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衆議院総選挙2012顛末記

残念ながら、脱原発、福島支援は、今回の選挙のテーマにならなかった。
国防軍、憲法改定などをかかげる自民党は、小選挙区での支持率25%。比例代表に至っては、16.4%である。その政権が、3分の2以上の議席を獲得して、国政を担う結果となった。

12月8日の木曜日から、選挙のリアルに関わろうと、ボランティアをしてみた。そこで見えてきたこと、考えたことをまとめておく。

○○選挙事務所、ボランティア顛末記

もう解禁、何を言っても結果には影響しないと思うので、わたしが今回見聞きしたことを共有しておきます。これからのために。

「政治主導、地域主権、新しい公共、再生エネルギーの活用など、新しいテーマがある一方で、古いシステムを改善する必要がある。現実には、「古いシステムが動かない中で、新しい公共を克服するための枠組みは依然として十分ではない」」

と、田中直毅さんは『政権交代はなぜだめだったのか 甦る構造改革』で指摘している。

今回、ネットメディアでは「投票に行こう」という呼びかけが盛んになされた。
わたし自身もFBでE-シフト【脱原発総選挙】キャンペーンというセミクローズドな情報共有グループに所属していたし、ざっと拾い出しても、「選挙に行こう」キャンペーンをはったネットメディアは枚挙にいとまがない。

参議院選挙のしくみを2ページでおさらい
allabout.co.jp

選挙行こうよ! Your vote changes the future. senkyo.yahoo.co.jp

https://twitter.com/ShinjiKakijima/status/278333618718396417/photo/1
ロイターオンライン調査、
http://jp.reuters.com/news/globalcoverage/politics

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「吐き気を催す政治」と共に暮らす道を選ぶのか: 植草一秀の『知られざる真実』
uekusak.cocolog-nifty.com
他方で、「国民の生活が第一」、「日本未来の党」を貶(おとし)める報道に全力を注いできた。
衆議院議員総選挙2012
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「選挙へGO@子どもたちを守るために政治を変えよう〜」
子ども全国ネット のブログを活用ください。
http://inochimirai.blogspot.jp/

【大拡散】 選挙行こうぜ!!12月16日
12月16日 9:00

こんなにあります。疲れたのでやめます。もっとあります。時々にまとめておけば良かったなあ。
しかし、アラブで吹いた「ネットの風」はこの総選挙では吹かなかった。「新しい公共」のメディアは、リアル選挙の投票行動につながらなかったのです。

自民党の圧勝に見えますが、小選挙区の議席は多いけれど、比例代表では党として選ばれていない。つまりは、彼らが前回の敗北からどんな選挙戦を繰り広げて来たかが、透けて見えるのです。選挙区にはりつき、利益誘導に走り、地域の会合に顔を出し、組織票を固め、挨拶回りをし、有権者一人ひとりと握手してきたのではないでしょうか? 

今回、選挙事務所に初めて選挙活動ボランティアで参加して驚いたことがあります。
●ボランティアが少ない。元々、できる選挙活動がとても限られているのですが、電話かけやハガキ書きは、支援者の会社や組織からの支援で、バイト感覚で来ている人がほとんどです。ボランティアであるという人も、ウグイス嬢として選挙カーに、有給で選挙活動をできる人として登録される可能性のある人であったりします。ありていに言えば、「ボランティアがとても少ない」のです。
●電話かけできる電話番号のリストは固定電話がほとんど。いまどき、固定電話を持っている人って誰?ということなのですが、若者には届きません。
●自治会で固めている票がある! これには驚きました。演説会へのお誘いを個別の電話かけで行っていたら、自治会長から連絡が入り、「うちは自治会で呼び掛けているのだから、個別の釣りはしないでくれ」と。権力構造のヒエラルキーに、地元の有力者をきっちりと組み込んでいなければだめなのです。
●支援母体はやっぱり組織票。自治会に限らず、職業団体もそうです。今回は「消費増税」によって直撃を受ける中小零細企業団体の支援が強かったと思います。
●国政選挙であるにもかかわらず、「うちの区のために何もしてくれなかった」「地域の会合にでなかった」とお叱りのことばがありました。
●   一方で、先生からお葉書いただいた、握手した、家に来てくれた、ということで、支持していますという人がいた。

