ERIC NEWS 298号 202020 第6号 教育の人間化と近代の人間化はともにある

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ERIC NEWS 298号 ともによりよい質の教育をめざして  
202020 第6号 教育の人間化と近代の人間化はともにある
これからの未来へ  もうちょっと考える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(文責: かくた なおこ 角田尚子
http://ericweblog.exblog.jp/
twitter : kakuta09  FBも)

いま、ヨーロッパ教師教育学会議にでるために、トルコに来ている。トルコのエネルギー消費は、日本の約3分の一。石油換算で、1370kg。日常生活では、日本と何ら変わることがない。冷蔵庫、洗濯機、皿洗い機などの家電があって、インターネット接続ができて、テレビもある。

産業・運輸・民生という三区分の割合など、どう違うのか、まだ調べていないけれど、日本は1970年代以降に運輸と民生が大きく伸びた。ちょっと引っ掛け問題みたいなのは、事務所などのエネルギー消費も民生に入っているということ。

トルコのこれからとかのワークショップなど、参加してみたいなあ。他人の国のこれからを勝手に考えるというのも、なんだが、おもしろいエクササイズになりそうだ。というのも、日本のエネルギー消費を現在の1/3にする、すなわち1960年代後半から70年前半にするというのが、「バックトゥザフューチャー1968」プロジェクトで考えたことだったからだ。

地球のエネルギー消費を「平等に」するとすれば、その程度が妥当だということだ。ということは、いま、そのレベルのエネルギー消費にある国々のこれからの姿を共に考えるプロジェクトがあると面白いということになる。

大学生の交流など、どうだろう?

3.11以降、少なくとも関東圏では、「省エネ」は身近な課題として「感じられる」程度には取り組まれている。しかし、それも10%程度の削減までだ。

政府が出した未来のエネルギー・シナリオの三択にしても、いまのエネルギー消費のレベルに対して、どのようにそれを満たすかを問うているだけだ。わたしたちの社会が、1970年代以降にどのような質的な変化を遂げたのかを検証することなしに、今後の30年、50年の変化のあり方を考えることはできない。

ありゃりゃ、教師教育学ではなく、環境教育の人を探す必要があるね。

>>>>>>>>202020 これまでの号と発行日 <<<<<<<<<<<

1.世界に誇れる「子どもは宝物」だと示せる指標はどこにある? 2012年1月30日
2.参加型学習を継続的に、かつ日常的に行なうのに適切な規模は何人? 2012年3月11日
3.「学習からの逃避」と高等教育修了率の低さ 2012年5月6日
4.子どもを自然の中に連れ出す、地域との連携を深める。必要な指導者数は? 2012年6月17日
5.民主主義と教育。明治時代に始まった「兵舎型」校舎の「集団の規律」中心形式の限界 2012年7月22日

6.近代のパラダイムを超える「教育の人間化」が近代の人間化につながる。
7.超えていくために教える
8.学習性無力感とポジティブ・シンキング
9.何を考えるかの「暗記型」教育から、どのように考えるかの「スキル習熟型」教育へ
10.個別化教授法の工夫いろいろと、学級マネジメント

>>>>>>>>> 教育の人間化 <<<<<<<<<<

教育の人間化というのは、1970年代、アメリカ合衆国で起こった教育主張の潮流。1960年代、スプートニク・ショック、つまり、宇宙への進出でソ連に先を越された米国が、科学教育に力を入れ出したきっかけのこと。その時起こった変化は、大学での最先端の科学を体系化し、その体系をよりよく学ぶためには、中等教育段階で、何をどこまで、どのように教えればよいかという視点からの変化であった。
教育の人間化は、そのような「大学の下請け」としての中等教育のあり方に疑問をつきつけた。「学問の体系よりは、学習者中心で」「専門家育成のための教科ではなく、学習者を次のステップに準備するための学び」など、学習者中心主義の主張とも言える。

専門家の養成という課題をよりよく遂行するために、大多数の、そのような進学コースとは無縁の生徒たちに、同じカリキュラムを与えることに意味があるのだろうか?

