検証 なぜ日本の科学者は報われないのか
サミュエル・コールマン、文一総合出版、2002
1948冊目
アメリカの研究界を活性化させているのはボトムアップ方式。それに対して日本はトップダウン方式。科学はグローバルな事業である。日本はこれでいいのか?という問題提起の書である。
クレジットサイクルが研究者を育てる。と、著者は言う。38
研究成果をひっさげて競争に参加し、助成金という形でさらに資源を手に入れ、それを再び研究に投資するという方法で自らのキャリアを築いていく。
日本の典型的なシステムである終身雇用と年功序列は、身分を保証するがキャリアは保証しない。60
このような状況に対して講じられた二つの試みについて、報告されている。
一つは、蛋白工学研究所PERIである。
大学研究者に講座と手を切る手だてを与えたPERIだったが、大学出身研究員の採用の仕方は大学と変わらなかった。PERIの大学出身研究員に公募採用された者はゼロだった。125
企業研究員は大半が修士。修士にあるのは技術だけだが、「博士は研究のノウハウを持っている」133
もう一つの事例がOBI大阪バイオサイエンス研究所である。1987年設立。
『結婚してもらえない』症候群が男性に暗雲をもたらし、女性は腰掛け扱い。
それは、組織の管理方針として、女性の扱いがそうなのだ。258
さてさて、科学の世界に、貢献できる「日本型」はどんなものなのだろうか?
宝の持ち腐れと、著者は問題提起をしているのだが。
『ポスト3.11 変わる学問 気鋭大学人からの警鐘』朝日新聞出版、2012