人気ブログランキング | 話題のタグを見る

怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか

67-6(308) 怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか
黒川伊保子、新潮新書、2004年、7月発行で11月ですでに5刷

ことば、とくに音感についてのサブリミナル効果についての本である。なんと研究としては初の試みらしい。著者個人のスキルとしての物理学、人工知能、脳科学、言語学の集大成でもあるそうな。

先行的には
音相システム研究所 木通隆行さん『ネーミングの極意』ちくま新書
白川静『字通』
岩永嘉弘『ネーミングの成功法則』PHP研究所

人間にとってことばの音を発するという行為はなんとも心地よい物理現象なのである。47ことばの音は肉体におこる物理現象。46
ことばの音には音識と響き合う力がある。202

その研究者である著者が分析して「世界中の人たちが知っている有名ブランドのおそらくすべては、秀逸なサブリミナル効果を持っている」16という。わたしがすごい、と思った事例は「Hitachi Inspire the next」である。これをブランドマントラというらしいが、何回も唱えて、唱えることでイメージや意味が浸透する、させる戦略。このような言葉が欧米の企業アイデンティティ戦略から出てきたことにも、驚く。マントラ、ですよ。全然英語らしくないし、アメリカ人がまともにこの言葉を発音できている、あるいはわたしが、そして日本人が「マントラ」と言うときの語感と五感を彼らが味わっているように思えない言葉なんですねよね、これは。
いずれにせよ、この場合のHitachiはヒタチと読んではいけません。Hita-chiとあのようになまって、アクセントをつけて読むべきです。そうするとInspi-reのリズムと絶妙。

ファンタジーはカタカナ語に流れるが、詩はポエムにならない。ね、だからファシリテーターは、進行役とは言えないのですよ。読んでいると、英語は擬音語・擬態語が少ないと思っていたが、意外に言葉そのものが音感にあった言葉が多いのだということがわかりました。日本語は、「音、文字、意味」をばして、再度まとめて使っているような言語なので、漢語を補う擬態語・擬音語が発達したのでしょうね。太陽をサンサンで補わないと、明るさが出ないのでしょう。

ネットワークなんて、とってもねっとりしているじゃないですか。わーーーい、大学の英語でやってやろ。

分析レーダーチャートは、テキストでは表現しきれないので、これ以上の紹介はやめておきます。そしてもう一つ、わたしが発見したのは、なぜわたしがいつも研修のときの名札に「かくた」と書くのかわかりました。「N音を名前の語頭に持つ女性は、...キャリアを張るときは、公的な場所では周囲にファーストネームを呼ばせない方がいい」124 というような音なのだそうだ。つれあいの中島大にも仕事の場では厳しく「角田」と呼ばせているものね。

今日一日、この本で遊んでしまいそう。あああ、明日の準備をせねばならないのに。
by eric-blog | 2004-12-10 10:25 | ■週5プロジェクト04
<< 講座「人権」 岡山県「ワークショップ上」 >>