むしろ、中等教育だけで社会に出る子ども、社会生活に役立つ知識などの観点から、カリキュラムが編成されるべきではないか。それが当時の「教育の人間化」が主張したことだ。日本でも、「教育の人間化を実現する会」が、米国視察旅行を主催したり、学習会活動、出版などの活動をしていた。

PLTの「考え方を教える」というスキルに基盤をおいた考え方や、日本における総合的な学習の試みも、ここから出て来ていると考えて良いだろう。

米国では、「考え方」に焦点を当てるという改革は、成功しているように思う。少なくとも、PLTの主張する「考え方を教える」というスタンスが、抵抗なく受入れられているのが現実だ。しかし、米国においても日本においても、中等教育の「教科主義」からの脱却は、それほど成功したとは言えないように思う。

総合学習も、追加的な改革であって、決して構造的な改革ではなかった。日本における総合学習の導入は、教員養成との連動、現職教員の研究・研修の確保、教員の加配、教員の協力体制づくりのための手だてなどの構造的なサポートを欠いていた。それでも、取り組みが進んだのは、まったく教員の熱意のおかげだろう。

一方で、国際理解、情報、環境、福祉・健康など、総合学習で取り扱うべき内容は、確かに、大学の学部名や学科としては増加した。しかし、そのことは分野が成立し「専門家」が増えただけであって、すべての教員養成必修単位を受講した教員免許保持者が総合的な学習の指導内容や方法について、学ぶ機会を得たことにはつながらない。

国際理解、情報、環境、福祉・健康を冠した学部学科の授業がどれほど「学習者中心」「学びのスキル」を共通目標とし、かつまた授業の内容方法に反映されているかは疑問である。

いまも、大学改革は続いている。しかし、教員免許のあり方は変わっていない。教科主義の免許制度が、総合をめざす大学教育と総合学習の実践をめざす高校との間のボトルネックになっていたようにすら見える。

総合学習、というよりも「学習者中心」のカリキュラム編成が、大学での教員養成、教員免許、教員採用など、指導者の確保という面から難しかったことから考えると、今後の教育改革に、70年代的な意味でのカリキュラム改革を望んでも、大学での新たな専門分野という「たこつぼ」が増えるだけなのではないか。そして、それは近代の人間化が求めるものではないのだ。

近代の行き詰まりは、
○要素主義的科学
○グローバリゼーション
○メリトクラシー、資格役割社会
○法令主義・官僚主義
にあるのではないだろうか。

「考え方」を教えることが、主張として生き残り続けているように、大切なのは、一人ひとりを「総合する主体」として育てるという姿勢なのだと思う。
そのことについては「エンパワメントの教育」などでも述べて来た。http://ericweblog.exblog.jp/3580676/

独学の三徒、スーザン・ジョージの地球市民論、ヘーゼル・ヘンダーソンの経済論、ヴァンダナ・シーヴァの科学論が「人間化」を考える鍵だと、わたしは思っている。

人間化とは、個人でありながら集団、集団でありながら社会、社会でありながら個人である人間という存在を慈しむあり方を模索する、成長と学び合いのプロセスそのものなのだと言える。

1970年代に出された問い「教育の人間化」に対する答えは、まだ出ていない。

教育的指導者の三つの省察、技術的・実践的・批判的(見通し的)省察を思う時、一人ひとりの教員のエンパワメントそのものが、教育の人間化の道なのだと思う。エンパワメントの教育のための内容方法については、すでに述べて来ている、と思う。

だからこそ、教員養成のあり方を考えよう。だからこそ、トルコに来たのだが。さて、そのご報告はまたの機会に。

Deducation教育の再考ということばが、頭を離れない。We have to deducate ourselves.

「越えるために教える」次の202020のお題である。

>>>>>>>>>この暑い夏の想い Think Nukes! <<<<<<<<<<

もう、冷めましたか? 3.11ショック。

ショック状態という興奮状態は、いつまでも続けることはできません。そこから、行動を継続するのは、意思の力と、情報の力です。意思があるから情報が入り、情報が入るから意思が継続する。いい循環を作れていますか?

