ERICnews110926 at ERIC 主催研修報告


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ERIC国際理解教育センター ニュース
ESDファシリテーターズ・カレッジ 〜at ERIC 〜 2011/09/26
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(文責:かくた)
教師教育ということばを最近よく聞きますねぇ。

「教育についての熟議」とかにも参加したりしましたが、3.11以降の原発対応をフォローする方に、思わず力を注いでしまいました。文部官僚も官僚なのではありますが、3.11後の高木文科大臣の「みなさんの未来を全力で支援します。」というコメントにジーーーンと来ていただけに、20mSv問題への対応は、少なからず、ショック、でした。

それでも、事態は動いているのだと思います。来年度からは「放射線教育」に力を入れるというのは、既定であったわけですし。

ERICがESDファシリテーター養成を始めたのが2000年。参加型学習によるESD持続可能な開発のための教育を行なうファシリテーターの育成。それは「教師教育」と一致するところも多いはず。

教員養成に、「参加型学習の教授法」を必須にして欲しい。

それは、1989年の設立以来の変わらない願いです。

どうすれば、それが実現するのだろうか?

政治力はまったくないので、自分たちがその指導カリキュラムのモデルを実践しようではないか。

それがこのESDファシリテーターズ・カレッジ。

2000年以来、主催研修、at ERIC、ERIC事務所で開催されたものは、60回にものぼる。

ただ、今回のスキル指導「わたし」価値観を育てるファシリテーター養成講座を行なって、とても感慨が深く、そして感謝の念を強く、あらためて、思いました。

とても貴重な成長の機会を、いただいているのだなと。大学の教員をしていても感じているのですが。

特に、指導者育成は、その指導をする人も参加する人も、立場的に近いだけに、双方的な学びが大きいように思います。

教育的指導者育成は、双方的かつ協同学習的なものの方が、力がつきます。共に育つということが、教育の究極的な目標でもあるからです。

今回は「価値観を育てる」ということはどういうことか。を共に「みんなの頭で考え」ました。とても、刺激的でした。いつものように、特に「ファシリテーターのふりかえりミーティング」が。だったかもしれません。

七賢人効果であったのかもしれません。

:*: :*: ・・スキル指導ファシリテーター育成12時間研修・・・・:*: :*:

こんな要素が、12時間研修には含まれるとよいのではないでしょうか?

□スキル演習のアクティビティ
□流れのあるプログラム
□構成主義的アプローチと経験学習・発見学習を「スキル」指導に活かす
□スキルを育てる手だてとカリキュラム
➢ジャーナル
➢アクティビティ
➢プログラム
➢環境・風土学校全体アプローチ
➢個への働きかけ
□省察的実践力をつける
□指導実践・ファシリテーション実践
□プログラムづくり
□コミュニティの課題解決
□個人的行動計画

人権12時間研修の要素と比べてみると、

◇ アクティビティの体験
◇ 流れのあるプログラム体験
◇ 参加型人権教育の学習方法・指導法の特徴とすすめ方
◇ 人権教育の目標と課題
◇ 人権教育の今日的課題
◇ 人権教育のリソースの活用とネットワーク
◇ アクティビティ開発
◇ ファシリテーション実践
◇ プログラム立案
◇ カリキュラムの構築
◇ 個人的行動計画

「目標と課題」についての意識化が欠けていたなあと思います。
というのも、「ESDは価値観の教育である。」と言われはするものの、「価値観を育てる」ということはどういうことかを正面から取り上げた研修などには出会ったことがありません。ですから、スキル「わたし」価値観を育てる指導者育成の「今日的課題」というのを考えることが難しいと感じました。

まったく新しいことに挑戦しようとする時、このようなことが起こっているのです。

「本当に新しいコンピテンスを学ぼうとする時のパラドックスというのは、生徒は、最初、何を学ぶ必要があるかがわからないのだ。自分自身を教育することでしか学ぶことができない。そして、いまだ自分が理解していないことをやり始めることでしか、自分自身を教育することができない。」p.93*

道徳? 倫理? これらは「価値観」を育てているのではないの?

物語? お説教? 熱血トーク?

