isis-nbc-touts-obama-goal-avoid

しかし、「テロ」とは、実行している人々からすれば「怒り」の表現であるはずです。そのことをまったく認めようとせずに、「紛争解決」はあり得るのでしょうか? 

http://ericweblog.exblog.jp/20188208/

イスラエルとパレスチナ
イスラム原理主義過激派イスラム国と米国

対話も交渉も不可能な対立軸は増大こそすれ、解決にはほど遠いいま。集団的自衛権の行使が実現できる体制が整えば、日本もこの対立軸の一方の側の実戦に立つことになります。

国際教育の役割は、未来への希望、相互理解と民間交流の推進、交渉と和解の方法論の習熟と信頼など、さまざまなアクションへの誘いと実践にあるのではないでしょうか?

◆◇◆1. 教育によって共に生きることを学ぶ。◆◇◆

1980年代に開発された『ワールド・スタディーズ』には、三つの和解が国際教育の前提として提示されています。「南北格差」「人種差別」「女性差別」です。テキストでは、これらの課題がアクティビティに取り入れられているのです。植民地支配をしてきた旧宗主国であるUKが、「ワーロッパ諸国による世界の分割」を認め、「南北格差」の現状、「人種差別」の背景を知ろうと呼びかけているのです。

そして、「女性差別」。アクティビティ「誰が何をする?」によって、女男の性別役割の見直しを行っています。

歴史的社会的文化的な背景を伴う「差別」の問題に、真っ向から取り組んで、これからの未来を共に創ろうと呼びかける姿勢がそこにあったと思っています。

国際協力は、「戦争の不在」「国家安全保障」という消極的平和に対して、「人権尊重・人間の安全保障」という積極的平和のための国際社会の取り組みでした。

「DAC(開発援助委員会)諸国によるODAの実施状況を純額ベースでみると、長らくアメリカが世界の1位であったが、冷戦の終結を背景に、1989年に日本がアメリカを追い抜き、その後も1990年を除き、2000年までの10年間、世界最大の援助国となった。しかし、2001年には再びアメリカが首位に立ち、2006年にはイギリスが第2位となり、2007年には、ドイツが第3位、フランスが第4位となり、日本は2009年まで第5位の位置にある。この間、日本はODAの予算を削減し続けたが、欧米諸国は「貧困がテロの温床になっている」との認識に基づき、ODAの予算を増額させてきている。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/政府開発援助

軍備費を拡大させることは、人権尊重・人間の安全保障に積極的に貢献するものではありません。それは単なる「力のバランス」のためにするだけのものであり、結果的には世界の不安定化に貢献するだけなのです。

「武器輸出三原則」の撤廃は、国際平和に貢献するものではありません。
いま、改めて、「貧困」と「格差」が世界の不安定化につながっていること、そのことを知ることで、一人ひとりの行動変容が起こることが、希望なのです。

トルコも「イスラム化」がどんどんすすんでいるなあという感慨を、今回の訪問でも持ちました。女性の服装、そしてどんどん建設がすすむジャーミー、拡声器で流されるコーランの朗誦などです。ラマダンも派手になってきていますよね。

形あるものが商業主義によって拡大し、派手になる一方、「見えないもの」を伝え続けることが、ますます難しくなってきているのではないでしょうか。

あらためて、『ワールドスタディーズ』の「わたしたちのクラスも世界の一部」、「貿易の不公平 海外からの食べ物」などのアクティビティに取り組んでみませんか? 

わたし自身も、「人権研修」で「教室の中の世界とのつながり」を取り入れるようにしています。そこにわたしたちがなぜ「世界の人権」を考えなければならないかへの答えがあるからです。わたしたちの世界はつながっている。つながりのおかげで豊かな生活をしているわたしたちにこそ、行動する責任があるのです。

http://ericweblog.exblog.jp/20170383

人権が侵害されていることへの「怒り」が、攻撃となっていることを忘れてはならないのです。

【推奨アクティビティ】
■食べ物とエネルギー
http://ericweblog.exblog.jp/18224822/
■食べ物の神話と事実
http://ericweblog.exblog.jp/18224849/
■分け前はどれくらい?
http://ericweblog.exblog.jp/20188778/
■国際理解教育で伝えたいこと2013
http://ericweblog.exblog.jp/19173859/



◆◇◆2.  民主主義の学校 第9行 参加型民主主義の手法◆◇◆

民主主義の学校の連載も9回目になりました。

今回の「民主主義の学校」では、「参加型民主主義の手法」についてご紹介したいと思います。ERICの学びの第3期に、学んだ手法もたくさんあります。

いま、なんだか、日本全体が「イライラ」しているように思えます。

それは、いま、大きな「対立」があるからだと思います。そこから来る「イライラ」や「怒り」に気持ちがとても翻弄されている。同時に、慣習的に「お上」になびいて生きるモンスーン型のせいで、「お上」が、あるいは権威がどこにいるのかにアンテナを張っているために、疲れているのではないでしょうか。

