チェルノブイリは女たちを変えた
マジーナ・ガムバロフ、マリア・ミース、その他、社会思想社、1989 既視感、デジャブ、予言の書であったのだなと、思う。1989年にまとめられたこの書。 まさしく、チェルノブイリ離婚があったように、福島離婚があり、家族の中でいさかいが増え、女たちは、計測を求め、科学の盲信者でしかない男たちは「ただちには影響がない」とか「安全だ」と水を飲み、野菜を食べるパフォーマンスを繰り返す。 「女たちは、原発に反対しようとすると、まず、男たち、「男社会」とぶつかるのだ」227、近藤和子解説より 「母親としてもっと早く声をあげるべきだった」のエルケ・メーレンの記述は、胸を打つ。36- 「私は、子どもたちに、自然と社会についての私の見方と責任感をわかってもらおうと、心をくだいてきた。・・・環境を汚染しない洗剤を買い、地飼いの鶏のたまごを買い、南アフリカ産のくだものは買わないことにしていた。(注:そのころは、アパルトヘイト人種隔離政策反対でボイコットがあった) 署名簿に署名し、そうしてすべての希望をこどもの教育に託した。・・・自覚した勇気ある民主主義者になることを願っていたのだ。」 「チェルノブイリ以来、私の生活は根本的に変わってしまった。もうけっして知らないふりはすまい。・・・私は自分自身に、自分のすべての希望を託しているのだ!」39-40 アンケ・マルティニーは「生命か技術崇拝か」という論文で、一人の妊婦が、生む生まないを選択する時に、問われる倫理ほどに、未来永劫にわたり生命を害するかもしれない研究について、倫理が問われていないと指摘する。89 原子力発電所は経済にとって必要である。多少のリスクは、進歩のためやむを得ない。 しかし、最大想定事故とは、・・・現実に発生するのだ。 (女)は、男社会の中で分断されている事柄をつなぎあわせるだけの知力にも恵まれているのだ。・・・モラルをもたない生命は生命とはいえない。92 そう願いたいものだ。 クリステル・ノイジュースは「科学から迷信へ – 男は汚染をこわがらない」で、女たちが測定を求めるのに対して、男たちがこわがらないと指摘する。「人間一度は死ななくちゃならないのだから、僕は死ぬことなんか怖くない」と。 人間は技術と科学を用いて自然の主人になったと主張する者は、実際には真っ暗な迷信の闇に陥っているとしかいいようがない。 女たちには子どもがいて、・・・少なくとも、子どもたちをまだ防ぎうるものからは防ぎたいからだ。女たちは怖がっている。というのは、正気で理性があるからだ。101 まったくだ。 そして、マリア・ミースが「自然を女たちの敵にしたのはだれか」が示す、この状況も同じだ。 「「責任ある人びと」、すなわち科学者や政治家を信頼するのは生命にかかわるほど危険なことである。・・・自分たちの権力の維持だけが大切なのだ。これは、放射能の制限値を操作する段階で明らかになった。こうした制限値はまぎれもなく、政治的に決められた数字であり、政治的な都合によって引き上げられたり、引き下げられたりされたのだ。」136-137 「彼らの正確きわまりない計算によれば実際的にはけっしておこりえないことがいったん起ってしまうと、「故障事故だ」「ハプニングだ」といってかたづけるようとする。・・・政治的に結論をひきだすことも・・・できない。」140 「忘れてはならないのは、スポーツという呪術である。」140 マリア・ミース、この人だったのね。この本を書いた後、チェルノブイリがあったのか。 61-5(274) 世界システムと女性 マリア・ミース、ヴェールホフ、トムゼン、藤原書店、1995年 Women The Last Colony、1983 , 1988, 1991 http://ericweblog.exblog.jp/1238187/ 昨日、環境教育推進基本方針の改訂についての説明会に参加した。 お行儀良く、自分たちに何ができて、何ができていないかを、とてもよりわかっている官僚たちと対話をしようとは、とうてい思えなかった。どんな問いであれば、届くのだろうか。彼らに聞いても無駄玉だと思えた問いは次のようなものだ。 ○文科省の20mSv問題がもたらした学校現場の問題はなんだったのか? [基本方針には、「人間像」が明記されていて、そこには「自ら考え、行動する」ことが求められている。] ○今回、厚生労働省が4月からの食品に含まれる放射能値を事故前の100Bqに戻したのに対して、文科省が異議申し立てをしたことについて、その意味は何か。 ○4月から「武道」が必修になるのだが、「環境」を必修にすることはできないのか。[この問題については、「主体的行動」を重んじるので、強制も、補助金も、助成もしない、と。] ま、文科省にばかり文句つけてもね。 一つだけ質問したのは、「震災後の資源エネルギー問題」と一般的に書かれているが、実は、「自然エネルギー」に転換することは国家百年の計といってもいいぐらいだ。この表現で十分だと思うのか。ということ。 参加していた環境カウンセラーの人たちからの質問は以下のようなもの。 ○学校の多忙感。出前授業でもやらせてもらえない。 ○一般講習も、人が集まらない。 ○地域に、タンポポの種をまいたり、カマキリを何百もふ化させて野に放っている人がいて困る。 ○生物多様性条約への言及もあってしかるべき。 いきものと節電系のコンテンツ・マインドを、資源・エネルギー系にシフトすることは可能なのだろうか?
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| 2012-03-24 07:03
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