ERIC NEWS 398号 民主主義の学校 8  民主主義の教育

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ERIC NEWS 398号 ともによりよい質の教育をめざして  2014年8月10日

 民主主義の学校 8  民主主義の教育
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

昨日は、長崎原爆記念日。わたしの誕生日でもあります。毎年のことですが、祈りと誕生日の記憶を切り離すことはできません。祈りを行動の力に。そんな日曜日。

民主主義の学校の連載も8回目になりました。これまで次のようなトピックについて考えてきました。

■民主主義の学校、第一行「法律の制定と民主主義」
http://ericweblog.exblog.jp/19244804

■民主主義の学校 第二行 パブコメを書こう
http://ericweblog.exblog.jp/19249118

■ 民主主義の学校 第三行 政治運動をしよう
http://ericweblog.exblog.jp/19331921/
■民主主義の学校 第四行 一次資料を読む
http://ericweblog.exblog.jp/19548564
■民主主義の学校 第五行 司法への参加
http://ericweblog.exblog.jp/19711126
■民主主義の学校 第六行 改めて人権第一を再確認する
http://ericweblog.exblog.jp/19858947
■民主主義の学校 第七行 アクション・リサーチに取り組もう!
http://ericweblog.exblog.jp/19974206

いま、これから、何を書いていくかを考えるために、「民主主義の学校」で取り上げるべきテーマのリストを作っているのですが、いくらでも出てきます。

なるほど、民主主義というのは、社会のすみずみにまで行き届いて初めて民主主義と言えるのだなと、政治経済社会文化労働生産消費廃棄など、社会のさまざまな側面について考えたり、行動したりすることになることを、改めて発見しています。「国際理解教育とは何か」を考えた時に、「すべての教育が国際理解教育だ」と思い至ったことを思い出しました。

毎回、一つずつ、絞り込みながら、アクティビティの紹介を交えることができるものを優先的に、取り上げて行きたいですね。

今回のニュースのトップバッターは「アクティビティの種」です。ブログにたくさん、ワークシートのアイデアなどを紹介しているので、書きたかったテーマなのです。

◆◇◆1. ブログ「週5プロジェクト」からアクティビティ◇◆
週5プロジェクト、一週間に5冊の本を紹介するブログとして始まった「ESDファシリテーターズ学び舎 for BQOE」。本はアクティビティの泉でもあります。知りたいテーマについてどんどん本を読む。知りたいテーマということは「ともに考えたい・話し合いたい」テーマでもありますから、ともに考えるためのアクティビティが生まれる、あるいは作り出す努力をするのは当然です。

今回は、本を紹介するブログとアクティビティ開発の関係をちょっとご紹介したいと思います。

最初に思いつくのは「カウラの大脱走」というアクティビティです。

戦後60年、わたしたちの人権感覚は育ったのだろうか。そんな問題意識が書かれていますから、2005年頃に開発したものでしょうか。

大分のファシリテーター仲間に最初に試行したのが最初で、その後人権研修で何度か使っています。(プログラムなどはブログをカウラの大脱走で「検索」してみてください。)

やってみての結論。変わっていない、ということです。ということは、いまのわたしたちの民主主義的行動は、まわりのみんなもそうしているから、そうあれているだけで、状況が変われば、どのようにでも変化するということ。人権や正義などの原理原則で行動することは、相変わらず、ほとんどのわたしたちにとって、難しいということです。

ただ、民主的行動を支えてくれるのは、感性と知識です。「そんなのいやだ」という感覚、「いのちが大事」という思い。でも、それだけでは同調圧力に跳ね返されてしまいます。そんな時、多少なりとも発言のよすがとなるが知識です。

「ジュネーブ条約では、捕虜に対する非人道的な扱いは禁止されていますよ」とか、「戦争捕虜に対しては、軍事行動にかかわる作業に従事させてはいけないことになっていますよ」ということを知っていて、言うことができれば、流されずにすみます。そして、そういう発言をする人が複数存在すれば、話の流れは変わるのです。

さて、開発方法です。

関連書籍を紹介しているブログは一本だけですが、その他にも何冊か、読んでいます。(LBには紹介してあります。ぜひ、LBも購入してください。)
99-7(461) カウラ日本兵捕虜収容所
永瀬隆・吉田晶、青木書店、1990年
http://ericweblog.exblog.jp/2225163/

なぜ加害を語るのか 中国帰還者連絡会の戦後史、岩波ブックレット NO. 659、2005年
「戦場にかける橋」のウソと真実、永瀬隆、岩波ブックレット69、1986
連合軍捕虜虐待と戦後責任、油井大三郎、小菅信子、岩波ブックレット321、1993
生きて虜囚の辱めを受けず-カウラ第12戦争捕虜収容所からの脱走、ハリー・ゴードン、清流出版、1995
消えた遺骨 フェザーストン捕虜収容所暴動事件の真実、エイミー・ツジモト、芙蓉書房出版、2004

捕虜収容所における「雰囲気」を再現したかったので、「言葉」をこれらの本から取り出しました。「20の扉」と名付けた20ほどの抽出したフレーズを、一枚一枚カードに書いたものがアクティビティのツールです。一つひとつの発言の出典はレッスンバンクでは銘記してあります。

