ERICnews131104 359号 ともによりよい質の教育をめざして  2013年11月4日

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ERIC NEWS 359号 ともによりよい質の教育をめざして  2013年11月4日
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBも)

三連休、いかがおすごしでしょうか?

わたしは、初日の土曜日は、事務所のあるマンションの臨時総会、そして午後は「区長と語る会」(初めて参加しました!)、昨日は、もう5年、ボランティアを続けている「緑のダム北相模」の定例会の日でしたが、ちょうど地元「小原本陣祭り」の日と重なったために、初参加と、初めてづくしの経験でした。

おかげで、ニュースの発行も遅れてしまい、今日になってしまいました。

ニュースのリードとしては長いのですが、お祭りだった小原本陣はさておき、北区の高齢者のための災害対策。ちょっとまとめてみます。

北区の区長と語る会は、いまの区長になった平成15年から始められ、すでに11年目を迎えます。今年は合計6カ所で行われ、テーマは「長生きするなら北区がいちばん!」。区長以下、副区長、関係課の課長ら10人以上が参加者からの疑問に直接答えてくれるもので、区長さんだけに何か伝えるというものではないのが、驚きでした。参加者は30名程度でしたから、ひょっとすると運営側の方が、多いくらいかも? 

しかし、参加者のほとんどがリピーター。なんじゃこりゃ? わたし以外に質問・発言した人は、5名。みなさん、民生委員であったり、商店街の会長だったり、健康指導員だったりと、なんらかの北区の委託を受けている人ばかり。こりゃだめだ。ぜんぜん、広がっとらん。

進行は、まず「いい顔☆きたく」のビデオ視聴。15分程度。それから健康いきがい課の高木課長によるパワーポイントのプレゼンテーション。15分程度。健康づくり事業といきがいづくり事業の二本立てについいての紹介が中心。

質疑の時間に移って、わたしがまず、質問。「高層マンションに住んでいるのだが、災害時の対策はどうなっているのか?」

というのも、その午前中のマンションの臨時総会で避難経路の確認を行ったところ、10階に住んでいるという高齢者の方が、「こんな避難はしご、降りれない」と。そりゃそうだ。しかし、東京都のはしご車は7階までしか対応していない。

マンションの管理組合も、居住者の情報を確認していないので、要非難介護が必要な人が7階以上に何人住んでいるか把握できていないというのだ。

ここでも、「そんなことは起こらない」という甘い見込みで事が進んでいるのは明らかだ。備えはたいしたことではないのに、やらないんだ。

そんなことがあったので、先ほどの質問となったわけだが。

答えは、「要避難介護者登録制度」があるということ。

北区33万人、高齢化率24.9%。25%と言い切ってしまわないところにこだわりを感じますが。まあ、ありていに言えば、4人に一人が高齢者。東京都区内でいちばん高い。

高齢者の8割は自立生活者。つまりは、8万2500名の内、1万6500名が要介護。人口の5%が要介護。20人に一人が要介護。

そして、たぶん、事務所のあるマンションの住人であるあのお方は、「自立生活者」に含まれているはず。

質問者であるわたしに、区の担当者が言ったこと。「ですから、区としてできることはあまりありません。だからこそ、マンションなどの自治会で」

まず、彼らが取り組むべきことは、実態調査であり、それに基づいた地域に対する啓発だと思う。健康づくり、いきがい対策、明るい話題づくりにお金をかけるのも結構だが、しつかり足で調べたデータを示せないものか。ひきこもり系行政の典型だなあ。

まずは、モデル地区を指定して、町内会と行政、その他の機関が協力して、実態調査を行ってみて、実態を把握する上での課題を整理し、その課題を解決する方法(高層マンションにおける外部オーナーさんとの合意形成の方法)を先進事例も含めて探る、そんなことから始めるべきなのではないか。

