神門善久、NHK出版、2010
島根の地主系に生まれ、祖母に育てられた著者は、1962年生まれという実年齢より40才は年取った感覚の持ち主なのだ、と本人が言う。『日本の食と農』後書き。
新興住宅地の文化住宅が並ぶような衛星都市に育った者とでは見て来た世界が違うのだ!
一方、埼玉の農業地域にも居住していると、法律と現実のカイクグリ関係も見えてくる。
そして、まさしく著者が描き出すのはそのようなローカル・ルールと票田欲しさの定見なき政策によってグサグサズブズブになっている農業の現実だ。
何よりも問題なのは、農地保有者の「転用期待」の高さだと。
優秀な営農者が農地からの収入に見合った金額で買う・借りる以上の収入が「転用」で得られる。
水田として条件のいい場所は、転用圧力も高い。農村内にまだらな営農状態が広がり、真面目な営農者がやる気を削がれていくのが、いまなのだ、と。
人ではなく土地利用の基本計画を、すべてのステイクホルダーの参加によって決定管理すること。
カリフォルニア、アサートンの事例を引きながら、著者は言う。
裁判員制度の導入に5年かけた、それと同じような準備と多様な啓発・広報の手だてが必要だろうが、やらねばならぬ!と。
土地利用計画のためには土地利用実態の把握が不可欠。いまはバラバラの土地利用台帳を一本化する。
あーあ、すべてが抵抗勢力だね( ̄∀ ̄)
ericかくた なおこ