ERIC NEWS 310号 ともによりよい質の教育をめざして  原稿

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ERIC NEWS 310号 ともによりよい質の教育をめざして  
at ERIC/from ERIC 主催研修/受託研修   
これからの未来へ 40年をふりかえる もうちょっと考える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBも)

>>><<<>>>at ERIC 主催研修「対立は悪くない」を10月に開催しました。>>><<<>>>

主催研修も前半の三つのテーマ型を終え、後半のスキル系の講座に入った。『対立から学ぼう』をテキストに、二日間研修を行いました。平和教育のネットワーカーである浅川和也さんも参加していただいたおかげで、「対立の解決」の平和教育における位置づけと関連性か確認できたことが良かったです。

『対立から学ぼう』のテキストが、このカリキュラムの三つの目標というのを明示しているのですが、それがまさに平和教育との一致点をしめしていると思います。

1)対立を、暴力を使うことなく、平和的に解決する方法を身につける。
2)対立の当事者それぞれのニーズが満たされる解決を求める。
3)対立の当事者のよりよい関係づくりにつながる。

これらの目標を読む時、「対立の扱い方」というスキルの習熟は、その背景にある思想や哲学によって、育つものなのだということがわかります。その哲学から出て来た結果としてのスキルを身につけるだけでは、次への発展はデザインできないのではないでしょうか。

研修の記録は、ブログを参照ください。
>>>>>>>スキルと価値観<<<<<<<<

日本列島という吹き寄せ地帯は、常に新しい文化が流れ着きつつ、土着化していった繰り返しがあるのではないでしょうか。「和」というものが何かは、この列島の地政学的な位置づけと、隔離された生態系に特長づけられるのでしょう。

NHK番組の「中国文明 漢字の発明」を見て、日本が漢字を取り入れたのと同じことが、中華を取り巻く諸地域で展開していたのだということが諒解されます。韓国でも、漢字まじり文が成立していたり、表音文字としても使われていたり。そして、何よりも、漢字が表意文字であるということが、「読めなくても使える」ものとして、広がったというのです。

もう一つ、思い起こすエピソードは、尋常小学校一年生の習字のお手本が「金壱圓貸し付け候」であったことです。国語の教科書が、軍事化していったのに、習字は変わることなく、あり続けたということにも驚きますが、その内容にも正直のところ、驚愕です。

文字の成り立ちに「秘儀性」と特権と同時に、契約と通商という「汎用性」も存在していました。成り立ちがそうであるとともに、ニーズも、常に、その双方に引っ張られる形で発展したのではないでしょうか。それは、若い女子たちが、自分たちだけに通じる文字を生み出すのも同じです。ことばは、コミュニティを形成し、異なるコミュニティをつなぐものでもあるのです。

漢字というスキルを受け入れるということは、その背景にある価値観も、そして、その言葉が使われていた様式やシステムそのものも、それまでのことばに影響を与えたはずです。

和魂洋才ということばが成り立つとすれば、和魂中才、和魂蘭才などの時代もあったと思いますが、明治時代に日本社会が導入した「洋才」には何があったでしょうか。そのスキルを取り入れることで、何が変わり、何が変わらなかったのか。


ファシリテーションのスキル、クリティカル・シンキング。

スキルを取り入れるということは、その背景の価値観にも触れるということです。そんな体験を何度も何度も繰り返してきた結果としてのいまなのだと思います。

スキルを身体化することで、本当に価値観は育つのだろうか? 和魂洋才という姿勢をよしとするのなら、「スキルだから」というどこか割り切りを持ったまま、身につけていく可能性がなきにしもあらずだとわたしは感じているのです。

「平和的な手段で対立を解決する」そして「対立の関係をよりよい関係へと超形成するtransform」、その考え方が個人対個人の対立だけではなくて、国対国、そして引いては文明対文明の対立や衝突にも応用可能であるのは、それがスキルではなくて、価値観であるなら、なのではないでしょうか?

コミュニケーションのスキルとしての対立の解決の訓練に終始するなら、その根本的な姿勢は、導かれないのではないでしょうか? 

「対立は悪くない」という価値観や、平和的に対立を解決するという価値観があって、姿勢が変容し、行動が変わる。そこに学んだスキルが生きるのだと思います。

記録
http://ericweblog.exblog.jp/16689314

主催研修テーマ国際「ワールドスタディーズ再び」のまとめた記録はこちら
http://ericweblog.exblog.jp/16592625

つくば大学の集中講義でも『ワールドスタディーズ』を活用しています。
第二回の二日間予定は、以下。終了後の記録は今週中にアップします。

http://ericweblog.exblog.jp/16598839
主催研修並みの密度でしたので、思わず、修了証を出してしまいました。

<<<<<>>>>><<<<>>>><<<<<>>>>>

10年来の研修先、福岡県人権啓発センター主催の連続5回講座の中の、18時間研修、後半の二日間研修です。今回、良かったことは、「スキルを実践するためには、その背景の価値観を育てる」ことについて共有できたところ。春日市の職員の方が参加していて、職場の先輩にすすめられたとおっしゃって、参加してくださったこと。残念だったことは、やはり、二日間連続の時は、参加人数が少ないということ。第一回は30人超だったのに、16名と半分だった。(><);

