ERICニュース 202020第4号 2012年6月17日

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ERIC NEWS 289号 ともによりよい質の教育をめざして  
202020第4号 学級人数の削減を
これからの未来へ 子どもと自然をつなぐ
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2020年までに、学級人数を20名に。

その10の理由を、と始めた連載だけれど、重複が多くて、すみません。
第四号は、

4.子どもを自然の中に連れ出す、地域との連携を深める。必要な指導者数は?

いまの子どもの育ちに自然が足りないと、リチャード・ローヴは指摘しています。http://ericweblog.exblog.jp/3842327/
わたしに言わせれば、いまの子どもの育ちには、社会も足りないと思います。

具体的な自然体験、社会体験が圧倒的にやせ細っているのではないでしょうか?

以下、体験が果たす役割を言語の発達という側面から考えてみました。


゜゜・☆彡ことば・言葉・言語*:.。.:*・゜

わたしたちの言語の発達は、具体から抽象へ、Motherese母語の獲得から身近な人間関係言語(BICs, basic interpersonal communicative skills)へ、そして、文化語から普遍的共通言語 (CALP 、Cognitive Academic Language Proficiency認知的学問的言語熟達)の獲得へと、おおむね進む。
http://ericweblog.exblog.jp/3671967/

一次的ことば、二次的言葉と言ってもよい。
http://ericweblog.exblog.jp/4259103/

一次的ことばの特徴を岡本さんは次のようにまとめている。33-35
・現実生活場面の中で、具体的な状況と関連して用いられ、そうした場の文脈に支えられて意味が交換できる。
 ・特定の親しい人々の間で了解可能
  ・原則的には一対一でコミュニケーションが深められていく、対話的共同作業
二次的ことばの特徴 50-
・現実の場面を離れたところで、ことばの文脈だけでコミュニケーションを成立させる
 ・未知の不特定多数者に向けて
  ・一方向的伝達行為として、フィードバックを期待しない、自己調整による深め
   ・話しことばに書きことばが加わる

一次的ことばは、人間のコミュニケーションの基盤だ。そこから、二次的なことばに行く時、そこのつなぎが難しいことを岡本さんは憂慮している。

わたしは、ことば、言葉、言語と書き分けることにしている。ことばとは、音声によるものであり、書き言葉として書き起こされることのないコミュニケーションを指し、言葉とは、標準語での会話を含む書き言葉によってバックアップされうるコミュニケーションを指し、言語とは、他言語に翻訳可能で、科学や論理、普遍的概念などによるコミュニケーションを指している。

からっぽのところに、論理的言語能力が発達するわけではなく、その前提として、実物とことば、ことばと文字の関係がしっかりと作られていること、基本的な人間関係がしっかりと基盤づくりがされていることが重要だ。8歳までの子どもの脳には、セロトニンの分泌を即す「人といっしょに居てうれしい」という共振関係やドーパミン系の「わかった」という発見の喜びによる前頭前野皮質の発達も欠かせないことは、学習困難児に対する指導に限らず、直観できる。
http://ericweblog.exblog.jp/1559714/

学校教育というのは、教科教育を通じて、世界の共通概念、数字であったり、計算であったり、普遍性につながる言語へと、橋渡しをする場所である。しかし、学校はCALPの熟達を進めるそれ以前に、学校文化語ともいうような特別な言語能力を必要とする。それが岡本さんが指摘していることだ。それはどのような文化だろうか?


゜゜・☆彡近代教育と標準語*:.。.:*・゜

近代教育が始まった明治時代に「方言札」というプラカードによる懲罰的指導が標準語の獲得について行われた。しかし、学習者を中心に考えるならば、標準語の獲得は、学習者が近代社会において、地方や地域を越えて交流し、協力するために、そのような社会において主体性を発揮するために、獲得されることが望ましい共通語であることが理解される。また、標準語は、他言語の獲得にとっても教材の豊富さという点で有利性があり、また、認知的学問的言語の習得のための基盤ともなる。少なくとも、日本語という標準語は、昨今のカタカナ語の多用という批判はあるにしても、大学という高等教育機関においてまで使用されている言語であり、話者も多く、マーケットも大きい、比較的有利な言語であると言えるのだ。

しかし、近代教育の始まりにおいて、学校文化での標準語の強制が、幕藩体制による分権主義から中央集権的な富国強兵へと短兵急であり、強権的であったことは否めない。岡本さんが憂慮する「調教師としての教師、権威としての標準語」という問題は、いまだに、学校文化が色濃く残している、そして、「学習者中心主義」への転換を果たせていないために抱えている問題なのである。

学校とは、学習者がいまの社会における主体者として生きていくための手助けをする支援の場なのであることに、否やを言う人はいないだろう。その方法論の是非こそが問われねばならず、過去からの方法論の無批判な踏襲は、近代化の誤りを繰り返すことに他ならない。

゜゜・☆彡学習者の視点から考える*:.。.:*・゜


そのような大前提に立って、さて、一人の教育的指導者にとって、何人の子どもたちの集団が、自然環境や社会環境と出会わせていくのに、「よい人数」なのだろうか。あなたは、いったい何人の集団に、落ちこぼれを生むことを前提とした選抜的プロセスではない学びを提供することができると考えるだろうか?

