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大阪の子どもたち

86-4(404) 大阪の子どもたち-子どもの生活白書-2004年度版
-特集 すべての子どもの学力を支える効果のある学校-
大阪府人権教育研究協議会、2005

『学力の社会学』を補完するような議論についてさらに細かく知ることができる特集。
もちろん、学校効果研究会には志水宏吉さんも入っている。
2004年に実施した調査では、大阪府、兵庫県、徳島県から募集した小学校27校、中学
校26校が参加。
「効果のある学校」を抽出するために、算数・数学と国語の学力テストについて、保
護者の学歴と文化的環境、通塾状況の3つについて階層を分けて、通過率を検討する。
「低位」の子どもたちについては、20ポイント内外の較差が生じている。調査は「社
会的に不利な状況におかれている弧度もたちが基礎学力をつけられていない状況が浮
き彫りになっている」とする。3
そのような中でも、階層間較差が見られない学校がある。この調査は「これらの学校
がどのようにしてその較差を抑制・克服しているのかについて分析する」のが目標。
4
また、学校背景についても3つの因子についての回帰分析から「高」「中」「低」を
分けて、学校効果の発揮について分析した。その結果、「高」の学校のほうが学校効
果を発揮しやすいことがわかった。「しんどい校区」において効果のある学校を実現
するためには、実践や資源の面でより大きな投資を要することが示唆されている。4

効果のある学校の特徴について、子どもを対象に行った「学校生活アンケート」から
・学びのイメージ
・学習動機
・授業形態
・授業参加態度
・授業満足度
・学級集団
を探って、効果のある学校指標との相関を探っている。

学校効果指標というのは、これまでの学校効果研究から、次のような項目が出されて
いる。それらについての子どもからの評価もアンケートに含まれている。
・教室にゴミや落とし物
・こわれた箇所はすぐ修理
・教室の机のならび
・チャイムと同時に授業
・他の先生が授業見学をする
・家庭訪問
・教え方の工夫
・先生によって規則やルールが違う
・先生たちのチームワーク
加えて、自主活動について、生活習慣について、持ち物、生活時間学習習慣、勉強が
わからないとき、家庭学習、学習理解、学校生活、自尊感情、進路、将来の仕事、家
庭の文化階層など。

次に担任の「授業づくりアンケート」
・学力実態の把握
・学力保障の実践 手立てだねこれは。
・学級活動
・地域、保護者との連携
・学校の体制
結果としては「・学力保障の実践」は中学校においてはあまり効果には繋がっていな
い。

いずれにしても、この調査報告書を入手することができるようなので、詳しいことは
またその調査報告書を読んでから。

その他に、この白書でおもしろかったのは、「フリーター問題」について被差別部落
と部落外の若者20名ずつに聞き取り調査をした結果の報告です。小学校段階で勉強が
わからなくなった子どもたちが、職からも疎外されていく様子がよくわかります。小
学校で3割、中学校で5割、高校で7割の子どもが授業についていけない、わからな
い状況がある。(???????なぜだ? 高校は学力で分かれているのではないのか)
最近、わたしは、人を育てるのは職場であり、職業だと感じることが多々あるのです
が、中卒、高卒にとっての職場って決して「教育的」ではないのだなと思います。特
に、中卒の子どもたちが、90年代以前とは比べ物にならないような厳しい状況にある
と、この報告者、中村清二さんは言います。
・学校の勉強
・友だち
・学校と家庭や地域の関係
・安心できる場所
これらの要素がこれらの若者と職を結ぶキーワードのようです。
さらに、報告者は、子どもたちとの接点の役割をもっと学校が果たすことが大事だと
いうのです。

伯太高校の「グローバル・スタディーズ」の授業で、「文字の読み書きができなくて
困ること」という連想図から識字について学ぶ実践はおもしろいと思いました。

いやあ、でもこの白書も分厚いし、読むべきとこ多いし。いったい学校の先生方はど
れぐらいこのような報告書などを読む時間があるのだろうかと、思ってしまいました。
子どもたちもそうですが、先生たちにも「考える時間」「読む時間」が必要だなと思
います。


-- 本トのインタビュ===まとめ方の三原則 --

・話された言葉やデータを大切に
・話されていないことでも話していい
・話したくないことは話さなくていい

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by eric-blog | 2005-06-01 19:57 | ■週5プロジェクト05
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