ERIC NEWS 349号 ともによりよい質の教育をめざして  2013年8月25日

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ERIC NEWS 349号 ともによりよい質の教育をめざして  2013年8月25日
at ERIC/from ERIC 主催研修/受託研修  
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(文責: かくた なおこ 角田尚子
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夏休み、北海道は十勝・日高を満喫しました。襟裳岬も行きたい、北海道サマーセールという競走馬の日本最大の市場も見たい、帯広の十勝千年の森や優れた造園を見に行きたい、となると、広い北海道、レンターカーで走り回る700km超の旅になりました。

えりも町は、人口6000人に充たない小さな町ですが、その自然環境の特異さゆえか、研究者をひきつけるものがあるようです。郷土資料館や風の館などの展示にすごく工夫がありました。コンブの展示室は、まるでケルプの海底にいるようでした。

ゼニガタアザラシを見ることは天候の関係でできなかったのですが、あの海に生きていることは、感動でした。

十勝千年の森は、民間の施設ですが、魅力ある森林保全のあり方について考えさせられました。
・ 下草の管理
・ 水の流れ
・ ゾーニング

元々はクマザサで覆われていた林床を、3年かけて刈り続けると、クマザサが鳴りを潜め、地面に潜んでいたさまざまな植物が姿を表す。あるところでは、ニリンソウ、あるところではテンナンショウ。どれかを択伐的に残すことで、「引き算」の設計ができるというのです。この引き算によって、多様な地の植生を楽しむことができるようになります。

といいつつ、一番気に入ったのは、テーブルです。デザイナーの力はすごいとうなってしまいました。テーブルに座って見渡す視線の先に・・・何があるかも計算されているのです。乱並びに組み合わされたテーブルトップがなんとも言えない味なのです。現場で切り出された材木で作ったものなので、追加注文はできないのですが。

北海道に行く機会があれば、ぜひ、お尋ねください。

さて、今週のニュースは、主催研修、受託研修からの話題です。

□ ■□from ERIC 受託研修

前回のatERICfromERICニュースで、「いじめと体罰」が今年のニーズだと紹介しましたが、もう一つが「アサーション」です。

いじめの構造分析と「社会的びくびく人間度」を考える流れに、最後「アサーション」を入れてみました。いじめを起こさない学級風土を作ることは、予防的であると言えますが、教育そのものだとも言えるでしょう。人権尊重の風土を作ること、時々にその風土の成長をチェックすることは、人権教育そのものでもあります。

1. わたしの価値観を育てたもの
2. 傾聴
3. 誇りに思うもの・伝えたいこと
4. 話し合いの心がけ
5. 「雷・虫・感情」などのサボタージュにめげずに、「集中」を保つためには?
6. いじめの構造図[ペア作業]
7. 共通点・異質点[2つのペアの比較=グループ作業]
8. 社会的びくびく人間度のマトリクス「誰が、なぜ?」
9. 手だてを考える
10. アサーション「わたしメッセージ」を考える=事実の確認・感情の伝達・価値観・提案」
   1)いじめられっ子
   2)いじめを傍観している子
   3)いじめっ子
11. ふりかえり・気づいたこと・感じたこと・学んだこと

アサーション・トレーニングを取り入れて欲しいという要望に対しては、こんな流れを考えました。アサーションを入り口にしてみたものです。

1.アサーションとは何か?
2.アサーション・ビンゴ
3.なぜアサーションなのか? 価値観を探る
4.気づいたこと・感じたこと・学んだことの傾聴
5.いじめの構造、現状と課題分析[A3用紙、ペア作業]
6.誰の、どのようなアサーションの課題があるか?
7.  なぜと手だて[グループ作業]
8.  人権尊重社会のための価値観は育ったかな? [ワークシート、個人作業]

直観的には、いじめと体罰には共通の課題があります。

考えてみましょう。共通するのは、「関係性依存である」ということではないでしょうか。

つまり、「人をコントロールする」力が働いているということです。

体罰をする指導者の「社会的ビクビク人間度」を考えてみましょう。

スポーツの指導で結果を出せるか、反抗的な生徒に屈したら他の生徒に示しがつかなくなるのではないか、優位に立たなければ指導できない。などなど。

教育は、人間性を育てるものである。

関係性は文化依存ですが、人間性は人類共通の価値観を育てるものです。

日本文化の特徴は、ホフステッドの『多文化世界』でも相対的なものとしてしめされています。ERICが研修で取り上げているのは「均質さを好む」「力の格差の感覚が大」「リスクを避ける」という三点ですが、調査で使われている指標は五つです。

