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消費社会の魔術的体系 ディズニーワールドからサイバーモールまで

消費社会の魔術的体系 ディズニーワールドからサイバーモールまで
ジョージ・リッツア、明石書店、2009
Enchanting a Disenchanted World, 2nd ed., 2005
1919冊目

マクドナルド化する世界では、次の4つが極端に押し進められた。
○効率性
○計算可能性
○予測可能性
○制御
http://ericweblog.exblog.jp/17271768

しかし、消費者は、マクドナルド化された途端、アンチなものに惹かれるようになる。合理的なものは魔術的でなく、つまらないからだ。それを著者は「Enchanted」日本語訳は魔術化と呼んでいる。

魔術的なものをシステマチックに提供しようとする動きがあるとすれば、それは対象を設定し、戦略を持つだろう。

するとどうしても、脱魔術化された人びとが、そこには生じる。

人種で言えば、サイバー環境や潤沢なクレジットカードによる消費からはじかれた黒人であったり、社会階級でもそうだ。ジェンダーで言えば、「男らしい消費」「女らしい消費」で魔術化される人びとに対して、「らしさ」に懐疑的な人びとは、魔術化されにくい。

さまざまに論じた結論として、著者は、「消費がスペクタクル化する」あるいはより予測不可能になると言う。372

「とはいえ、目下の問題は消費および消費を抗しがたくしている環境をますます特徴とするようになった社会の中で、どのようにしてより有意義な生活を送るのかである」373

まったく同意できない結論だ。より有意義な消費生活というのは、例えば、
○オルタトレードのものを買う
○生産者と直結した産直ものを買う
つまりは「意義」を消費するようなものになるだろう。それがより「有意義」ということに他ならない。
魔術的なもの、幻惑されるようなものに消費が向くというのもそうだろう。そこに意義があるからだ。

かくて、モノにあふれ返った世界で、果たしてこれらのすべてが消費されることなどあるのだろうか? と疑問に思うのだ。

大量の無駄、未消費商品があふれる世界というのが、わたしたちが生きている世界なのではないだろうか?

市民性教育と消費者教育という切り口のカリキュラムも必須だなあ、やっぱり。

Enchanted を魔術と訳すのはなあ。魅惑、媚惑、誘惑と、思いつく訳語を並べてみると、「惑」の字は外せないと思えてくる。

ガイドラインや思考の補助線に、先行文献も入るようだなあ。

あなたなら、いまの消費者教育に、どんなガイドラインを使うだろうか?



■アクティビティのアイデア

タイムライン「ディズニー化、魔術化」曲線を描いてみよう。
by eric-blog | 2013-02-13 08:45 | ■週5プロジェクト12
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