八万キロの戦争

67-5(307) 八万キロの戦争
片山正年、現代教養文庫、1995年

最近、書籍を渉猟していて気づくことは、梅村さんが教材になる写真を収集されていて思われることに似ているかもしれません。古びた感じで、しかもジュンク堂の自由価格本に並んでいる現代教養文庫。版元の社会思想社は倒産したらしいです。もはやインターネットでは「復刊ドットコム」が上位検索にあがってきます。

出版の世界でも、何かが起こっているのではないでしょうか。テキストを製作・販売している身としても、他人事ではない気がします。

一方で、昨日は、いつもながらの「かわいい学生たち」(かわいいというのは、わたしにとっては人間的であるということ。すねてみたり、さぼってみたり、がんばってみたり)との楽しい一日、だったのですが、連想図、マトリクスなどを使いながら、構造的・分析的に考える、そして考えたことを伝えるというのは、君たちが職業について時に役立つんだよ、英会話、英語討論の授業のことだけではないんだよと、指導している。学生たちから聞く他の英語の授業はこれまでどおり、型どおり。なんて距離があるんだあああああ。
社会はすごい勢いで動いている。確かに基礎教育には変わらぬものが求められる。しかし、その変わらぬものが何なのか、そこが根本的に変わってきている気がする。

そして、この本は、わたしの父より8歳年上、大正6年生まれの「語り部」が1938年昭和13年21歳で入隊してから、1945年昭和20年9月7日に28歳で復員してくるまでの8年間に、南はガダルカナルから北はアッツの直前まで、上等兵として派兵され続けた経験談である。池波だかもどこかで書いていたように、「8月9日どこにいたか」というこの一事だけで、共有感覚、共通理解が広がるものがあるのだというように、片山さんのお話にも、どこであっても兵隊相互のあたたかみが見出せる。わたしには、そのことの方が、他の何より心に残る。そして、「実より名」の階級社会である軍隊を実で生き抜いたその精神と肉体に驚嘆するのである。
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by eric-blog | 2004-12-07 10:45 | ■週5プロジェクト04 | Comments(0)
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