ERIC NEWS 377号 ともによりよい質の教育をめざして  2014年3月9日

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ERIC NEWS 377号 ともによりよい質の教育をめざして  2014年3月9日
民主主義の学校を広げよう!
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBもやってます。)


今年度も、残すところ一ヶ月のみとなりました。

今号の目次
□■1. グローバル化自体の国際教育を考える
□■2. 民主主義の学校  一次資料を読む
□■3. ERIC主催・ESDファシリテーター養成講座
□    ■4. ERIC主催研修2014年度の日程が決まりました。
□    ■5. ERIC25周年に向けたご寄付のお願い

一年がたつのが早いと、よく言われますが、3.11以降、さまざまなことが押し寄せていて、ふりかえってみると、「早い」とは到底言えないというのが実感です。

一昨年末の東京都知事選挙と衆議院選挙から、夏の参議院選挙まで、そして、突然の東京都知事選挙。「民主主義の学校」として「選挙」や政治について、「選挙」や政治を通して学ぶことを実感しました。

労働・納税・選挙が、義務であり権利であるとするのであれば、義務教育段階までにおいて「選挙」や「政治」を通して、民主主義を教える機会を持つことが必要だと言えます。

そのような実践として、実は「生徒会活動」「委員会活動」があるのですが、実社会における選挙とは異なることは明白です。

また、今年度から「学校ボランティア」として中学生、小学生に触れる機会が増えました。わたしが子どもの頃、そして子育ての頃から、学校は大きく変っているのですねぇ。

1.中学校から「面接」など、労働に対する意識づけが行われている。「労働」というよりは「就職」というべきか。
2.小学校は本当に多様な「大人」が関わる場になっている。特に、小規模校であるせいか、手厚い対応がなされているように感じます。

新しいことを始めると、時間のたつのが遅くなりますね。一瞬一瞬が刺激的だからからだと思います。

9月頃から始めようと思ったトルコ語学習は、都知事選挙でぶっ飛んでしまいました。あれから一ヶ月。気を取り直して、「学び」を再度日常化したいと思います。

実は、いま、いちばん時間を取られているのは『宮廷の諍い女』(BSフジ)! 生の中国語が聞ける! 日本語が字幕で出ている。など、語学学習だと、言い訳しつつ、はまっています。

おもしろいなあと思ったのは、中国語と英語の類似点として、原動詞を中心とした会話文がなりたつことです。「こっちへ来い」も「こちらへどうぞ」も同じ会話文なのである。尊称の存在だけが、関係性を示しているのだ。

いいなあ、シンプルな言語は。語尾に多大な配慮を必要とする日本語とは大違いだ。

とはいえ、引用される「原歌」の素養が会話のレベルを規定している。それは、英語も同じだ。

いまの中国で、このような「原歌」に対する許容度が高まっていることに驚かされる。かつて、上海で京劇を見た時に、「公主」の苦しみに共感して涙する物語で、喝采を叫んでいた大衆(それも操作的ではあるが)は、いま、この大人気ドラマ(と紹介されている)をどう見ているのだろうか?


□■1. グローバル化時代の国際教育を考える■□■
2011年からJICAと国立教育政策研究所(外務省と文科省!)の共同研究ですすめられた表記の研究の最終年、最終報告会が3月8日にありました。

国際開発センターの田中義隆さんは、各国の国際教育についての調査から出されてきた共通点と、DeSeCo(OECD)の目標を比較してみて、以下のことを結論づけていました。

「国際教育は、近年の教育課程に先駆けて、グローバル化社会に必要とされる資質・能力の養成を目指してきた。それはとても先見的な学習アプローチと学力観に支えられたものであった。いま、近年の学習方法や学力観も、それに近づいている状況が見える。つまり、国際教育は、近年の教育課程が目指す資質・能力の養成に大きく貢献することができる。」

やれやれ。20年も30年もたって、これかあ。「研究者」というのは時間がかかるんだね。

ERICは、1989年のグローバルセミナーで紹介した『ワールド・スタディーズ』の翻訳出版から始まって、参加型学習の三つの方法論について、紹介してきました。その流れについて、10年後の1999年に出版した『環境教育指導者育成マニュアル』の資料編に、以下のようにまとめています。
1.ワールド・スタディーズやPLTのような、学習者中心の協同学習的アクティビティを通して概念を伝える共有するための方法論としての参加型
2.『いっしょに学ぼう』や『いっしょにできるよ』、『わたし、あなた、みんな』などのような自尊感情、コミュニケーション、協力などの、参加型学習の基礎となるスキルの習熟をめざす参加型
3.PRA主体的参加地域評価法やフューチャーサーチ会議などの社会的合意形成のための方法論としての参加型

