引き続き、Cooperative Learning, Cooperative Livesからの翻訳です。
1980年代のアメリカの状況が、いま、日本で起っているということなんですね。 *************************** Out Society: Some Prices of Competition p.13 わたしたちの社会: 競争のコスト 教育者として、あなたが関心を寄せているのは学級と学校での変化とその結果であり、その社会への影響でしょぅ。結局のところ、社会の状況がわたしたち教育者の感情、機会、選択肢に影響するのです。同時に、生徒たちの生活も大きく影響を受けています。 「個人主義は、人間の相互依存という現実と重要さを固定する試みです。アメリカにおける科学技術の主要な目標は、人とつながる、従う、依存する、管理する、から、「わたしたちを解放する」ことです。不幸なことに、このことがうまく行けば行くほど、わたしたちは、疎外され、退屈し、無防備で、不必要で、不安に感じて行くのです。」Philip Slater, The Pursuit of Loneliness 「競争の状況で、いつでもうまく行く人などいません。そこでの成功は、一時的なものなのです。成功すれば、つぎのプライズのための競争が始まります。競争は分離を奨励するのです。」Ruth Salo, preschool teacher, Peral River, NY 社会において、競争が過剰に強調されることの影響を考えてみましょう。多くの人々が、この世界で孤独で、「ひとりぼっち」だと感じています。多くが「わたしは一番にはなれない」という価値観で生きていると言います。そんな例を簡単に思い浮かぶでしょう。日常生活で、自分のことしか見えていない人、他の人々への影響に目もくれない例。学級や専門職で、同僚の制作したものを極秘裏に壊したりする例。夜のニュースが、世界で起っている紛争や、戦争、国際的な競争で傷ついた人々のことを、わたしたちの家の中にあふれさせます。今日、過度な競争が人間の命すら奪いかねないのです。国益、個人主義は、対立の解決を協力的に行うことを阻みます。 p.14 競争を過度に強調することの、現実的で、とても高いコストを払っていることを考えてみてください。友人や近所の人に手助けを頼むのがいやで、自分一人で力仕事をして、からだをけがしたことはありませんか? 競争はコスト高なのです。地域によっては、他の人々も使うことができるもの、例えば、芝生の草刈り機、電動ドリル、はしごなど、を一つずつの家族が所有しています。自分たちの人生も、もっと楽にすればいいのに、しないのです。経済的にも心理的にも、です。犯罪率の高い地域では、心配しすぎて、地域を出歩くことを控えたり、高価な犯罪防止装置を購入したりします。協同的な近隣へのウォッチが、格安であるだけでなく、効果的なのです。しかも、近隣の団結も高まります。 「コンテストなんかじゃない。 わたしたちが競争的な社会に生きていることのコストは、”No Contest: The Case Against Competition” by Alfie Kohnをご覧ください。わたしたちが勝とうとしてどれほど負けているかがよくわかります。」 会社の様子を考えてみましょう。競争を過度に強調していると「なにがなんでもトップになるぞ」というメンタリティを生みます。そのようなレースのコスト、心臓発作や、働き盛りでの突然死などについて考えたことがあるでしょうか。構造的な競争は、ヒエラルキー、階層性の強い仕事環境を強化します。そこでは、トップの人々が過剰な仕事量をこなし、たぶん、それだけの報酬もえているのでしょう。同時に、他の人々は、同様のスキルを持ち、潜在能力があるのに、仕事からあぶれています。もっと協同的に構造化された状況であれば、もっと多くの人々と能力を活用できることでしょう。そのような変化からは、幅広く支えられた意思決定につながることでしょう。組織のヒエラルキーのトップは、優柔不断であるように見られることを恐れて、他社に相談することをためらいます。しかし、ほとんどの場合、もっとも創造的な解決は、一つの頭からではなく、多くの頭をつきあわせた結果であることがほとんどです。 わたしたちの社会の期待、わたしたちが協同するより、競争することへの期待は、わたしたちが相互依存した存在であることを見えなくさせます。わたしたちの生活を支えている特権と製品は、他の人々の労働の結果なのです。