ERIC NEWS 389号 ともによりよい質の教育をめざして  2014年6月1日

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ERIC NEWS 389号 ともによりよい質の教育をめざして  2014年6月1日
民主主義の学校を広げよう! 第6行 
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)

こんな動き、いいですねぇ!

■理想の学校を創ろう!in名古屋 
~「オルタナティブで多様な教育」の実例から学ぼう~
https://ssl.kokucheese.com/event/entry/177298/
 〝理想の学校〟とは?−− 
 わたしたちが思い描くのは例えばこんな感じ… 
  「自己選択・自己決定ができる学校」 
  「自己表現、自己肯定感が育まれる学校」 
  「地域・社会と共にある学校」 
  「自然とともにいのちが実感できる学校」 
  「自分たちで創る学校」   などです。

https://ssl.kokucheese.com/event/entry/177298/


全国に200カ所も広がりつつあるこんな動き。
http://ikihug.com/school.html#map

10倍になったら、各市町村に一カ所ぐらいになるね!

いまのところ、シュタイナー教育・モッテッソーリ教育を中心に、「保育園・幼稚園」が多いようです。

「森のようちえん」も含まれているようですが、初等中等教育へとどう広がっていけるかが、鍵ですね。

http://ericweblog.exblog.jp/19805333/

「ヨーロッパが注目するスウェーデンの市民性教育」の生涯学習の取り組みは、幼児期から成人まで、首尾一貫した場づくりが欠かせないことを示しているのではないでしょうか。
http://synodos.jp/international/7825

民主主義、市民社会は一朝一夕にしてならず、ですが、どこからか始めなくてはね。ERICの取り組んでいる「指導者育成」も、もっと広がるとよいのですが。


□■1. 民主主義の学校 第6行 「人権第一を再確認する」■□■
わたしたちの社会の民主化のためには、「人権第一」の原則を、普遍的な価値として再確認する必要があります。

なんて、当たり前のことなのですが、本当に、わたしたちの社会は「人権第一」の社会になっているのでしょうか?

戦前の教育をふりかえって見ると、「お国のために」が先行する価値観で、教育が行われていて、「人命は鴻毛よりも軽し」という価値観も、あるようです。

例えば、「生きて虜囚の辱めを受けるより」切腹を、と、切腹の作法を中学校で学んだり。
http://ericweblog.exblog.jp/19851967/

例えば、福島第一で決死の覚悟で突入したり。
http://ericweblog.exblog.jp/19852350/

平凡な日常の物語よりも「死」にまつわる物語は、人を引きつけてやみません。
そのことが知らず知らずのうちに「死」を美化してしまうということが、今の時代においても、起こってしまうのではないでしょうか。

ヘイトスピーチの文言に「殺せ!」というのが入っていることも、彼らが「覚悟」や「国」や「美しい国」や「お祖父さまたちの名誉回復」や「誇り」の裏返しであることを考えた場合、ヘイトスピーチを叫ぶ人々は、簡単に「お国のために死のう」と叫びだすことでしょう。そして、ヘイトスピーチに恐怖する心のうちには、それに持っていかれてしまう「わたし」を見いだして、その予感に恐怖しているのではないでしょうか。

「死」は物語として、あまりにも強烈なのです。

2006年に『出口のない海』を見た時の衝撃が忘れられません。なぜ、戦後60有余年を経て、第二次世界大戦の時の物語が、くりかえし、くりかえし語られるのだろうか、と。市川海老蔵という、1977年生まれの、戦争体験のみじんもない人が、貧乏たらしさや困窮のみじんも漂ってこないセットの中で、回天という、「出口のない海」に自らを投げ出していく並木を演じている。

なぜなのだ? という思いが強く、ありました。

その時、「では、日本で繰り返し、繰り返し語られる歴史の物語はなんだろう?」と思ったのです。そうなのです、すでに太平洋戦争・第二次世界大戦は「古典」の域に入っているのだと、了解したのです。

それまでの「先の戦争」の語られ方は、どちらかというと「体験から学ぶ」風に、なんらかの実体験のある人たちを中心に、ことの善し悪し、今後への教訓として語られていたように思います。

『出口のない海』はそのような学びとは無関係に、「死」という強烈な物語のにおいを放っていました。

確かに、並木は言うのです。なぜ、出口のない海に赴くのかと問われた時に。「回天というものがあったことを伝えるため死のうと思う」と。その言葉を聞くかぎり、並木は、無法な、無体な、無謀な回天を非難しているように聞こえます。

しかし、その語りはあまりにも美しく、次の回天を阻むものにはならない。返って、「回天」を望む、第二の並木になりたいと望む人を生み出すのだろうと、わたしは戦慄するのです。感動の故に。
http://ericweblog.exblog.jp/6122551/

2013年、先の戦争は、再びの新たな装いをまとって、物語られました。

一つは、「ゼロ戦」の開発者の物語として。『風立ちぬ』
もう一つは『永遠のゼロ』である。
http://biz-journal.jp/2013/09/post_2979.html