すでに、1999年の段階で、国際理解教育として取り組んできていることが、教育一般、そして教育全体で取り組まれるべきことであることを示しているのです。そして、2000年からはESD持続可能な開発のための教育ファシリテーターズ・カレッジを、ESD推進の人材育成のために行っています。

ESDは、「あらゆる機会に、あらゆる人々に対する教育」として取り組まれるべき教育であると、規定されています。その学力観、教授法は、すでに国際理解教育が取り入れ、実践している「学習者中心の協同学習的アクティビティ」や「参加のためのスキル・トレーニング」と共通しているのです。

ともあれ、NIERとJICAが「国際教育は近代の教育課程についての議論と軌を一にするものである」という共通認識を持てるようになったことは、慶賀のいたりです。

最終報告書案はこちらから
http://www.idcj.or.jp/pdf/reference_20140308.pdf

シンポジウムの案内はこちら。いまさらでしょうが。
http://www.idcj.or.jp/news/140131.html

2013年8月の国際シンポジウムについてはこちらから
http://www.idcj.or.jp/news/130718.html

p.58に、実践している割合が示されていますが、なんと、小中、いずれの校種においても、減少しているのです。今回の共同研究は、いまさら、の感も否めないですね。
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総合的な学習の時間において、いずれかの学年で国際理解に取り組んでいる学校の割合(複数回答)
     平成19年度  平成21年度 平成22年度  平成23年度
小学校   85.4%     72.7% -     ------ 61.4%
中学校   39.6%     34.7% -    ------- 31.1%
高校(普通科) 24.9% -------- 32.0% - -------
出典:文部科学省「教育課程の編成・実施状況調査」(各年度)より
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これは、激減している、と言っていいのかなあ?

「国際理解教育に関するリンク集」も平成21年で最終更新とまっているし。
http://fish.miracle.ne.jp/adaken/link/kokusai.htm

今回の共同研究の成果というわけではありませんが、以下は無料で入手可能です。

『国際理解教育実践資料集 -世界を知ろう!考えよう!-』
以下からもダウンロードできますが、JICA窓口から入手可能です。
•表紙・はじめに・もくじ(PDF/559KB)
•教材の使い方(PDF/546KB)
•内容例(PDF/1.16MB)
•ワーク学習例(PDF/583KB)
http://www.jica.go.jp/hiroba/menu/education/index.html


■□■2. 民主主義の学校  第四行 一次資料を読む■□■
「民主主義の学校」プロジェクトに取り組む中で、「一次資料を読む」ということの大切さとパワーに気づきました。
座間宮ガレイさんは、3.11の後、原子力安全委員会の議事録を片っ端から読んだんだそうだ。読む姿勢は、「◎○について知りたい!」と思って探すように読むこと。
結論は、「あいつらでたらめだ」ということ。そして、そこで学んだことの応用は、「委員会は眉唾でチェックする」ということ。

2014/02/22 【三重】座間宮ガレイさんお話会 in 三重
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/126345

わたし自身が読んで驚いたのは、二つありました。
安倍首相が「サンフランシスコ条約第11条で、公職追放が解除され、そのことによって戦争責任は果たされたのだと思っている」と戦犯の判断について述べたことがありました。そこで読んでみました。そんなこたあ、書いてないんですよ。第11条には。「東京裁判の結果を受け入れて、これを執行する」と約束しているのです。それを、独自の判断で公職追放を解除したのは日本政府なのです。まあ、それを許した戦勝国諸国があったと言うべきでしょうが。
わたしの父親も戦犯で、最初は教職につくことができませんでした。それが公的教育での教員になることができたのは、まさしくこの公職追放解除であったわけです。
わたしの父親は軍人恩給をもらうほどの年月軍隊にいなかったのですが、軍人恩給の受給は「普通恩給」(年金)、将校は13年、下士官・兵は12年。「一時恩給」(一時金)の場合は3年以上で可能)であることを考えると、この人々の戦争責任は、当然大きいと言わざるをえないでしょう。
にもかかわらず、いまも115万人ほどが軍人恩給を受給し、なおかつ、いまの安倍政権の元で、「名誉回復」をはかろうとしているということです。
http://www.houko.com/00/01/S27/127.HTM
戦傷病者戦没者遺族等援護法は昭和27年(1952年)に出されており、これはサンフランシスコ講和条約の締結を受けてのことです。
参考までに、現在、生活保護を受給している世帯数は159.6万世帯。世帯数で比較するのは、軍人恩給は遺族にも支給されるからです。
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_general-seikatsuhogo