奇跡のむらの物語 1000人の子どもが限界集落を救う!辻英之、農文協、2011
  http://ericweblog.exblog.jp/14650248/
の山村留学施設は20名が定員だった。それは経験的にそうなのだと、言う。

もし、あなたが、子どもを戸外に連れ出そうとしようとする。
何人の子どもに、あなたは「言うことを聞かせる」ことができるだろうか?
15人ぐらいが、戸外での活動での適正な人数だ。と応えることもできる。

が、しかし、この問いは適切だろうか?

興味深いことに、命令に従うことは、音声的なものとして表現されている。戸外に、自然環境の中へ、社会環境の中へ、子どもを連れ出して、あなたがやりたいことは、「言うことを聞かせる」ことなのだろうか。想像してみる。それはどのようなコミュニケーションなのかと。統率、引率、集団行動のコミュニケーションが思い浮かぶ。

従って、問いは次のように言い換えられるべきだ。「何人の子どもを、あなたは対話的学び合いに巻き込むことができるだろうか?」

教育とは、命令に対する従属行動の調教のためにあるのではない。

教育における最初のボタンの掛け違いが、「学び」についての誤認につながり、「学習からの逃避」にもつながるのだ。

養護施設でも大舎制か小舎制かの議論があるが、大舎よりは小舎、小舎でも、「隣る人」のように、一人が担当する人数は少なく、が子どもによりそうためには求められている。

条件や目的によると、言うかもしれない。しかし、学級というのは「生活共同体」でもあることを忘れてはならない。特に、小学校の場合は生活体験からの学びを豊かにする時でもある。中等教育は、いよいよCALPへの飛躍が求められる難しい時期であり、高等学校においては職業的社会化の課題も加わるのだ。いずれの時期も、発達段階として「マスプロダクション」が適しているとは言いがたいのではないか。

選抜的なプロセスだ、社会的圧力の身体化だと、教育を考えているからこその、現在の40人学級であり、教育システムなのだ。

わたしたちは、教育がなんのためなのか、近代教育を越えて、教育の人間化、近代の人間化のための教育を、始めなければならない。

わたしたちの生物的基盤であるからだ、感情、思考、創造性などを、自然環境にしっかりと結びつけ、さらには、社会環境にも結びつけていく発達のプロセスを、豊かに、そしてていねいにすすめるために、学級人数は再考されなければならない。目標を間違ってはならないし、目標のために最適な教育内容教育方法、システムが構築されなければならない。

問いを間違えてはならない。

゜゜・☆think on.*:.。.:*・゜・゜教育力向上講座 TEST in 大阪・。・*:.。on & on.:*・゜

286号でもお知らせしましたが、「教育は変わったのか?」蓄積的インタビュー、着々と進んでいます。どのインタビューでも、どなたでも参加可能です。

・5/27(日)14:00~) 稲垣有一さん国際交流センター角田、下村、北野、栗本あ
・6/2(土)10:30~土田光子さん大阪市民交流センターなにわ(芦原橋)北野・下村・栗本あ
・6月9日(土) 10:00~森 実さん大阪教育大学天王寺キャンパス西館第一講義室畑・三原・泉
6月23日(土)午後2時北川知子さん(解放教育研究所にかかわっていた人)八尾市人権協会(近鉄八尾)李ぽんみ(佐々木)
6月23日(土)午後2時梅本直己さん(部落解放同盟安中支部)八尾市人権協会(近鉄八尾)李ぽんみ (佐々木)
日程調整中渡辺俊雄さん:部落史研究者(近代)李ぽんみ、くりとも
7月6日(金)19:00~平野智之さん(府立松原高校)at大阪NPOプラザ栗本あつこ