価値観を育てるために大切なことは、

◯from within 必ず、「わたし」自身の内側から湧いてくるものとして。
◯価値観と行動の一致につながるものとして、
◯内面外面深層を分裂させることなく、 
◯ESD的な価値観を共有
するためのものとして

行なおうとすることが、とても大切なことなのだろうと思いました。そして、これらの要素は、従来の道徳教育では重要な要素として強調されてはいないのです。

ということで、今回、「わたしたちは価値観をどのように身につけてきたか」というような共有は、時間と、発見と再発見による引きずられにかかるエネルギー・ロスを思うと、あまり有効なアクティビティとは思えませんでした。

新しいものを共に学ぶ。

そんな時間に集中したい。

*Educating the Reflective Practitioner, Donald A. Schon, 1987 より

:*: :*: :*: :*: ・・・・とはいえ、どっきどきの初挑戦・・・・:*: :*: :*: :*:

何年もやっていますから、毎回毎回何か新しいこと、というのも、本当に「新しい」のか、それとも以前もやっていたはずなのに、忘れただけなのか。

まあ、でも今回の新たな挑戦
◎ GlassPaintでシールづくり
◎ セッション進行のノート作成(板書)
◎ 積み上げ型傾聴
◎ 手遊びトーク
◎ セッション予測およびふりかえりのワークシートを準備した

:*: 百均で買った「GlassPaint」。シールを作ることができるグッズ。乾かす時間がかかるので、二日間に渡って、継続したアクティビティとなったのが、楽しかった。スキル・アップについて考えることができました。

:*: わたし自身がいつも手元記録で書いているものを、今回はホワイトボードに書き出してみた。だからあえて参加者の様子についてのつぶやきまでも。最初は6セッション分全部書けるとは思わなかったのでセッション1は消してしまったのだけれど。いま、ふりかえってみると、6セッションならば書ける! 次回は6セッションを書くことにしよう。そうすると「記録」係も要らないね。

:*: これはおもしろかった。『未来を学ぼう』のp.96「聴く力」のセクション解説に、「相手の言っていることを聞くことで、自分自身が変化してしまうかもしれない可能性を閉ざさずに居る姿勢」とあるのです。今回、「聞く姿勢」の傾聴のトレーニングの後、「変化してしまった自分」に焦点をあててフィードバックする「積み上げ型傾聴」もやってみました。これはすごいなあ。「学び続ける姿勢」が問われると同時に、自己中でない学びとは何かを考えることにもなるよね。あるんだろうか、そんなもの?

:*: そして、感情が強く動かされた後のセッションでの「てすさび、手遊び」ガジェット、小物をいじりながらのリフレクション。少し、気持ちを別のところに持てる気がいたします。

:*: 価値観を育てるということは、感情が強く動くということ。感情が強く動くということは、その感情を扱う準備をしている必要があるということ。

:*: 震災から半年。地震や津波のメカニズムについての学習案は、3月14日早々にイギリスから提案されたものがありました。しかし、その追体験のような扱い方は、ようやく、少しは、取り上げることができるようになったかなあ。

:*:  V&V『未来を学ぼう』には、「嘆きと苦しみを共有する」とか「嘆きのタブロー」とかのアクティビティが含まれているのです。これまでは、実践したことのなかったアクティビティでしたが、いまが、その時だと感じました。

:*: :*: :*: :*: ・・・・まずは、二日間記録です。・・・・:*: :*: :*: :*:

スキル、技能、技術というものは、「できる」か「できない」かがはっきりしているはず。にもかかわらず、「価値観を育てる」スキルが身に付いたかどうかを、今回の研修で確信できた人はいるだろうか?

価値観を育てるための「経験学習的アプローチ」とは、次のようなものになるに違いない。

体験する、ふりかえる、感情と価値観を確認する、一つの行動の背景にある「さまざまな感情・価値観」の中から「大切なもの」「育てたいもの」を確認する、その価値観を実現する行動へと応用する。

そのプロセスを何度も、何度も、入れ子のように、行なった二日間でした。

:*: :*: ・・2011年9月24日(土曜日)
セッション1 共通基盤づくり11.00-13.00
11.00名前シールづくりをふりかえる*
・気づいたこと・感じたこと・学んだこと
・ 指導のポイント*

*GlassPaintで「名前シール」を作るところから、入ったのです。参加者が揃うのを待ちながら。後から来た人がとまどっていたけれど。

*というよりは「経験学習的に「体験・ふりかえり・一般化・応用」することでスキル・アップをはかる」をもっとクリアに、導入すべきだった。

11.30セッション1「共通基盤づくり」を予測する[ワークシート1]
・問い1-4について話し合う→全体共有→板書
・ ふりかえりのノートテイキング
12.15傾聴チベットメディテーションによる「心・からだ・頭」の説明
・傾聴の4段階、V&V「聞く力」による説明に鑑みて「話を聞いて、変化した「わたし」について語る」積み上げ型傾聴を試行してみる。
12.20話し合いの心がけ [ペア→全体共有・板書]
12.45バックヤードツアー[ペアで、5’]
12.55ふりかえり[5’]
13.00終了 [積み残し課題の確認=S.1のふりかえりの共有]

