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ブラインド・ウォッチメイカー

70-4(318) ブラインド・ウォッチメイカー
リチャード・ドーキンス、早川書房、1993年1995年4刷
The Blind Watchmaker 1986

たぶん、昨年『盲目の時計職人』として出されたものの初版がこれ。改めての書評も出ていたな。英語の題名を読むと、なぜ定冠詞なのだ、と、無神論のドーキンスにして一神教的発想なのかと思ってしまう。やれやれ、かわいそうなわたしたち。言語に意識を縛られて。

この本は、徹頭徹尾、グールド攻撃なので、紹介することもないかと思ったぐらいなので、抜粋のみ。ドーキンスが許せないのは、グールドのような「偶然」の余地を残すことで、その偶然こそが神の手なのだと言いたがる性懲りもない生命創造説を助長し、科学者としてそれらを根絶やしにする共闘に参戦していないからというように思える。いやはや、西洋科学の世界も大変だ。

79
オオカミからイヌの品種改良にかかった時間を一歩だとすると、直立歩行したもっとも初期の人類までは2マイル、地球上の進化の出発点まではロンドンからバクダッド。
81
突然変異はランダムで自然淘汰はその正反対

3章 小さな変化を累積する
83
波と石は、ひとりでに非ランダム性を発生させる系/システムの例。(縞々学を思い出すね)
自然は意図的なデザイナーではなく、篩なのだ。
大切なことは「一段階」淘汰と「累積」淘汰の違いだ。
93
選抜育種の41世代で、目標とするものに到達できる。[シェークスピアの一文をランダムに作り出すコンピューター・プログラムの試行から]
累積淘汰とはどんなささいなものであれ、1つ1つの改善が将来の構築のための基礎として利用されるもの。
95
進化には長期的な目的などない。...累積的な自然淘汰という「時計職人」は未来について盲目であり、長期の目的は何ももっていないのである。
98-103
樹木を描く単純な分岐規則に、異なる遺伝子を組み込んでみる。発生development, 繁殖reproducationモデル。バイオモルフ・モデル。
111
そこからさまざまなフォルムが出てくる。

下巻
第7章 建設的な進化
21
なんらかの条件が変化しないかぎり、進化は行き詰ってしまう。...結果として進化は変化する環境をたえず「あと追い」している。

・軍拡競争チータとガゼル
35
長い非対称軍拡競争の最終産物を扱っているばあいには、つねに複雑で洗練されたデザインが見出される
42
遺伝子が淘汰されるのは、遺伝子の内的性質のゆえではなく、環境との相互作用によっている。
9章 区切り説に見切りをつける
95
ヒトの頭コツが、300万年で500から1400に変化した。この平均的な進化速度は、一世代につき、100分の1以下。100分の1ccというのは、実際にある頭コツの大きさの幅に比べれば、微々たるもの。
変化の速度は一定なのか可変なのか。

215-225
突然変異はランダムでない。
・物理的な出来事によって引き起こされている
・遺伝子によって変異の起こりやすいものとそうでないものがある「ホットスポット」
・変異には方向性があり、進化的帰結をもたらしえる
・変異は胚発生の過程によって拘束されている
しかし、それでも適応的有利性に関してはランダム。進化を有利に向かわせるのは淘汰であり、淘汰しかない。
by eric-blog | 2005-01-08 14:45 | ■週5プロジェクト04
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