カードを一枚一枚めくって行きながら、その言葉に自分が同調するか、それとも反論できるかを、めくった人が発言していきます。4人一組みで行います。もっと大人数でやると、きっと違う感覚を体験することができることでしょう。

知識があると楽です。でも、それが説得力を持つわけではありません。発言が楽だというだけで、同調圧力に変化を及ぼすものにするには、それだけでは足りません。

発言を補強する思いや体験やねがいが、必要です。それを自分の中に育てて行くことが、「人権感覚」を身につけるということなのだと思っています。

まだ、この映画は見ていませんが、人権感覚Check!してね。
http://www.asahi.com/articles/ASG817S08G81PLZU00C.html

おっと、一つのアクティビティの紹介だけでも長くなったので、これもシリーズ化ですかね。

最近の「ワークシート」入りブログもぜひ見て下さい。もし、ワークシートを使われたりしたら、ご感想をお寄せください。

人権について、わたしたちは考えないより、考えた方がいい。考えたなら、話し合わないより話し合った方がいい。話し合ったら、行動しないより、できることをやれれば、最高! ですよね。

「ユース・バルジ」 『自爆する若者たち 人口学が警告する驚愕の未来』
http://ericweblog.exblog.jp/20075416/
「絶対貧困vs相対貧困」 『世界「比較貧困学」入門 日本はほんとうに恵まれているのか』
http://ericweblog.exblog.jp/20074909/

◆◇◆2. 民主主義の学校 第8行 4A’s 気づきから行動へ、経験学習的アプローチ、いろいろ ◇◆
「地球規模で考え、地域で行動する」、「気づきから行動へ」、国際理解教育や環境教育、人権教育、開発教育、平和教育など、さまざまな「課題型」教育の議論を彩ってきたフレーズの一つは、行動化につながるキーワードではなかったでしょうか。

4A’s というのは
Awareness
Attitude
Action
Advocacy
の頭文字をまとめたものです。「気づきから行動へ」という目標を、教育的に「Attitude態度変容」を行動の前においたものですが、さらにそこに「Advocacy社会的提言」を、行動の中でも社会に対する働きかけを加えた教育目標のことです。

国連経済社会委員会のNPOリエゾン事務所は、NPOが国際社会に対して果たしている役割を4つあげています。
1. 問題発見・問題提起
2. 意思決定への参加
3. 実践活動
4. モニターと評価

PDSやPDCAのサイクルそのもののような流れですが、一つのNPOがこれらすべてを行うわけではありません。象牙取引の現状を告発するレポートを発表して問題提起し、警告するTRAFFICは、現場で密猟者の取締活動支援をしたりしません。現場で保護活動をしている団体すべてが、国際会議のような意思決定の場に参加するとは限りません。
また、国際会議で約束されたことや採択された条約や議定書に従って、各国が行動しているかどうかをモニターする活動を行っているのは、問題提起をしている団体である場合がほとんどです。

PDS, PDCAのサイクルと比較してみると、「問題提起」の部分がPDSのサイクルに欠如していることがわかります。企業内NPOというか、組織内NPOの役割は、「問題発見・問題提起」にあるのだと思います。PDSのサイクルには「問題」Problem課題の発見が抜けている。計画・実践・評価。

ASK, awareness, skills and knowledge 気づき、スキル、知識
というまとめもありますね。

PLTでは、AKCA (Awareness, Knowledge, Challenge, Actionアカア)気づき、知識、挑戦、行動という目標設定をしています。

ワールドスタディーズでも、知識・技能・態度・行動という教育目標の立て方をしています。さらには、最近の研究成果である「コンピテンシー」というのは資質・能力と訳されていますが、知識と態度と行動の総体として、生きて働く力としてコンピテンシーを育てることが重視されるようになっています。

http://ericweblog.exblog.jp/17830509/

知識・理解・気づき・態度・スキル・行動と、目標の軽重、重みづけをつけることはできても、それらが総合して「力」エンパワメントにつながることがもっとも重要なのだと言えるでしょう。

ERICという略称も考えてみました。結構いけるじゃん、これ?!
Experience  体験する
Reflect    ふりかえる
Interpret  解釈する・一般化する
Challenge and change 行動変容につなげる

ということで、これから経験学習の四段階はERICと紹介することにしよう!

民主主義の学校では「気づきから行動へ」を導くための教育目標の設定および教育内容、そして目標と内容に沿った教育方法の三位一体が、効果のある「よりよい室の教育」として求められるということです。

教えていることと、学校が実際に発しているメッセージが一致していること。何より重要ですね。


◆◇◆3. at ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ2014年度の日程が決まりました。◇◆
■2014年(平成26年)6月28日29日 国際理解(終了しました。)http://ericweblog.exblog.jp/19968319
■2014年(平成26年)7月26日27日 PLT木と学ぼう・環境(終了しました。)
http://ericweblog.exblog.jp/20045012
■2014年(平成26年)9月27日28日人権
■2014年(平成26年)10月25日26日スキル対立から学ぼう
■2015年(平成27年)2月22日23日スキル未来を学ぼう
■2015年3月(平成27年)予定TEST教育力向上講座


◆◇◆4. ご寄付のお願い ◇◆
 1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。
 これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。
どこにもない価値を創造し、提供していくNPOとしての活動をぜひ支えて下さい。

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by eric-blog | 2014-08-12 10:11 | ERICニュース | Comments(0)
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