他にも日本文化の特質を示す研究はあります。

文化は関係性を規定します。日本文化が規定するのは関係性です。つまり人間関係のマナーや行儀、言葉遣い、配慮行動などです。一方で、わたしたちがこの地球に生きていくのに共有していかなければならない価値観もあります。その一つが人権です。それは、自分自身にとっては絶対である日本文化が規定する関係性や価値観に合わない人や文化を尊重するということです。

かつて、日本人が海外旅行に出かけた先で「旅の恥は搔き捨て」とばかり、普段の行動規範ではやらないようなことをやったりすることが批判されたことがありました。日本人の行動も、「ローマに入れば、ローマに従え」のように、不変ではありません。

そのような文化的な違いを踏まえてもなお不変であり、普遍的に守られなければならないものが「人権」なのです。

教育によって、わたしたちは普遍的なものを知るのです。それは数学もそうですし、科学もそうです。

ゴミの分別行動は、地域によってマナーが違います。その背景となるゴミ減量をしなければならないことは国際的な合意ですし、廃棄物を燃やした時の二酸化炭素の排出量は科学的に計算されたものは、普遍の原理です。しかし、分別行動が異なるのは、廃棄物処理の社会システムが異なるからです。

文化が規定している関係性の行動の背景にあるものは、人類普遍の価値観があるはずです。表面的に守るのではなく、本質を守ることが大切です。あるいはその文化の現れがなぜそうなのかを考えることも重要です。文化は不変ではありません。時代と未来に合わせて変わるのです。変わらないことが、伝統ではないのです。

人権教育は、人類共通の普遍的な価値観と、わたしたちが生きてきた、そして生きている文化的な価値観との擦り合わせであり、わたしたちがどう成長していくかの選択の問題なのです。

時代によっては当然のように受け入れられてきた「体罰」も、その本質、教育的な目標は残しつつ、現れは変えていかなければならないのです。

8月23日の研修では、参加人数の関係で、グループ活動に参加しました。そごわかったことは、子どもたちの人間関係は、学校文化の価値観が反映しているということでした。

のろまな子がいやがられる、ハキハキしていない子が嫌われる。

それは学校文化が目標としているものに、子どもたちが同意しているからなのです。いじめという現れは「ノー」です。しかし、子どもたちの互いに向かう力は、大切なものです。学校文化の持つ「隠された価値観」を問うことと、それが子どもにどう現れているかの両方を分析する必要があるでしょう。


□ ■□at ERIC主催研修 2013 ESDファシリテーターズ・カレッジ

7月27-28日の土日にテーマ「環境」の主催研修を行いました。研修記録はこちらからダウンロードできます。
http://www.eric-net.org/news/atERICPLT13kiroku.pdf

□今後の予定
3. テーマ「人権」 平成25年2013年9月28日29日
人種差別撤廃条約、子どもの権利条約など、人権についての今日的到達点とその意義、ここからどこへを、共に考えます。
後期は、スキルの習熟に焦点をあてています。

4. スキル「対立」 平成25年2013年10月26日27日
5. スキル「市民性」 平成26年2014年2月22日23日

□■□ ERIC25周年に向けたご寄付のお願い

1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。なんと2014年には25周年を迎えます。

これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。

日常活動に加えて、25周年に向けて、事務所のリニューアル、フューチャーサーチ走向未来ワークショップの開催など、企画しています。

特別活動支援のために、テキスト活用、研修参加などのご支援に加えて、ぜひ、ご寄付をお寄せください。よろしくお願いいたします。

ご寄付先 金融機関

ゆうちょ銀行口座: 10020-3288381 名義:トクヒ国際理解教育センター(ゆうちょ銀行同士)
◯◯八(ゼロゼロハチ)店008-0328838 名義:トクヒ国際理解教育センター(他の金融機関から)

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  (特定非営利活動法人)国際理解教育センター
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〒 114-0023 東京都北区滝野川1-93-5 コスモ西巣鴨105
  tel: 03-5907-6054(研修系) 03-5907-6064(PLT・テキスト系)
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  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
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  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
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by eric-blog | 2013-08-25 11:29 | ERICニュース | Comments(0)
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