そんなことを『怒りの作法』などなどを読んで考えています。
http://ericweblog.exblog.jp/20188208/

いま、日本では、すべての政治的言説が「権力闘争」につながる。

誰かの意見に賛成することは「承認」することになる。「承認」はパワーになる。神なき社会、絶対の承認のない社会で、人間的「承認」は権力につながってしまうからです。

誰かの意見に賛成することもできない。自分の意見を持てるほど、知識がすべてについてあるわけでもない。

どうでもいいや、と投げ出すか、あるいは「強い」側について楽をするか。
『対立から学ぼう』の第一原則「対立は悪くない」。意見の対立があることを前提に、「わたし」を生きること。意見を表明する練習、意見を表明する場づくりが求められているのではないでしょうか。

民主主義を学ぶ。意見の対立があることに慣れること。あきらめずに「トランスフォーマティブな合意点」を探す力を身につけること。民主主義

ヨーロッパ開発銀行や世界銀行が、『参加』のハンドブックを出しています。

http://ericweblog.exblog.jp/20185633/

「民主主義の理想のひとつは、人々の合意や同意に基づいて政治を運営することにある。」


フィシュキンは、民主体制の四大原則について論じています。民主主義は「多数決」だけでは不十分なのです。
「政治的平等」「政治参加」「熟議」「非専制」

http://ericweblog.exblog.jp/17649896/

民主党政権下では、鈴木寛文部科学省副大臣のもと、「熟議」がすすめられました。選挙で25%ほどの得票で政権についた自民党政権は、どうやら熟議をすすめるつもりなど、さらさらなさそうです。これは民主主義ではなく、少数者による「専制」です。

国際紛争について、ミンデルは『紛争の心理学』で「ワールド・ワーク」の取り組みを紹介しています。

「政治的・経済的力に欠け、周縁化されている階級や集団は、そのことを
強く主張しなければ、つねに無視される。政治的・社会的主流派が「上品」で理性的なコミュニケーションの様式を要求するなら、それは無視したいという意思表示のメッセージになる。24」
「抑圧者からも犠牲者からも解放された社会、「深層民主主義」」

いまのわたしたちは「深層民主主義」の実践とは何かを、求めて行く必要があるようです。

「宇宙とはわたしたちである。」

そんな認識が可能になったいま、新しい何かに取り組みだしましょう。

◆◇◆これまでの「民主主義の学校」で学んできたこと。◆◇◆
■民主主義の学校、第一行「法律の制定と民主主義」
http://ericweblog.exblog.jp/19244804
■民主主義の学校 第二行 パブコメを書こう
http://ericweblog.exblog.jp/19249118
■ 民主主義の学校 第三行 政治運動をしよう
http://ericweblog.exblog.jp/19331921/
■民主主義の学校 第四行 一次資料を読む
http://ericweblog.exblog.jp/19548564
■民主主義の学校 第五行 司法への参加
http://ericweblog.exblog.jp/19711126
■民主主義の学校 第六行 改めて人権第一を再確認する
http://ericweblog.exblog.jp/19858947
■民主主義の学校 第七行 アクション・リサーチに取り組もう!
http://ericweblog.exblog.jp/19974206
■民主主義の学校 第8行  民主主義の教育
http://ericweblog.exblog.jp/20087091


◆◇◆3. ERIC経験学習指導の四段階◆◇◆

ERICという略称が、経験学習の段階を説明するのにぴったり使えることに気づいたこの夏。

Experience  体験する
Reflect    ふりかえる
Interpret  解釈する・一般化する
Connect to Challenge and change 行動変容につなげる
前回のニュースで「Challenge and Change」と紹介しましたが、「Connect」の方がいいかなあ、と思っています。
「ESDを通して平和の価値観を育てる」という論文を、Peace As Global Languageグローバルな言語としての平和研究会の紀要に出しました。その中で、価値観を育てる経験学習の方法論としてERICを紹介しました。

http://ericweblog.exblog.jp/20158780

そのとき、「E=体験」の部分が環境・外界との接点であり、「R=ふりかえり」「I=解釈する」が話し合いや抽象的思考など、川喜田二郎さんのいわゆる「書斎」の作業であり、「C」が考えたことを再び実践や外界、川喜田さん的に言うと「フィールド」にフィードバックする段階であることを考えると、「Connect」というのが、どのようにつながるかを本人が選択し意思決定できる余地を残していていいなあと思いました。もちろん、行動変容を願う教育的な目標を持つことを否定しているわけではありません。
前回のニュースで紹介した4As’の考え方もこのCの段階に含まれます。

