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絶望の裁判所・知の鎖国 外国人を排除する日本の知識人産業

絶望の裁判所
瀬木比呂志、講談社現代新書、2013
2185冊目

知の鎖国 外国人を排除する日本の知識人産業
アイヴァン・ホール、毎日新聞社、1998
2186冊目

『絶望の裁判所』の以下の箇所を読んだ時、それは教育の現場でも同じなのではないかと、思った。

「裁判所当局は、司法制度改革の動きを無効化するのみならず、それを逆手にとって悪用し、その結果、裁判所と裁判官集団は、今世紀に入ってから、徐々に、しかし目に見えて悪くなって行った。ことに、平均的な裁判官、中間層のあり方がなし崩しに変化、悪化していったことは、私にとって大きなショックだった。・・・つまり、職人タイプの裁判官が日本の裁判の質を支えていたわけである。しかし、上層部の劣化、腐敗に伴い、そのような中間層も、疲労し、やる気を失い、あからさまな事大主義、事なかれ主義に陥っていったのである。・・・言葉を換えれば、多数派、中間層の官僚化・役人化傾向が著しい。」38-39

いまや裁判官は「裁判を行っている官僚、役人」になっている。51

『鬼が来た!』のシーンを著者は裁判所の雰囲気になぞらえる。「村人たちと歓談している日本兵たちが、その場の「空気」の流れに従って自然発生的に虐殺を始める」20
「空気」の支配に流されやすい性格。

「矢口洪一最高裁判所長官体制下の事務総局には、もしもそこが戦場であったなら先のようなことが起こりかねないような一触即発の空気が、常に漂っていた。」20

■最高裁判事の性格類型 p.55
A類型 5% 人間的で個性豊かな人物
B類型 45% イヴァン・イリイチタイプ トルストイの短編『イヴァン・イリイチの死』
C類型 40% 俗物、純粋出世主義者
D類型 10% 怪物

■裁判員制度導入の裏側
7割の裁判が民事になりつつある現状で、刑事裁判に脚光をあてるための仕掛けが裁判員制度。そして、裁判長は刑事系が強くなりつつある。

「矢口さんはまだしもつつしみがあった」と言わせる状況が生まれつつある、と。74

 「内に対しては理念なき絶対的統制、外に対しては可能な範囲での迎合、さらに、情実人事によって脇を固め、地家裁裁判長の人事や新任判事補の採用についてまでその意向を貫徹するという、醜悪なシステム。」118


『知の鎖国』は言う。日本の法律専門家のピラミッドの最上層エリートは、さまざまな分野で幅広い訓練を受けてから専門を決めるアメリカの専門家とは対照的である。

『知の鎖国』は、法曹界以外に、メディア、大学、留学生、評論家などの分野について、いかに民族主義的で日本人と外国人のあいだの差を強調する体質を持っているかということを指摘している。

「Japanese Only」と鎖国しているのは、浦和レッズの応援団だけではないのである。
by eric-blog | 2014-04-12 21:36 | ■週5プロジェクト14
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