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独裁から民主へ 第四章 独裁主義の弱点

独裁から民主へ 第四章 独裁主義の弱点

From Dictatorship To Democracyの原文はダウンロードできます。


独裁主義の弱点
1.大多数の人びと、グループ、機関からの協力がシステムを動かすには不可欠であり、それが限定されたり、引き上げられたりすること。
2.過去に政権の政策が要求したことや影響が、現在の相矛盾する政策への返還や実行の妨げとなる。
3.システムが、ルーティンとなって、新しい状況へ対応できなくなっている。
4.現存する任務に対して割り当てられている人員や資源が、新たなニーズに振り分けることができない。
5.上司の機嫌を損ねたくない部下たちは、独裁者が意思決定をするために必要な情報を、正確にそして十分に報告しない。
6.イデオロギーがくずれ、システムの神話と象徴が不安定になる。
7.現実の認識にまで影響するような強力なイデオロギーが存在する場合、現実の条件やニーズに注意を払わなくなる。
8.官僚制度の効率や能力を劣化させ、あるいは過度にコントロールしたり規制したりすることが、システムの政策と実行の効果を下げてしまう。
9.機関内の対立や個人的なライバル意識や敵意が、独裁制度の実行を傷つけ、あるいは崩壊させる。
10.学識者や学生は、条件、規制、ドクトリンや抑圧に反応して、落ち着かなくなる。
11.一般大衆は、時とともに政権に対し、無気力、懐疑的、ときによっては敵対的にすらなる。
12.地域毎、階層ごと、社会文化ごと、あるいは国家ごとの違いが、緊急の課題となる。
13.独裁政権の権力ヒエラルキーは、常にある程度は不安定であり、時によってはかなり不安定になる。個人は、常に同じポジションにいるとは限らず、上がったり下がったりするし、まったく外されてしまい、新しい人と入れ替えられてしまうこともある。
14.警察や軍隊の力は、それぞれの目的を達成するために動き、確立された独裁政権の意志に反することもある。クーデターのように。
15.独裁政権が新しい場合、確立するのに時間がかかる。
16.独裁政権内の少人数の人びとによって意思決定がなされるために、判断、政策、行動の間違いが起こりやすい。
17.政権がこれらの危険を避け、コントロールと意思決定を分権化しようとするなら、権力の中心的なてこはさらに流出してしまう。

弱点を攻撃する

結論は明らかだ。強そうに見えていても、すべての独裁政権は弱点、内的非効率、個人的ライバル関係、機関的非効率、組織や部門間の対立などを含んでいる。これらの弱点は、時とともにに、政権をより無効化し、変化する状況や、意図的な抵抗に対してもろさを増す。政権が達成しようとすることずてが達成されるわけではなくなる。時によっては、ヒトラーですら、彼の直接的な命令が、直近の部下たちの抵抗によって、執行されなかったのであるから。独裁政権は、すばやく崩壊する。それはわたしたちがすでに見て来たことである。
しかし、このことは、独裁政権がリスクや死傷者なしで破壊できるということを意味しない。解放のための行動すべてにリスクと苦しみが含まれるだろう。時間もかかる。そして、当然、すべての状況で、行動がすばやく成功するわけではないのだ。しかし、政権の否定できない弱点を標的にした闘争は、政権のもっとも強いところに対する戦いよりも、成功する可能性が高い。問いは、その闘争がどのように報われるのかである。
by eric-blog | 2012-07-05 08:28 | ■週5プロジェクト12
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