セッション2 流れのあるプログラム 『未来を学ぼう』を使って 14.00-15.00 
14.00V&Vのp.7「やってみよう」を共有することで、ファシリテーターがプログラムの流れを説明。テーマを「震災をふりかえる」とすることを共有・確認。

14.08「今日の世界は・・・」[個人作業 30”→全体共有・ポップコーン方式・板書=模造紙成果物]

14.15「写真の世界」DAYS JAPANとナショナルジオグラフィの雑誌から一人ひとりが選ぶ
14.17「静けさの時」p.132 イメージワーク[個人作業2’30”程度]

14.20写真のイメージを、ペアで共有→どんな感情が共有されたか? 写真の背景を考える。よい方向にお話を作る。
14.48ふりかえり 「どんな力が育まれたか?」*
15.16嘆きのタブロー [4人ずつのグループで人間静止画を作り、その状況での一言を、叫ぶ]
15.37解凍しながら、その一言について共有する。
15.47「あなたにとって、援助とは?」p.186 どんな援助がありえるか? [全体共有・輪読]
15.55終了

*ファシリテーターをした佐藤宏幸さんのふりかえり。「流れの中で思い浮かんだ問いを素直に口に出せたのが良かった。言う30秒前ほどに浮かんだ問い。参加者の気づきにつながってうれしい。」

セッション3 ふりかえり V&Vのテキスト、カリキュラム、教授法について 16.05-18.00
16.05手遊びガジェットで心ほぐし。ゆっくりとセッション2をふりかえる。

16.15ワークシート [個人作業3’→三人のグループで共有 5分]
参加型学習の教授法の理論的背景 5つ
体験したことを5つの理論で説明してみよう。[グループ3つで]
◯経験学習○全体言語○協同学習

16.48全体共有
◯全体言語について 二時間、文字も欠かずに学んだ。わかるのではなく、身に付く。心に落ちる。身体識に気づく。言語化することで、頭脳識化する。また、身体識に戻る。自分自身を統合する。一体化する。価値観と行動、からだと心を一致させる。
◯構成主義・経験学習について体験→ふりかえり→一般化→応用 消化する昇華する。進化する・深化する。自分自身が構築する。概念がトルネードの推進力。ガイディングスター。価値観・理念・概念それをふりかえり、省察のための点検の視点とする。
◯協同学習について協同学習を支えるのは「傾聴」豊かに追体験することで学びを豊かにする。人間が積み上げてきたものを追体験できる方法論でもある。

17.17ノートテイキング[個人作業2’]
「ワークショップの教授方略」を読みながら、書き加え、点検、成長。
17.28セッション2のプログラムの流れをふりかえる。「良かった点・改善点」
18.00終了

:*: :*: ・・2011年9月25日(日曜日)
セッション4 プログラム立案
9.00-11.30
9.00Glass Paintをスキル・トレーニングとしてふりかえる
9.04昨日のふりかえりのeQi[5’]
9.263.11をふりかえる(ワークシートを使って)[5’]
9.38傾聴 共感的傾聴 [ペア作業]
9.55「さまざまな感情」[個人作業2’→3人一組でふりかえり]
    価値観をふりかえる。「大切にしたい価値観」、そして「点検の視点からの確認」をした上で、グループで合意できたものを発表。

10.38プログラム立案[個人作業10’]
11.00マゴリス・ウィール
プログラムをペア作業で完成させる。
11.30終了

セッション5価値観を育てる手だてやカリキュラムのいろいろ
12.35プログラム・クリティーク「良い点・改善点」[10’]ペアで左隣のペアの作ったプログラムについて
改善をふりかえる=自分たちの技術を省察する。→クリティークの視点を共有する。
自分自身のプログラムを、再び見直す。

13.32月間・年間計画表で、手だてを考える。
13.53全体共有
いい指導者・危険な指導者ファシリテーターに求められるもの
14.05

セッション6個人的行動計画づくり
14.15-16.00
14.15「危険な指導者」をコミュニティの課題として考える。
後だし負けじゃんけん
14.40コミュニティを育てるためのステップ1.2.3、力の場の分析、などの枠組みから一つ選んでグループ作業。
14.53個人的行動計画を月間・年間計画表に記入する。
未来を築くインタビューをペアで。
全体のふりかえりをサークルタイムで
・ 自分自身の目指すファシリテーター像に「名付け」をする。
・ 二日間の気づき、学び。
16.00終了