これらのタイトルからして、ゼロ戦に始まり、ゼロ戦に終わらないことが、読み取れる。「先の戦争」は、これからもずっと語られ続けるのだということです。「死」という覚悟を伴う物語として。美化する必要などないのです。強烈でありさえすれば。

イザベラ・バードは、『日本奥地紀行』の第一巻で、日本社会における自殺の多さを描いています。この時代には女性の自殺者の方が多かったようですが。
http://ericweblog.exblog.jp/19811438/

まさしく、「死」は名誉よりも、生きる苦しさよりも、家への迷惑よりも、軽いのです。

民主主義の学校を始めるにあたって、「人命第一」「人権第一」を共有すること、日本社会の重層性の一つに息づく「いのちは鴻毛より軽し」という考え方の脱学習が可能なのかどうかを検討する必要があると思いました。

第六行とはなってしまいましたが、このことに気づいただけでも良かったかなと。

さて、推奨プログラムです。

○カウラの大脱走 戦後60年、わたしたちの人権意識は育ったかな? http://ericweblog.exblog.jp/2261247/

○死刑制度について考える ESDfc「国際理解」
  2014年6月28-29日テーマ「国際」実施要綱 http://www.eric-net.org/

○人間の尊厳を求めて 恐怖からの自由
『いっしょに考えて! 人権』p.32

○セルフエスティームの構造 アジア的ヨーロッパ的?
「対立は悪くない」  本当に満たされたいもの=面子

○いじめの構造「社会的びくびく人間は誰?」
これも、関係するかもしれませんねぇ。

あなたの人権感覚は、集団主義、役割社会、間人主義、国家主義を越えられますか?

□■2. 完全自律型致死的兵器は究極の人権侵害である!  ■□■
5月28日のNHKニュースは、わたしにとってショックでした。三沢基地に配備されるグローバルホークという無人戦闘機の配備について、地元の人の声として「事故を起こさないか」という声だけしか紹介されていなかったからです。

http://ericweblog.exblog.jp/19827458/

『人権は国境を越えて』で著者の伊藤和子さんが指摘しているように、すでに無人戦闘機による被害は1600名を越えているのです。

http://ericweblog.exblog.jp/18932065/

そして、カリフォルニアの無人戦闘機操縦基地では、遠隔操作で殺戮している兵士に、大きなストレスがかかっていることも。

完全自律型になるということは、このような人間的なストレスなく、人命を奪えるということです。

NHKの科学番組では、無人機の利用について紹介されてもいます。

大事なことは、致死的な兵器としての利用には、制限が必要だということです。

機械が独自の判断で人を殺してはならない。

アシモフが提唱した「ロボット三原則」の一つ、「人を殺してはならない」を、国際的な合意にしていく必要があるのです。

あなたなら、この問題についての「みんなの頭で考える」ために、どんな研修プログラムを組み立てますか?

平和憲法堅持を叫ぶ声が大きいこの国で、この問題についての声が大きくならないのが、とても不思議です。そのことがまた、人権意識なき平和主義のようにも思えてならないのです。

http://ericweblog.exblog.jp/19706881/
http://ericweblog.exblog.jp/17708776/


■□■3. ERIC主催研修2014年度の日程が決まりました。■□■
日程表、実施要項、申込書などはERICホームページからダウンロードできます。
http://www.eric-net.org/

詳細など、お気軽にお問い合わせください。
問い合わせ先: eric@eric-net.org
■2014年(平成26年)6月28日29日国際理解
■2014年(平成26年)7月26日27日PLT木と学ぼう・環境
■2014年(平成26年)9月27日28日人権
■2014年(平成26年)10月25日26日スキル関係性・対立から学ぼう
■2015年(平成27年)2月22日23日スキル市民性・未来を学ぼう
■2015年3月(平成27年)予定TEST教育力向上講座

■□■4. ERIC25周年に向けたご寄付のお願い ■□■
 1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。
 これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。

 日常活動に加えて、25周年に向けて、事務所のリニューアル、フューチャーサーチ走向未来ワークショップの開催など、企画しています。
 特別活動支援のために、テキスト活用、研修参加などのご支援に加えて、ぜひ、ご寄付をお寄せください。よろしくお願いいたします。
ご寄付先 金融機関
ゆうちょ銀行口座: 
10020-3288381 名義:トクヒ国際理解教育センター(ゆうちょ銀行同士)
◯◯八(ゼロゼロハチ)店008-0328838 名義:トクヒ国際理解教育センター(他の金融機関から)

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  (特定非営利活動法人)国際理解教育センター
ERIC:International Education Resource & Innovation Center

〒 114-0023 東京都北区滝野川1-93-5 コスモ西巣鴨105
  tel: 03-5907-6054(研修系) 03-5907-6064(PLT・テキスト系)
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  blog 平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
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by eric-blog | 2014-06-02 10:28 | ERICニュース | Comments(0)
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