例えば、スーパーマーケットで購入した食品は、栽培され、収穫され、パッケージされ、輸送され、棚に並べられたのです。他者の労働によって。交通信号で停止する時、次のような人々の仕事について、考えたことがありますか? 発明者(黒人で、ガレット・モーガンと言います)、建設業者、設置業者、修理業者。彼らの力で、あなたは事故から守られているのです。あなたが、公共空間や道路でごみを捨てれば、あなたは、だれか、それを片付けることを知っていますか? 「友情と競争 Michael Spinoは彼のバスケットボールの練習のことをこう語っている。その時、彼の友人がくるぶしをけがしたのだ。「僕は嬉しかったね。コミュニティの賞讃を得るための競争が減った、ってね。」Michael Spino, “Athletes: The Competition for Community Love” 多くの人々は、自分と異なる人々の人生の経験やニーズを理解することが難しいものです。わたしたちの社会の競争原理が、このことにかかわっています。人が他の人を押しのけてでもトップになろうとする時、他の人々の感情や視点を考えるということは、非建設的なことでしかないのです。そんなことをしていたら、個人の成果は阻害されるでしょうし、優先順位も変えなければならないかもしれない、つまりは負けなのです。この負けることへの恐れが、虚構なのです。 p.15 社会的な価値と組織的な実践は、競争的な個人主義を肥大させ、一人ひとりの成功や失敗は、その人の努力とメリットによって決まるのだけで、一人ひとりには、競争し、成功するための平等な機会があるのだと思わせるのです。このことは、いま、アメリカ人が、人種、性別、階級、年齢が、人の成功の機会を大きく左右するということを理解するようになってきたことと、大きく矛盾します。多くの人々は、競争的な個人主義を受入れつつ、成功は、彼ら自身の功績だと思っています。この考え方でいくと、人々は、自分の努力で「やった」し、いまの位置を獲得したのだと思います。他の人が「やった」とはならないのは、その人のせいで、「勝者」は「敗者」になんの責任もないと考えます。負けた人が悪いのさ、というメンタリティは、彼らの特権を正当化し、その特権が得られない人々がいることも正当化します。そして、彼らは、組織的で社会的な差別の構造がどれほど根深いかということには思いも寄せないのです。このおかげで、社会における孤立、対立、不平等は続くのです。 競争は、個人、グループ、国家を、力や暴力を使って対立を解決しようとするように奨励します。そして、弱さを物理的な力量で補完しようとするのです。このことは、わたしたちの個人的な生活では、人を支配したり、パワープレイで人間関係をだめにしたりすることから、あからさまな家庭内暴力、妻や子どもに手をあげてしまう行為という形をとって現れるのです。若い人々は、玩具、コミック、本、テレビ、ビデオゲームで、暴力は、パワーを獲得し、対立を解決するための合法的な方法であると学んでいます。スーパーボウルのぶつかりあいから、国際的な戦争制裁まで、わたしたちの国家の価値観、制度、政策が、パワーと攻撃を使って「勝つ」ことがいいことなのだと、強化しているのです。そのような条件付けが、個人の人間関係の質を劣化させるだけでなく、人間的な社会への道を閉ざし、地球上のわたしたちの生存そのものを脅かしているのです。 あなたのある日を考えてみましょう。見てください。競争を過度に強調することの影響を。あなたに、同僚に、社会に。わたしたちは建設的で人間的な方法で、生きることを学んでいますか。あなたの友人や同僚と、あなたが観察したこと、考えたことを話し合ってみましょう。 「個人主義的な視点で見ていると、見えなくなってしまうことは、コミュニティの基盤、他の人の運命に対する集合的な責任の感覚だ。結果は、柔らかなファシズムさ。より高度な真実の名の下での否定、自己の感覚の否定なのだ。わたしたちの現状のホラーは、コミュニティの喪失や個人の孤立なんてもんじゃない。そんなアメリカの伝統が失われたなんてもんじゃないんだ。何が喪失しているかを覚えていられなくなるということ。何が人間として可能で望ましいかについてのビジョンが消えて行くということなんだ。」Peter Marin, “The New Narcissism”
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