:*: :*: :*: :*: ・・・・参加者の成果物より・・・・:*: :*: :*: :*:

いつもはあまり「成果物」起こしはしないのだけれど。
今回は、少し、ご紹介します。( )内は、跡づけコメント。

◇ スキル指導について、GlassPaint名前シールづくりからのふりかえりから
・ 得手不得手、好き嫌いがありそう。(ならば、価値観を育てるスキルにも?)
・ 完成形や見本がないと不安 でもあるとそれをまねるだけ
・ 多様な学びのスタイルがある
・ 楽しく行なうこと、ちょっぴり競争的でもある。(互いからすばやく学びあえるね)
・ 目標や目的は言った方がいいかも。(すみません。作ることが目的ではなく、「手作業する」ことが目的だったもので。)
・ 「技術的合理性」の高い専門家と、低い専門家*(ごめん、ことばの勘違いがありました。)

*これも今回、ショーンから新たに導入したかった概念です。ワークシートまで作っていたのに、言及するチャンスがなかった。「専門家育成」の課題を整理するところまでいかなかった。「危険な指導者」の課題は「コミュニティの課題」なのだという方に、焦点が移ったので。

◇ セッション2をふりかえる「良かった点・改善点」
・ 感情の高まりと静けさの時のような、強弱が良かった。
・ V&Vが「テーマの選び方」について、身近な、意味あることと、と言っているが、今回「震災」を選んで、共通項としてとても良かった。
・ 震災前、震災後で「価値観」の変化をふりかえれれば良かった。
・ そのために導入の「今日の世界は、」を「震災後の、今日の世界は」にすればいい。

◇ プログラム・クリティークを行なってみて、そのふりかえりを省察する。
・ ねらいが達成される内容か?
・ 学習者の意識の流れに沿っているか?
・ 全体の活動形態のバランス。個人作業、ペア作業、グループ作業など。
・ ねらいの背景にある価値観は明確か。
・ スキルを通して価値観を実現する。
・ 習熟したいスキルに焦点をあてたトレーニングがある。
・ 学んだことを応用するということは、日常を向上させるためにある、であれば、日常を掘り起こす作業が必要。
・ ふだんの人間関係があるところでの難しさ。「あり続ける人間関係」を意識化する。その人間関係を成長させたいのだということを学習者と共有することはできないか?
・ だからこそ、カリキュラムや見通しや学校全体アプローチや、風土づくりが大切だし、不可欠。

◇ スキル指導をする「危険な指導者」とはどんな指導者?
・ スキルは価値観を行動に移すためのステップ、ツールであるのに、そのスキルそのものを目的化してしまう。
・ 「このスキルの指導さえやっていればいいのだ」と目標を矮小化してしまう。
・ 目標の矮小化は、指導をやりやすくする、チェックや評価をしやすくなる、成果を見せやすくなる。など。
・ 「易きに流れるな」
*しかし、「危険な指導者」個人の問題ではなく、その存在の背景にある「コミュニティの体質」そのものが価値観を含んでいる。
だから、「コミュニティの体質」に気づき、その改善対策を考えることが重要。

◇価値観を育てるファシリテーターに求められるもの
・ 自分自身の価値観を自覚している。
・ 正直、寛容、公平さ
・ 受容、エンパワメント、ポジティブ思考、セルフエスティーム
・ 気分転換につながる問い
・ 参加者への信頼


:*: :*: :*: :*: ・・・・初挑戦の次は習熟のための再挑戦・・・・:*: :*: :*: :*:

ということで、引き続き、ERIC主催研修「ESD fc ファシリテーター養成講座」次回 スキル「あなた」編も、価値観を育てるに焦点をあてます。

テキストは『対立は悪くない』です。

2011年11月26-27日に、「ESD fc ファシリテーター養成講座 スキル「あなた」対立を通して価値観を育てる」でお会いいたしましょう。

プログラム、要項は、近日ホームページにアップいたします。

10月は2011年度PLT第三回「エネルギーと社会」です。こちらもどうぞ。

:*: :*: :*: :*: ・・・・リスク・コミュニケーションについて考える・・・・:*: :*: :*: :*:

順調にすすんでいます。

次回の学習会は10月8日。そして、ゲスト・インタビューはチームクロスロード代表の慶應義塾大学教授の吉川肇子氏。10月24日10時30分から14時、です。ぜひご参加ください。

これまでの記録は、こちらのブログから。
http://focusrisk.exblog.jp/

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by eric-blog | 2011-09-26 18:22 | ERICニュース | Comments(0)
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