火の賜り物 ヒトは料理で進化した
リチャード・ランガム、NTT出版、2010
Catching Fire, How Cooking Made Us Human, 2009
1892冊目
火の利用、というずっと「人間」の特長と言われてきたものが、実際にどのように人間を人間たらしめてきたのか、著者は次のようにせまる。
生食主義は、食べる量も多い。消化の効率が悪い。
ヒトのからだの違いを比較してみる。
かむ力が弱い。ヒトの口元とチンパンジーの口元を比べて違うのは、チンパンジーの口は大きいということ。
胃が小さい。
ゴリラは葉も食べれるが、チンパンジーは果物に頼っている。その違いが、チンパンジーの食べ物探しの時間を多大なものにしている。
ヒトは木登りが下手で、地表で眠る。火が肉食獣を遠ざけた。
たぶん、人間になった時にはすでに調理して食べる存在になっていただろうと。
そして、次には「脳に良い食べ物」
胃が小さくなったことで、同じ心臓の負担でも、脳にたくさんの血液やエネルギーを割くことができたのだ!
そして、火を維持するために、キャンプに誰かが常駐する必要ができ、それが社会的分業、男と女の役割につながるのではないかというのが、著者の展開だ。
火と道具と言語。どれ一つをとっても、人間をどのように人間たらしめて来たか、おもしろい発見ばかりだ。
『火と食』朝倉敏夫編、ドメス出版、2012