北区、33万人。高齢化率都区内一であるならば、災害対策でも、一番になってほしいものです。

■□■fromERIC 受託研修■□■

いじめ、体罰をアサーションと関連づけた受託研修をこれまで紹介してきました。今回は、「子どもの権利とアサーション」について、実施した研修プログラムを中心に報告いたします。

http://ericweblog.exblog.jp/18892399/

対象は社会教育・学校教育合わせて100名ほどの大人数でした。そのため、全体共有の機会は、プログラムの中では少なくなっています。そんな時は、これまでの研修で出てきた意見を中心に紹介しつつ、追加や異見がないかどうか、反応を見ながら、すすめます。

1.ミニレクチャー「国際理解教育は、社会的な共通の課題についての教育」
導入の「他愛もないお話」。その日の朝のニュースや、出張先ではその土地柄について気づいたことや感じたことなど。この日は、朝読んでいたばかりの『人権は国境を越えて』からお話しました。
お話したことは、著者である伊藤和子さんも「ショック」を受けたと語る「デージー・カッター爆弾」(BLU-82)のこと。
この爆弾は、半径500メートルほどの一帯を一挙に無酸素状態西、周辺にいる人々全員を酸欠状態にして死に至らしめるという代物です。
そんな爆弾があるなんて知らなかった! その非人道性にあきれるだけでなく、その爆弾が使われた状況も、ひどいものでした。アルカイダの潜伏先だとされた谷間の村に、アルカイダの拠点などなかったのです。
もし、日本の自衛隊が海外に派遣されるようになり、もし、そのような大量殺人兵器を使う事になり、もし、その兵器が間違って一般市民を巻き込んで使われてしまったら、わたしは日本国民として、どう感じるのだろうかと、想像しようとしてみたという話をしたのです。
戦後、67年間、そんな想像をしなくてもよい状況で、生きて来れたことは、どれほど幸せなことであったのかと、ありがたく思うということも言いました。
国際理解教育は1976年のユネスコ勧告から始まり、「人類共通の課題について学び、問題解決のために行動する」ための人材育成の教育として始まりました。
平和と人権、環境というのは、共通の課題の重要な柱です。

2.教室の中の世界探検
軍隊がどんな兵器を使おうが、世界のどこでどんなことが起ころうが、わたしには関係ない。責任ない。
そんな風にも思います。思えます。しかし、いまの、そして、これから子どもたちが生きていく社会はどんな社会であるか、考えてみましょう。
そのための活動が「教室の中の世界探検」です。
ペアを作ってもらい、二人で一分間で、20個以上、「世界とつなかっている」と思うものをリストにしてもらいます。ペアを作るのに、やはり、100人近くの人がいると時間がかかりますよね。
しかも、所属学校を示す△ネームプレートが机の上に配置されているとなると、移動する腰も重くなろうと推察されます。よろしく、ご協力お願いいたします。

1分は短いですが、では、「つながっていないもの」を逆に考えてみましょう。これは30秒程度で。

「わたしのからだ」と叫んだ方が、これまでにもいらっしゃいましたが、そうですよね。わたしたちのからだはカローリーベースで40%が海外産ですよね。

いまの世界は、どんな世界なのか、あらためて、御自分自身のことばで、考えてみてください。あなたは、いまの世界をどう捉えていますか?

