オランダの教育 多様性が一人ひとりの子供を育てる a
リヒテルズ直子、平凡社、2004
1795冊目
オランダの共生教育 学校が「公共心」を育てる b
リヒテルズ直子、平凡社、2010
1796冊目
オランダについての本をたくさん執筆しているリヒテルズ直子さん。
ご自分のお子さんたち二人の子育てとともに、オランダの教育のあり方が見えてくる。
中学に、1993年に導入された「verzorgingセルフケア」科。ケア科と著者はとりあえず呼んでおくと。139a
その内容は、「自他の尊重」「人々の福祉」「環境の管理」「具体的な保険体験」「専門機関の利用」の五つの柱。
「個人と社会」についての考え方が、「あなたは、ユニークな存在であり、自分を大切にするために、自己選択・自己決定する存在」と「個人であると同時にあなたは社会的な存在でもあります。人々の間で、人々と共に生きている」
学びの目標は自分で確認する。ポートフォリオや面談会で、先生は、「学びの妨げ」になっているものは何か、気づかせ、取り除く役目を果たす。79b
いじめに対しても「いやなときには、いやと、はっきり言うんだよ」と、共に解決する姿勢をすすめる。97b
「民主的な態度は放っておいて育つものではない」108b
アクティブなシチズンシップをめざす。 能動的な市民性。109b
シチズンシップ、積極的な社会とのかかわりの大切さについて、ユトレヒト大学教育学教授、ミシャ・デ・ウィンター氏の論文が紹介されているが、オランダ語なので、表題すらわからないが、学校ぐるみ、親ぐるみの市民社会づくりという試み「ピースフル・スクール・プログラム」の包括的な取り組みに、感動する。さまざまな取り組みがconsornated な努力として、相互に補完し、強化しあう。これからの教育改革は、単発で、長続きせず、有機的なつながりがない、変化、ではなく、有機的で、包括的で、相互補完的なものである必要があるだろうと、強く感じた。
時代の流れは、日本もオランダも同じだ。
「産業化・都市化の問題の他に、個人主義の著しい浸透によって、人々がお互いに価値観を共有しているという自覚を持てなくなってきている。」100b
その現実を見据え、そして、どこへ行きたいのかを、共有しなければ、教育改革は始まらない。
オランダの1980年代以来の変革は「子どもの自由」を目指して行われた。
日本は、もはや、教育改革は「追いつけ、追い越せ」では実現できないことを、まず理解しなければならないだろう。
わたしたちはどこから来て、どこへ行くのか?
それを考えることのできる個人の形成が、求められている。
■手のひらの五円玉 私がイエナプランと出会うまで
ほんの木、2020
子どもへの関わり方、11のヒント。
1. 安心で楽しい毎日を 校則で子供の行動を縛りつけたり一日中せきにじっと座っていなければならないような学校生活は子供の脳を最大限に発達させるものではない
2. 子どもの力を信じて
3. 間違いと失敗は成長のベストチャンス
4. ホンモノに触れられるゆたかな環境
5. 子どもと話そう
6. 消費者でなく生産者に
7. 努力を褒めよう
8. 競争ではなく協働を褒めよう
9. 子どもを舞台に
10. 心のコンパスを信じよう
11. 大人たちが垣根を越えて