お勧めウォッチをいくつかご紹介いたしましょう。

>>>>国民的議論のあり方を熟議する

内閣府国家戦略室がエネルギー政策についての継続的蓄積的な国民的議論のあり方を検証する作業を行っています。そこでは、今回の「エネルギー・環境の未来に関する意見聴取会」からのインプット、8月12日までのパブリックコメントの結果だけでなく、民間が行った世論調査なども踏まえて、国民的議論のあり方を検証するとしています。http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive12.html

討論型世論調査の結果については、ゼロシナリオの割合だけ増加するという変化が前後において見られたこと、そして、この中には「原発即時撤廃」が多く含まれること、その他のシナリオを選んだ中にも「原発の段階的撤廃」が含まれることなどが明らかになっています。
http://ht.ly/d8J3i

この議論をリードしている日下部審議官は、いわゆる「新型官僚」の一人で、「小売り自由化」にも賛成の立場を表明していたことがあるという人材。その他、省益を越えて集まったであろう「国家戦略室」が、何をどのように切り返して行けるか、ウォッチ! です。
http://www.youtube.com/watch?v=WcHWk2LcaoU
http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/367.html

招かれた「専門家」の中には「茶番だろう」と見限り発言をしている人もいますが、ではなぜ出て来たのかしら? 出て来て「茶番だ」と見透かしている自分をアピールするためかなあ。

>>>>>脱原発基本法を成立させよう!

民主党政権が「脱原発は規定路線」と言い、公明党が選挙公約であるマニフェストに取り入れ、原子力委員会の副委員長である鈴木達治郎さんが「原発の新規建設はありえない。ということは原発はなくなることは、時期の問題」と言おうとも、まだまだ原発利権は生きている。
官僚主義の国なのだから、では、法律で決めましょう!「脱原発基本法」成立をめざす団体が設立されました。
http://ht.ly/d8JbG

海外ニュースでは「ノーベル賞受賞者が提唱する」と報じられていました。誰が言ってんの? ってことかしら。日本国内であれば、大江健三郎さんがね、で通りますが。

>>>>>7月21日 NHK 『メルトダウンの真相』

NHK メルトダウンの真相、ぜひごらんください。何度も再放送されています。当時、対策にあたった人たちの恐怖に震えた生の声が、収録されています。こんなことは、もう日本の原発で起こらないと言えるのでしょうか?
http://www.dailymotion.com/video/xsbagw_nhkyyyyyy-yyyyyyyyyyyy-20120721_news

>>>>>多数派である「原発なし都府県」が何をし、何を考えるか?

発想の転換ですね。徳島を訪れた時、当たり前に、原発はいらないっしょが共有されていることに驚きました。そんな事実がしっかり表明され、共有されていくことが大切なのだなと思いました。

日本の原発立地県は13県。原発なしの方が多いのです。http://www.jaif.or.jp/ja/nuclear_world/data/f0301.html
北海道、青森県、新潟県、福島県、宮城県、石川県、福井県、島根県佐賀県、鹿児島県、愛媛県、山口県(上関?),静岡県、茨城県

原発を拒み続けた和歌山の記録平成24年5月11日発行 監修・汐見文隆 編者・ 「脱原発わかやま」 編集委員会 発行所・寿郎社http://www.wakayamashimpo.co.jp/2012/06/20120611_14541.html
金とく「模索~原発ができなかった町で~」 NHK総合1・大阪 08/15(水) 25:40
t.ggmobile.jp
三重県の南伊勢町と大紀町にまたがる芦浜は、かつて中部電力の原発候補地になり、地元では反対派と推進派の対立が続いた。豊かさとは何かを模索する地域を見つめる。

そして、いま、原発なし県も、原発の電気なしではない。何をする? 自治体からの発信も可能だよね。

>>>>>とってもわかりやすい「何が被ばくについての議論をさまたげたか?」

岡山博さんの、「放射線被曝問題と発言の仕方 ―― 健全な議論を妨げる日本社会――」http://hirookay.blog.fc2.com/blog-entry-28.html

「そんなことで悩んでいると。。。」。などと脅すな! わたしは「悩んでいる」んじゃない、考えてるんだ!

真剣な議論を尽くしても、笑って生きることはできますよぉ! Serious Fun, まともに議論いたしましょう!

医者の大きなお世話、縦割り専門家に気をつけよう。
専門家だけがまともに議論できるわけじゃない。

彼らに、こんな声、届いていますか?