3.ミニレクチャー 学習性無力感の時代
いまの世界は「つながっている」。
もう一つの特徴は、「無力感の学習」です。
『学習性無力感』というのはセリグマンさんという方が研究されたことですが、いまの世界は「万人の万人に対する競争」の時代なのです。昔、階級社会であった時、どの職業につくかつけるかは、階層や家柄などで決まっていました。いまは、どの職業につくか、競争の時代です。
よりよい職業、より少ないチャンスに向けて、すべての人が競争できるのです。もちろん、競争に勝って、自己実現を果たす人もいます。がその一方で、圧倒的な多数の人々が、「敗北」を経験するのです。
競争が平等な条件で行われていないというのが格差社会の特徴でもありますが、近代の特徴は「敗北」の原因を個人に帰結することです。個人の達成主義。「あなたの能力がないから、敗北したのだ」と理由づけられるのです。格差社会のせいで、わたしのせいではない、と言い切れない、言い切ることを許してくれない社会なのです。
結果、「わたしはだめなんだ」と無力感を学習してしまう。それがセリグマンさんたちが発見したことでした。
4.「わたし」を育てる手だて
競争主義、個人の達成主義の社会を変えることも大切です。しかし、そういう時代だからこそ、学校教育や社会教育で、取り組むべきことがあるのです。それは「有力感」の学習であり、有力感につながるスキルの習熟、「無力感」をなるべく学ばないようにするなどの対策です。
アサーションという、今日ご紹介するスキルは、そのための手だての一つなのです。
5.ノートテイキング
これも、「わたし」を育てるための手だての一つなのですが、これまで聞いた内容について、自分自身が思うことをまとめる時間をとりたいと思います。ノートに、自分自身の考えをまとめる、書き留める時間です。
6.傾聴
自分の考えを人に伝えることで、より明確にしていくことが可能です。その際に、「否定」も「批判」も「忠告」もせず、「積極的な聞く姿勢」で聞いてもらえると、自己肯定感が増します。
傾聴というコミュニケーションのスキルトレーニングの方法は、「聞く姿勢」を育てるものです。「聞く姿勢」が話す姿勢を育てます。Active Listeningと英語では言います。
「聞く姿勢」の三つの心がけ。「心を話し手に集中する」「からだ全体で聞く」「理解しよう理解しようとして聞くのだが、質問はしない」
では、一人目の話し手を決めていただきまして、はい、一分でどうぞ。

話し手だった方、「ていねいに話そう」「一生懸命話そう」という気持ちになりませんでしたか。熱心にきいてもらうということは、話す姿勢を育てます。「聞く姿勢」は、内からなるものなのです。本人の自覚なしではできないことなのです。

それは「学ぶ姿勢」も同じです。学びは内側からなるものなのです。

7.「まりの物語」
資料では「子どもの権利とわたしたちにできること」から入っていますが、流れを変えさせていただいて、まず、「まりの物語」からやらせてください。
いまから、まりさんの一日の物語を共有していきますが、IALAC I am lovebale and capableの略です。わたしは愛されるべき、能力のある存在だという自尊感情のことです。
その、まりさんの自尊感情が、一日の物語のなかで、どのように高められ、あるいは傷つけられるかを見てみたいと思います。
「まりの物語」を読みます。
8.まりのIALACがしぼむ時
ほとんどがしぼむ事例でしたね。お一人お一人、どんな時、まりのIALACがしぼんだか、ふりかえってみてください。(ハート形を板書する。しぼませた人の顔マークを張り出し、ハートへのヒビを書き込む。お母さん、お父さん、先生1、先生2、みっちゃん)
まわりは、どう対応すればIALACがのびたでしょうか。廻りの人々ができることを考えてみましょう。まりはどうして欲しかったでしょうか。
9.まりのアサーション「相互尊重的な自己主張によって、環境を整えていく力」を伸ばす
実は、まりが、そのような「周りからの前向きな対応」を引き出すことができる力のことが「アサーション」なのです。「わたしメッセージ」によって、自分自身に対する「前向きな対応を提案する」力が相互尊重的・非攻撃的自己主張=アサーションです。
「わたしメッセージ」は「事実の確認」「感情の伝達」「提案」という組み立てで行ないます。「わたし自身の感情の伝達」が大切なポイントです。それは価値観に根ざしているからです。

例えば、お母さんは、まりが新しい髪型にトライしたことをほめずに、しかっています。でも、まりは、トライしたことは少なくとも、認めてほしかったのではないでしょうか。ですから、こんなようになります。
「お母さん、あなたは、わたしが新しい髪型にトライしたのに、ほめてくれませんでしたね」「わたしは、とても寂しいです。それは、いろいろなことに取り組んでみようとするわたしの力を認めてほしいからです。(これはちょっと、小学生には難しいか?)」「だから、新しい髪型にしたことをまずは認めてくださいね。慣れれば、時間は遅くならないようにできると思うから。」ってね。

10.「わたしメッセージ」[個人作業→ペア作業] では、どの人に対してでも結構です。まりちゃんが言える「わたしメッセージ」を考えてみてください。お一人一人の個人作業でまず行いましょう。

ありがとうございます。どんなメッセージができましたか? 周りからのポジティブな対応は引き出せそうですか?