記録
http://ericweblog.exblog.jp/16772293

5時間研修 記録
http://ericweblog.exblog.jp/16671287

校内研修 高等学校教員対象 日頃の大変さが、透けて見える。最後の質疑の時に、「工業高校はキッザニアでいいんだ!」という参加者がいた。わたしが答えるのではなく、その声をこそ、みんなで一緒に考えたかった。
その方は、いま、大学でも、国際教養大学のように、広い教養を身につけることに取り組んでいることをご存知なのだろうか。工業高校だからと言って、中等教育の段階から、専門学校のようにしてしまうのは、どうだろう? とはいえ、授業は刺激的な方がいいよね。特に、高校生はエネルギーがあるからなあ。

http://ericweblog.exblog.jp/16602314

いばらき子どもの虐待防止ネットワークあい の専門職研修を行いました。団体の関係者以外では、電話相談員のトレーニングを受けた方が参加されていました。「今日、ここまでくる間に、うれしかったこと20個」というのを初めてやりました。とても、こころが明るくなりました。なんだか、生きているってすばらしい、という幸福感が、こみあげました。そして、出会いにも感謝。です。次回からは、お名前を出していいか、確認しよう! きっと、ネットワークが広がるはず。

http://ericweblog.exblog.jp/16736903

>>>>> Mindful Readings in English and Japanese 価値観を育てる日英リーディングズ<<<<<<<<<<

第一期第一旬が終わりました。

また、時期を見て、再開したいと思います。「いい試みだね」という声はあったのですが、みなさん、なかなか参加できない。ということで。

課題としては
○ESDに取り組んでいる団体は、どのような「ガイディング・スター」や「活動ガイドライン」などに従って、活動しているのか、知りたい。
○もちろん、その他の諸団体についても、知りたい。自治体なんかは、どういう理念を研修で共有しているのだろうか?
○今回は、日英比較読み、音読などの方法論を検討したが、その他の方法論をさらに検討、検証、実験してみたい。特に、「Skype」など、いつでも、どこでも、誰とデモ、というのはできないだろうか。

ガイディング・スターを人材育成に活かす、というのと同様に、人材育成の方法論の検討課題ということで、継続していきたいと思います。

>>>>>>平和教育のテキスト翻訳プロジェクト<<<<<

「平和教育=平和の文化への道」
Peace Education: A Pathway to a Culture of Peace
Loreta Navarro-Castro Jasmin Nario-Galace, Published in 2008 by the Center for Peace Education,

すでに翻訳が済んだものは、こちらに紹介しています。
http://ericweblog.exblog.jp/16522433/
http://pepathway.exblog.jp/

ESDファシリテーターズ学び舎ブログにも紹介しています。

超形成的Transformative と そして、再帰的に省察する、最近のわたしのキーワードです。

以下、既訳分です。いいテキストです。ぜひ、出版などの道を探りたいですね。

平和教育 平和の文化への道 翻訳 前書き
http://ericweblog.exblog.jp/16522433
平和教育: 平和への道 第一章 平和と暴力を理解する
http://ericweblog.exblog.jp/16553521
平和教育: 平和への道 第二章 超形成的教育としての平和教育
http://ericweblog.exblog.jp/16584514
平和教育 平和の文化への道 翻訳 第9章 対立/紛争を解決し、超形成transformする
http://ericweblog.exblog.jp/16223311

平和教育 平和の文化への道 翻訳 第9章 対立/紛争を解決し、超形成transformする 2

http://ericweblog.exblog.jp/16509177
平和教育: 平和への道 第15章 平和教育者の属性
http://ericweblog.exblog.jp/16627742

平和教育 平和の文化への道 翻訳 結論および著者について

http://ericweblog.exblog.jp/16759235


<<<<>>>>>『ここまでわかった! 日本軍「慰安婦」制度』<<<<<>>>>>

南京大虐殺はなかった、慰安婦は強制連行ではない、その他、国辱的な発言をしてきた人びとが大同団結して「第三極」を形成したつもりになっているようです。

しかも、返り咲きをめざしている自民党の総裁は、安倍晋三氏です。

従軍慰安婦問題について、「なかった」というような新聞広告に、名前を連ねた方が、ふたたび国の総理大臣になることは、アジアとの関係をいかに、日本がないがしろに考えているかを表明することに他なりません。