旧葛西高校の避難所を訪ねた時、原発事故の避難対策のずさんさが身にしみた。
あれだけの義援金もどこに行くのか、そして、義援金が年末控除されることも知らず、明け暮れた去年。

今年は、何ができるだろうか?

福島の実状、声を聴いてください。

http://89wonderful.blog71.fc2.com/blog-entry-185.html

>>>>原子力規制委員会の構造について

原子力規制委員会の人事が問題にされていますが、基本的に4月の国会で検討され、民主党案ではなく、自民公明案によって「国会人事」となりました。そのことがどのように影響していくのか。官邸前で圧力をかけ続けていたことを、きっと野田総理はこう思って聴いていたことでしょう。「すでに人事は官僚の手に。わたしに圧力かけても何にもならないことがはっきりわかるのも、時間の問題」と。

http://www.youtube.com/watch?NR=1&feature=endscreen&v=xTljqiyU29c

どなたが人事案を起草し、国会への提出を了承したのか、追求しようとしたテレ朝の番組はU-tubeから削除されていました。残念。ダウンロードしておくべきっすね。

そして、現行の原子力委員会からは、反省文はいつでるのでしょうか? 出た?

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/25978

>>>>「シェーナウの想い」上映会、開催しました。

国立女性教育会館で行いました。IIPEの参加者と外部からの方を含めて15名が参加しました。

http://www.ews-schoenau.de/


>>>>TEDの見所「ハンス・ロリンズ」データが示す世界

TEDはおもしろい。TEDハタノシイ。でも、どれを見ればいい? そんな時役立つのはやっぱり口コミ。このダイナミックさ、お勧めです。
http://www.ted.com/talks/hans_rosling_shows_the_best_stats_you_ve_ever_seen.html

>>>>>>>>>ERIC25周年に向けたご寄付のお願い<<<<<<<<<

1989年誕生の参加型学習老舗のERIC国際理解教育センター。なんと2014年には25周年を迎えます。
これまで続けて来られたのも、企画委員、運営委員、理事、テキスト購入者、ファシリテーター育成事業参加者など、みなさまのおかげです。感謝です。
これからもよりよい「指導者育成のための実践」推進のための情報提供、研修プログラムの提供などに努力していきたいと思います。
日常活動に加えて、25周年に向けて、事務所のリニューアル、フューチャーサーチ走向未来ワークショップの開催など、企画しています。
特別活動支援のために、テキスト活用、研修参加などのご支援に加えて、ぜひ、ご寄付をお寄せください。よろしくお願いいたします。

ご寄付先 金融機関

ゆうちょ銀行口座: 10020-3288381 名義:トクヒ国際理解教育センター(ゆうちょ銀行同士)
◯◯八(ゼロゼロハチ)店008-0328838 名義:トクヒ国際理解教育センター(他の金融機関から)

>>>>>>>>>>2012年ERIC主催研修<<<<<<<<<<<<<

ESDファシリテーターズ・カレッジ2012年

すでに終了したものについては、報告があります。ブログを参照してください。

1.テーマ「環境」/PLTファシリテーター養成講座「リスクに焦点」 2012年6月23-24日 http://ericweblog.exblog.jp/15642643/ 
2. テーマ「国際理解」 2012年7月21-22日  http://ericweblog.exblog.jp/15834944/
3. テーマ「人権」 2012年9月29-30日
4. スキル「対立」 2012年10月27-28日
5. スキル「市民性」 2013年1月26-27日
6. スキル「TEST13 Teachers' Effective Skill Training 教育力向上講座 
  2013年3月

**********************************************************
  (特定非営利活動法人)国際理解教育センター
ERIC:International Education Resource & Innovation Center

〒 114-0023 東京都北区滝野川1-93-5 コスモ西巣鴨105
  tel: 03-5907-6054(研修系) 03-5907-6064(PLT・テキスト系)
  fax: 03-5907-6095
  ホームページ http://www.eric-net.org/
  Eメール   eric@eric-net.org
  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
http://pltec.exblog.jp/
  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
http://focusrisk.exblog.jp/


**********************************************************
[PR]
by eric-blog | 2012-08-27 20:47 | ERICニュース | Comments(0)
<< For the Childre... 動物の行動から何を学ぶか >>