Experience: hands-on activities which draw real experience, stories, things, existence, feelings, data and knowledge. 
Reflect: Real experiences help every learners to concentrate, but some learners are weak in abstract thinking. So the facilitators need tips for helping them concentrate. Discovery does not come if you are not concentrated. ERIC has 7 tips foe concentration-analysis-discovery; ask questions rather than telling and talking, show how to analyze using frameworks of analysis , limit the time, use numbers, stimulate one sense or skills at a time, share the common rules to do things, set the goals and evaluate, celebrate achievement.
Interpret: From the analysis and discovery, you can draw you interpretation of the world. How it is connected to you, without realizing or without conscious choice or decision-making. Knowing your place in the world, you can make the changes.
Connect: Connections are in 4A’s; awareness, attitudes, actions and advocacy. You can think of change in these 4A’s consciously, and then the learning is “from awareness to actions”.

◆◇◆4. at ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ2014年度
の日程が決まりました。◇◆

■2014年(平成26年)9月27日28日人権

今月末が主催研修 テーマ「人権」です。ぜひ、ご参加ください。

アクティビティに活用したいので、「人権トリビア」を募集いたします。人権問題についてぜひ知ってほしい豆知識、あなたなら何を選びますか?
それはどんな視点から選びましたか?

トリビアだと思っていることから、一人ひとりの人権を考えたいと思います。

■2014年(平成26年)6月28日29日 国際理解(終了しました。)http://ericweblog.exblog.jp/19968319
■2014年(平成26年)7月26日27日 PLT木と学ぼう・環境(終了しました。)
http://ericweblog.exblog.jp/20045012
■2014年(平成26年)9月27日28日人権
■2014年(平成26年)10月25日26日スキル対立から学ぼう
■2015年(平成27年)2月22日23日スキル未来を学ぼう
■2015年3月(平成27年)予定TEST教育力向上講座


◆◇◆5. 多くを知ることから始めよう! ご案内 ◆◇◆

いろいろな催しがあるのが、秋。まずは知ることから。知らずに考えることはできません。
多くを知るために、ぜひ、お出かけください。

■「異議あり! 8.17 政府広報」 研究者らが緊急会見・シンポジウム 。9 月 15 日(休日)13:30~上智大12 号館203 教室。参加無料。「放射線についての正しい知識を」と題した政府広報(復興庁)には多くの誤りがあります。


■
開発教育ファシリテータースキルアップ講座「実践をふりかえる」2014年9月23日(火・祝)13:30~16:30
富坂キリスト教センター1号館会議室 東京都文京区小石川 2-9-4(地図)
地下鉄「後楽園」または「春日」駅下車徒歩7分
http://www.dear.or.jp/getinvolved/e140923.html

■「性奴隷」とは何か
2014年10月26日(日)14:00~17:30(開場13:30) 
参加費:1,000円(学生、非正規500円)
在日本韓国YMCA9階ホール
(JR「水道橋」東口徒歩5分)http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/
pic.twitter.com/iI8NXpsGbo


◆◇◆6. ご寄付のお願い ◇◆
 1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。
 これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。
どこにもない価値を創造し、提供していくNPOとしての活動をぜひ支えて下さい。

◆◇◆ 以下のような活動に「25周年記念」として取り組みました。◆◇◆

■アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
インタビュー10 本、ブログ http://ead2011.exblog.jp/
■リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす
日立環境財団からの助成金プロジェクトおよびテキストの翻訳
 http://focusrisk.exblog.jp/
■PLT Focus on Forest 一部翻訳 「森の健康診断」
ForestHealthCheck.pdf ERICホームページにアップ予定
■PLT大学生ショートプログラム
http://www.eric-net.org/news/PLTForestNova2014.pdf
■Learning to Care
http://ericweblog.exblog.jp/18988618/
PDFはERICホームページ「新着テキスト」より

■平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp
最終的なネットでの提供は2014.3.18http://www.eric-net.org

■インフォグラフィックス研究会(ERIC主催)

■ゆるキャラ「リカリン」! 

■PLT 『世界の森林』 Forest of the World
これは現在も継続中プロジェクトです。近々、ホームページで提供開始。
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ご寄付先 金融機関
ゆうちょ銀行口座: 
10020-3288381 名義:トクヒ国際理解教育センター(ゆうちょ銀行同士)
◯◯八(ゼロゼロハチ)店008-0328838 名義:トクヒ国際理解教育センター(他の金融機関から)

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  Eメール   eric@eric-net.org
  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
http://pltec.exblog.jp/
  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
http://focusrisk.exblog.jp/
  blog アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
http://ead2011.exblog.jp/
  blog 平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp/
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by eric-blog | 2014-09-12 18:17 | ERICニュース | Comments(0)
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