その時代を知る武者小路公秀さんの言葉を噛み締める必要があると思います。「日本国憲法は、平和主義なのだと解釈されているようですが、そうではありません。平和主義なのではなく、反植民地主義なのです。それは、日本の人びとが、人びとが平和に生きる権利を侵したこと、国々を侵略し、植民地化したことを、謝罪するものなのです。」
http://ericweblog.exblog.jp/16252681

アジア女性資料センターの英文声明はこちら

http://www.ajwrc.org/eng/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=136

参考までに、こんな動きに、名前を連ねている人びと。

> 慰安婦問題で米紙に意見広告 強制連行裏付ける資料なし
> 2012.11.7 12:01
> http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121107/plc12110712020007-n1.htm
>  作曲家のすぎやまこういち氏やジャーナリストの櫻井よしこ氏ら有識者でつく
> る「歴史事実委員会」は6日、米ニュージャージー州の地元紙「スターレッジャー」
> (約37万部)に4日付で慰安婦問題に関する意見広告を掲載したと発表した。
> 日本軍による強制連行を裏付ける資料はなく、発見された公文書によれば強制募
> 集や誘拐を禁じていたと訴えている。
>
>  民主党の松原仁前拉致問題担当相や自民党の安倍晋三総裁ら国会議員38人も
> 賛同者として名を連ねた。

意見広告の和訳が紹介されています。原文にもアクセスできます。

http://wampeace.blog60.fc2.com/

http://www.wam-peace.org/wp/wp-content/uploads/2012/11/20121104_The_Facts.pdf



この意見広告は、以下のような動きに対抗するものだということらしい。

Giant ‘Comfort Women’ poster erected in Times Square

http://asiancorrespondent.com/90403/giant-comfort-women-poster-erected-in-time-square/

偏狭なナショナリズムに与することは、百害あって一利なしです。わたしたち日本人のアイデンティティとしても、太平洋戦争、第二次世界大戦を、植民地主義的拡大主義であったととらえ、その非を認めることから、アジア諸国との関係を構築し続けることが、心おだやかに、対することができるポイントです。

わたしは、武者小路さんのスピーチを聞いて、ずいぶん、すっきりしました。ぜひ、全文をお読みください。

そして、勉強のために、『ここまでわかった!』(著者の1人である吉見義明さんが、橋下市長の発言に対し、異議申し立てを行っています。)を英訳していこうと、思います。現在、版元などに問い合わせ中。


>>>分科会セッション担当ファシリテーター募集<<<<<
2013年 1月26日、27日 (土日)に 「Project WILD & WET + PLT 全国大会」 が開催されます。

開催場所は、名古屋市ウィル愛知です。

>>>>>>> ERIC25周年に向けたご寄付のお願い <<<<<<<<

1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。なんと2014年には25周年を迎えます。
これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。

日常活動に加えて、25周年に向けて、事務所のリニューアル、フューチャーサーチ走向未来ワークショップの開催など、企画しています。

特別活動支援のために、テキスト活用、研修参加などのご支援に加えて、ぜひ、ご寄付をお寄せください。よろしくお願いいたします。

ご寄付先 金融機関

ゆうちょ銀行口座: 10020-3288381 名義:トクヒ国際理解教育センター(ゆうちょ銀行同士)
◯◯八(ゼロゼロハチ)店008-0328838 名義:トクヒ国際理解教育センター(他の金融機関から)


>>>>>>>>>>2012年度 ERIC 主催研修<<<<<<<<<<<<<

ESDファシリテーターズ・カレッジ2012年

すでに終了したものについては、報告があります。ブログを参照してください。

1.テーマ「環境」/PLTファシリテーター養成講座「リスクに焦点」 2012年6月23-24日 http://ericweblog.exblog.jp/15642643/ 
2. テーマ「国際理解」 2012年7月21-22日  http://ericweblog.exblog.jp/15834944/
3. テーマ「人権」 2012年9月29-30日
4. スキル「対立」 2012年10月27-28日
5. スキル「市民性」 2013年1月26-27日→2月9日10日に変更いたします。
6. スキル「TEST13 Teachers' Effective Skill Training 教育力向上講座 
  2013年3月

**********************************************************
  (特定非営利活動法人)国際理解教育センター
ERIC:International Education Resource & Innovation Center

〒 114-0023 東京都北区滝野川1-93-5 コスモ西巣鴨105
  tel: 03-5907-6054(研修系) 03-5907-6064(PLT・テキスト系)
  fax: 03-5907-6095
  ホームページ http://www.eric-net.org/
  Eメール   eric@eric-net.org
  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
http://pltec.exblog.jp/
  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
http://focusrisk.exblog.jp/


**********************************************************
[PR]
by eric-blog | 2012-11-19 13:07 | ERICニュース | Comments(0)
<< 福島 すすまぬ除染 線量がふた... 低線量汚染地域からの報告 チェ... >>