1970年代から2000年までは、生活保護受給世帯は100万世帯を切っており、その頃軍人恩給は、いま確認できる115万人以上はいたことを考えると、愕然とします。わたしたちの社会は、軍人恩給という形で、第二次世界大戦時に「将兵」であった人たちに感謝してきたのではないでしょうか。そのことが、いま、国会議員が「わたしの祖父は軍人だったのですが、彼が、そんな残虐なことをしたとは思えない」というような発言、安倍首相等が歴史修整したいと願う背景につながっているのだと思います。
もう一つ、驚いたのは、「パブコメを書こう」をまとめた時に「行政手続法」を読んだ時です。その法律には、なぜ、がない、のです。なぜパブコメを求める必要があるのかが書かれていない。これでは、どうとでも改訂できるなあと、驚きました。

ネット社会のいま、「◎○について知りたい」から初めて、必ず一次資料を読むようにする。それが民主主義の力だと思いました。

これまでの「民主主義の学校」でとりあげた行動。
■民主主義の学校、第一行「法律の制定と民主主義」
http://ericweblog.exblog.jp/19244804

■民主主義の学校 第二行 パブコメを書こう
http://ericweblog.exblog.jp/19249118

■民主主義の学校 第三行 政治運動をしよう
http://ericweblog.exblog.jp/19331921/

■□■3. ERIC主催・ESDファシリテーター養成講座■□■
年間6本の講座も、残すところ一本になりました。
2014年3月21日22日 金曜日土曜日 に開催いたします。プログラムの流れは以下よりご覧ください。
http://eric-net.org/news/atERIC2013TEST14.pdf
これまでの主催研修について、ERICのファシリテーターで、参加されている佐藤宏幸さんは、こんな風にまとめてくれました。
□2日間12時間6セッションの主催研修は構造化されている。
http://ericweblog.exblog.jp/19534934
以下、これまでの五本の研修についてのまとめです。
□市民性教育「未来を学ぼう」 atERIC2013VV記録
http://ericweblog.exblog.jp/19547733/
□対立から学ぼう  atERIC2013CR記録 
http://ericweblog.exblog.jp/18871676
□ERIC主催研修 ESD fc テーマ「人権」
http://ericweblog.exblog.jp/18703175
□at ERIC ファシリテーターズ・カレッジ 環境教育/PLT
http://ericweblog.exblog.jp/18203248
□ESDファシリテーターズ・カレッジ テーマ「国際理解」
http://ericweblog.exblog.jp/18028886

各回の要項はERICホームページから。
http://www.eric-net.org/
後期はスキル育てです。最終回のTEST, Teacher’s Effective Skills Training教育力向上講座は、三連休中の金曜土曜の開催となります。ぜひご参加ください。
6. スキル「TEST教育力向上講座」平成26年3月21日22日(金土)の開催が決定しました。
プログラムはホームページからダウンロードできます。


■□■4. ERIC主催研修2014年度の日程が決まりました。■□■
■2014年(平成26年)6月28日29日国際理解
■2014年(平成26年)7月26日27日PLT木と学ぼう・環境
■2014年(平成26年)9月27日28日人権
■2014年(平成26年)10月25日26日スキル対立から学ぼう
■2015年(平成27年)2月22日23日スキル未来を学ぼう
■2015年3月(平成27年)予定TEST教育力向上講座


■□■5. ERIC25周年に向けたご寄付のお願い ■□■
 1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。
 これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。

 日常活動に加えて、25周年に向けて、事務所のリニューアル、フューチャーサーチ走向未来ワークショップの開催など、企画しています。
 特別活動支援のために、テキスト活用、研修参加などのご支援に加えて、ぜひ、ご寄付をお寄せください。よろしくお願いいたします。
ご寄付先 金融機関
ゆうちょ銀行口座: 
10020-3288381 名義:トクヒ国際理解教育センター(ゆうちょ銀行同士)
◯◯八(ゼロゼロハチ)店008-0328838 名義:トクヒ国際理解教育センター(他の金融機関から)

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  (特定非営利活動法人)国際理解教育センター
ERIC:International Education Resource & Innovation Center

〒 114-0023 東京都北区滝野川1-93-5 コスモ西巣鴨105
  tel: 03-5907-6054(研修系) 03-5907-6064(PLT・テキスト系)
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  Eメール   eric@eric-net.org
  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
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  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
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  blog アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して
http://ead2011.exblog.jp/
  blog 平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト
http://pepathway.exblog.jp/
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by eric-blog | 2014-03-09 16:52 | ERICニュース | Comments(0)
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