では、隣同士のお二人一組で、それぞれ考えたメッセージをブラッシュアップ、してみましょう。

全員、あるいは全部のペアから共有してもらうことは、この人数ではできないのですが、何人かの方に、共有していただきましょう。

11.全体共有
(ア)お父さん
(イ)先生2
(ウ)みっちゃん

先生1 について、これがいちばんよくあることなのではないでしょうか?どうすれば、ポジティブで前向きな「勉強に取り組む姿勢」を引き出すことのできる対応になるでしょうか? 引き出しが増えるといいですね。

例えば、「今日も元気いっぱいだねぇ。朝の情報交換が済んだら、そろそ勉強モードに切り替えよう!」
なんてね。
12.ノートテイキング
13.子どもの権利とわたしたちにできること
では、資料の最初に戻って、子どもの権利とわたしたちにできることを考えましょう。子どもの権利条約には、子どもの権利は四つあると言います。生存・保護・発達・参加です。参加というのは自由や自立、あるいは市民性、社会性ととらえていいのではないでしょうか。
子どもの権利条約では、これらの子どもの権利を保障するのは一義的には家庭や保護者、そして、地域や文化集団であること、その内容についての主体を認めつつ、しかし、子どもの権利が保障されない場合には国家が最終的には責任を王のだと明記されています。

それぞれについて、家庭、学校、地域、国家や国際社会が何ができるか、何をしているかをふりかえってみましょう。
14.学校教育と学習性無力感 学校にできること
資料にあるように、実は、学校教育も「学習性無力感」の醸成に加担してしまいがちな構造的特徴を備えているのです。
教科中心カリキュラムというのは、学齢があがるこどに細分化され、一度学んだ事柄は繰り返さず、初期につまづいてしまった場合には、落ちこぼされていくという構造をもっています。そして、入試という制度は、その「落ちこぼれ度」によって選抜するようになってしまっています。
子どもの権利が18歳までの「発達」を保障しているにもかかわらず、それまでの段階で「選抜」と失敗を繰り返し学ばせてしまっているのではないでしょうか。

15.『子どもたちに自由を!』
トニ・モリソンという黒人女性詩人が書いた絵本です。大人の考える自由と、子どもの考える自由は違うと言っています。それはわたしたち一人ひとりにも当てはまることなのではないでしょうか。あなたの考える自由と、わたしの考える自由は違う。しかし、それは相互尊重的に、できる限り、尊重されるべきものなのです。
トニ・モリソンは、別のところで、こんなことも言っています。「自由とは、他の人を自由にすることである。」Freedom is to free someone else.
一人ひとりの人間が大切にされる社会こそが持続可能な社会であり、その持続可能な社会のためにこそ、教育が行われる。
学校は、いま、顔と顔を合わせて、人間が成長することのできる機会を提供している唯一の機関かもしれないのです。
よりよい質の教育とは何か。いま一度、子どもの権利を通して、ともに考える必要があるのだと思います。

■□■at ERIC/ERIC主催研修・ESDファシリテーター養成講紹座■□■

今年も6本の主催研修を行います。要項はERICホームページから。
http://www.eric-net.org/
後期はスキル育てです。
4. スキル「対立」 平成25年2013年10月26日27日 終了
5. スキル「市民性」 平成26年2014年2月22日23日
6. スキル「教育力向上講座」平成26年3月末予定



■□■ERIC25周年に向けたご寄付のお願い ■□■
 1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。
 これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。

 日常活動に加えて、25周年に向けて、事務所のリニューアル、フューチャーサーチ走向未来ワークショップの開催など、企画しています。
 特別活動支援のために、テキスト活用、研修参加などのご支援に加えて、ぜひ、ご寄付をお寄せください。よろしくお願いいたします。
ご寄付先 金融機関
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10020-3288381 名義:トクヒ国際理解教育センター(ゆうちょ銀行同士)
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by eric-blog | 2013-11-04 11:58 | ERICニュース | Comments(0)
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