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誤訳天国 ことばのPLAYとMISPLAY

67-2(305) 誤訳天国 ことばのPLAYとMISPLAY
ロビン・ギル、白水社、1987年1990年4刷

ピーター・ファーブという人が書いたWord Playという本があるらしい。その本を日
本語に翻訳したのは金勝さんという埼玉大学学部長だったらしい。その一冊の本にあ
る誤訳を指摘して一冊の本になったという本である。276ぺージある。できることな
ら、原著を訳したものをすっきりと読みたいと願うのはわたしだけではないだろう。
チェックしていないが、ぜひ、ファーブの本を読みたい。ギルさんは、「平行多訳」
をよしとする、のであるから、余計にそう願いたいものだ。

で、この本は著作権侵害にあたらないのか。著者はひどい訳を出した側こそが著作権
侵害をすでに犯しているという。なるほど。

シェークスピアの小田島訳というのはぜひ読んでみたいものの一冊だ。
源氏物語の桃尻訳もおもしろかった。瀬戸内寂聴さんの「今昔物語」も良かった。フ
ァーブの翻訳も読みたい。

翻訳の問題について、語感を著者は指摘して次のような翻訳を紹介している。道元の
言葉「心外に仏を求むれば仏変じて魔となる」をBlythはIf we seek the Buddha
outside the mind, the Buddha changes to a devil.と訳している。それに対する代
案が
*Seek the Buddha without; Find the Devil within.
*Seek God outside and the Devil will come in.
*Seek your God outside ye, and you will find the devil in thee.
の自訳を紹介している。9
日本人で良かったなと、こういう時は思う。the Buddha, the Devilとはまさしく一
神教の世界になってしまうのだから。難しいものです。で、この本はこれ以上読むの
はやめました。なんか議論しても始まらない部分も、特にファーブのWord Playが英
語や西洋語を中心としたことば遊びであるだけに、思いました。その後金勝さんとそ
の出版社はどうしたのでしょうね。

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角田 尚子
(特活)ERIC国際理解教育センター
eric1@try-net.or.jp
http://ericweblog.exblog.jp/
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by eric-blog | 2004-12-05 21:40 | ■週5プロジェクト04
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