すでに記録も稲垣さん、森さんの分ができていて、インタビューチームや本人との確認待ちです。稲垣有一さんの記録の一部は、こちらから。
http://ericweblog.exblog.jp/15441534
「日本の人権教育運動は、同和教育として始まり、それ以外ではありえない。ジェンダー、女性問題は、混合名簿やジェンダーニュートラルな呼称としては定着したが、教育内容として、人権教育につながるものを持っていない。」
など、耳が痛い。教育の現場での実践はあるが、教育内容はない。実践があれば、その背景の理念や理屈は伝わるはず、というのは大きな間違いで、いま、現場で若い先生に対して、「なぜ、混合名簿なのか」を説得するしないという問題になっていることからも、この指摘されていることは確認される。
ましてや、教員養成の段階で、どのような「人権教育」がなされていることか。

教員養成の段階に取り入れられなければ、次の教育実践にはつながらない。


解放教育を切り口に、教育運動がどのように学校教育を変えて来たかを、その関係者に問うています。が、教育運動一般にも通じるところがあるのではないでしょうか?

土田さんのように、「変わらなかった」と言う方もあり、森さんのように、「部落解放が中心であることにかわりはない。解放教育にこだわる必要はない。文部科学省に「人権教育の指導方法などに関する調査研究会議」に全同教から委員を出す。全国の人権教育の実践例が、文科省のホームページに載るまでになってきた。人権教育は、全体として確実に広まる深化しているといってよい。」とする人もいます。

視点が違えば、評価も、これからの手だても違ってきます。

みんなの頭で、考え続けること、問い続けること、ご期待ください。

順次、ブログ「アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して」にアップしています。ぜひ、ご覧ください。
http://ead2011.exblog.jp/


゜゜・☆act on.*:.。.:*・゜森林の健康診断・。・*:.。on & on.:*・゜

PLT『森林に焦点 Focus on Forest』の中のアクティビティ1「森林の健康診断」を訳しませんか?
http://ericweblog.exblog.jp/15438848/

PLTのホームページから、全部ダウンロードできます。
http://www.plt.org/focus-on-forests-activity-1---monitoring-forest-health

緑のダム北相模さまと協働で、「森林環境教育」のための教材として、翻訳出版しようという声が出ています。

訳すのはアクティビティ1の生徒用ページだけなので、20ページ程度の冊子にしていこうと思っています。

森林の健康に、目を向ける人が増えれば、森林の未来もともに考えることができるようになるではないでしょうか? まずは、無関心から「気づき」と学びへ。

そんなきっかけを作れるのではないでしょうか。

協力できるよという方、ぜひ、ERICかくたまでご連絡ください。

地衣類を100ドットシールで数えるの、とてもおもしろかったです。
データがあれば、自分で考える、仮説をたてることができるようになります。そこから、調べ学習に入ると、面白さがまったく違ってきますよ。

ぜひ、実践してみてください。


゜゜・☆彡2012年ERIC主催研修*:.。.:*・゜

ESDファシリテーターズ・カレッジ、いよいよ今週末です。
ぜひ、ご参加ください。

PLTファシリテーター養成研修 流れのあるプログラム予定。

1. ものはみかけによらぬもの-専門家と素人 (FoR #2)
2. 万が一ワークシート-確率を理解する (FoR #3)
3. 原発事故のリスクを4つの視点から考える
4. もうちょっと考え続ける FoRガイドラインの検討

『FoR リスクに焦点』を活用したプログラムです。
http://ericweblog.exblog.jp/15398448


お申し込みはeric@eric-net.orgまで。

1.テーマ「環境」/PLTファシリテーター養成講座「リスクに焦点」 2012年6月23-24日
2. テーマ「国際理解」 2012年7月21-22日
http://ericweblog.exblog.jp/15405231/
3. テーマ「人権」 2012年9月29-30日
http://ericweblog.exblog.jp/15405209/
4. スキル「対立」 2012年10月27-28日
5. スキル「市民性」 2013年1月26-27日
6. スキル「TEST13 Teachers' Effective Skill Training 教育力向上講座 
  2013年3月

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  (特定非営利活動法人)国際理解教育センター
ERIC:International Education Resource & Innovation Center

〒 114-0023 東京都北区滝野川1-93-5 コスモ西巣鴨105
  tel: 03-5907-6054(研修系) 03-5907-6064(PLT・テキスト系)
  fax: 03-5907-6095
  ホームページ http://www.eric-net.org/
  Eメール   eric@eric-net.org
  blog 「 ESD ファシリテーター学び舎ニュース http://ericweblog.exblog.jp/
  blog  「PLT 幼児期からの環境体験」
http://pltec.exblog.jp/
  blog 「リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす」
http://focusrisk.exblog.jp/


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by eric-blog | 2012-06-18 06:47 | ERICニュース | Comments(0)
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