誰が小沢一郎を殺すのか? 画策者なき陰謀
カレル・ヴァン・ウォルフレン、角川書店、2011 Character Assassination 人物像を暗殺する。 対抗陣営に対して、メディアを使ったネガティブ・キャンペーンを仕掛けることは、どこにでもあることだ。しかし、日本の場合は、対抗陣営からの仕掛けではなく、検察が動く。 高橋洋一さんに対するIWJ岩上安身さんによるインタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/2488 (会員のみ閲覧可能) 増税は、財務省の利権を増やすだけ、という指摘が、メインのインタビューではあるが、そこで明かす、大蔵官僚がつかんでいる「ネタ」。政治家の首根っこをつかんで、どのネタをいつ使うか、使うか使わないかも、胸先三寸という実体。 ということもありつつ、ウォルフレン氏が明らかにするのは、 1.米国に対等に扱ってもらえない日本のトップ。鳩山さんが三回も会談を申し込んだのに、対応してもらえなかった。そのことに加えて、突然浮かび出た「母親からの献金」で、鳩山さんは、沈没。 2.政治家フォビアの官僚機構が、明治時代以来築き上げた「政治家」を排除する仕組み。 それらを踏まえて、改革を進めようとした小沢さんが、検察から執拗なまでの攻撃にあっているのが、検察審査会までも動員した起訴の実体。 こちらについては、「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」の活動が詳しい。 http://the-news.jp/archives/10324 果たして、日本は変われるか? ウォルフレン氏の分析を追って見よう。 1993年、小沢氏が自民党を離党。政界再編が動き出した。小沢氏の意図は、彼が日本の政治をどう理解しているかについては『日本改造計画』にあきらかだと。24 「日本の旧態依然とした体制を変えまいとする固執する勢力から見れば、そんな小沢氏は脅威なのだ」 さかのぼること、明治時代。列強においつけ、おいこせを目指すオリガーキー(寡頭制)が、恐怖したのが、選挙によって選ばれる政治家の登場であった。政治の本質とは権力である。その権力をどうすれば、オリガーキーが握り続けることができるか。 その体制づくりの立役者が山県有朋である。51- ○政党の政治家が、次官や局長、あるいは県知事といった地位を与える権限をなくした。 ○天皇の勅令によって、官吏登用試験、任命、規律、解任、序列に関するあらゆるものをすべて、コントロールした。 ○日本の政治システムの大部分は「法的枠組みを超え」ている。慣習と現状維持をはかる勢力が動かす。 さらには、憲法にうたわれた理念が、日本のシステムにおいて指針の役割を果たしているわけではないこと。63 「全体主義的な政治体制でないかぎり、社会のなかで優位にある当局の権限は抑えられてしかるべきだからだ。そして、当局が権力を講師する際にはあくまで一定の原則にしたがい、濫用することのないよう、規制を加える必要がある。こうした原則は社会のレベルや政治システムを問わず、公正な権力行使を求める際、だれもが準拠することができる。」 「日本の人々は、これまで原則に訴えるということをほとんどしなかった。」59 また、ウォルフレン氏の「画策者なき陰謀」は、日本に限らない。『アメリカともとに沈みゆく自由世界』で、彼は、軍産複合体が、すでにそのようなものなのだと、描き出している。 にもかかわらず、「きわめて知的な日本人たちは、自分たちがたとえ体制に批判的であっても、それで世の中が変わるはずはないとわかっているのだ」184 「超法規的で非公式なシステムを存続、強化するものこそがスキャンダル」なのに。185 最後に、ウォルフレン氏は、日本の人々に対して問いかける。「果たして日本には、これまで縛り付けられてきたものからの解放を望む大勢の人々がいるのだろうか。そして彼らの結集をはかることで、変化をもたらすことを可能とするような、ひとつの強い声を生み出し、やがては日本を変えて行くことができるのであろうか、と」198 政治を動かしているシステムそのものがスキャンダルである。その視点すら、「西欧的である」と、拒絶するのだろうか、この国は。 そして、米国と日本で動いている「自動システム=画策者なき陰謀」。動き続けている このシステムの担い手はだれか? 「勤務先の会社と密接に結びつき、他社に転職する選択がきわめてかぎられたサラリーマンこそ、日本の経済・政治システムの維持を可能にする、きわめて重要な存在なのである。」91 政治活動から人々を遠ざけること。それが官僚主導の政治システムが画策していることなのだ。
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| 2012-03-02 07:45
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