ふーーん、というようなことばかりでした。しかし、そういう「リアル」で、古い選挙制度である現在の小選挙区は動いているのが現実です。一方であきらかなことは、そのような「地域団体」に、若者は入っていないということです。特に、20代は。そして、彼らは、選挙を見て、思うでしょう。「古くさい」と思うのではないでしょうか。そして彼らは、ヒエラルキーの強い、それらの団体に入りたがらない。なぜならば、入れば、彼らは自動的に「下っ端」にならざるを得ないから。それは女性も同じ事だと思います。

分析するまでもなく、今回の総選挙は、まったく若い世代に届いていないのです。ひょっとすると女性にも。新しい公共の仕組みを、自民党政権が提案するような気がしません。近々に、最高裁が一票の格差を理由に、今回の総選挙の無効を宣言することも、ありそうにないです。一票の格差是正についても、政権与党自民党に有利な区割りがすすめられることでしょう。

小泉チルドレン、刺客、小沢チャイルド、マドンナ旋風などに翻弄され、持ち上げられた若手や女性議員たちは、どのように選挙を戦ったのだろうか。そして、今回、破れたのだろうか?
二世三世議員たちと違い、しがみつく力が弱いであろう彼ら・彼女らは、自民党議員たちが、前回の総選挙で負けてからこちら、選挙区にしがみついたような力で、しがみつくことができるかどうか。それを、サポートする力は、どこにあるのだろうか? と疑問に思います。

草刈秀紀さんという方は「環境が票になる」ことを目指して、発言されている方ですが、「以前、国会議員に聞いたことがある。国政選挙は、選挙が終わった時から始まると。つまり、今日から次の解散総選挙に向けて、選挙活動を始めなければ明日はないということだ。」と書いておられる。まさしく、今日から、わたしたちは、わたしたちの争点にしたいと思うことが、票になるような選挙活動を始めなければならない。しかし、しがみつく力が、二世三世議員ほどにはないなあ。後押ししてくれる風も、そこにはないのだからと、思わざるを得ないのです。

今回、女性議員は7.5%、前回の11.3%より、かなり後退した形です。さきほど列挙したような組織票の長は全部男性だ。組織票がなければ勝てない現実。

今回「テーマ型コミュニティ」は「選挙に行こう」ということしかできなかった。これまで、NPOの成長が市民社会組織の成長であったわけだけれど、それが今回の「脱原発」や「福島支援」をすすめる政党や個人を、声高に応援することができないという現実にも直面した。政策は提言できるが政治活動を行うことができない。政治を動かさなければ、政策を実現することはできない。この矛盾に、市民社会組織は直面したのではないだろうか。それをどう解決していくのだろうかが、問われている。

ネット社会と現実社会
政策提言と政治活動
組織票と個人票

「古いシステムが動かない中で、新しい公共を克服するための枠組みは依然として十分ではない」
のではなくて、古いシステムは生き延びている。そのシステムに、若い人たちや女性が入っていないだけだ。だから、変えなければならないのに、いまだ古い革袋に新しいワインが、革袋が破れ目でだだ漏れているのに、注いでいる気がする。

平均投票率 59.26% 過去最低水準、1996年水準以下
期日前も減った!

政治が本当に国民に見放されている結果が見える選挙だった。

小選挙区での自民党支持率は25%。比例代表に至っては、16.4%である。その政権が、3分の2以上の議席を獲得して、国政を決めていこうとしている。

そのことを常に、彼らに突きつけ続けなければならない。自民党は決してマジョリティではない。と。

3.11以降、開いた言説の自由空間を拡大しつつ、リアルな場へも、広げていく努力が求められるのだが。さて、どうする? まずは知恵を出し合う場を作る必要があるのだが。まとまらんだろうなあ。
by eric-blog | 2012-12-17 09:30 | ●3.11地震・津波・原発
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